大阪から東京に飛び火 大ブーム「間借りカレー」の名店5 | FRIDAYデジタル

大阪から東京に飛び火 大ブーム「間借りカレー」の名店5

他人の店を昼だけ借りて「こだわりの味」を振る舞う

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西浅草 西インドスパイス ガヤバジ

大阪・天満から来たスパイスカレー
台東区西浅草2-23-10 第2島谷ビル2Fジプシーズカフェ内
11:00〜15:00(土日のみ営業)

西インドのカレーは玉ねぎとニンニクの風味が効いて、味が濃くて辛い。ダール(豆)カレー、チキンキーマ、タンドリーチキンなど盛りだくさんのBセット1300円(撮影:西﨑進也)
西インドのカレーは玉ねぎとニンニクの風味が効いて、味が濃くて辛い。ダール(豆)カレー、チキンキーマ、タンドリーチキンなど盛りだくさんのBセット1300円(撮影:西﨑進也)

「間借りカレー」の本場、大阪・天満で店をやっていた冨永卓見さんとガヤさんのカップルが東京・浅草に場所を移し、6月末にオープンした。西インド出身のガヤさんは三重大学に留学後、三重県内で就職し、大阪出身の冨永さんと知り合った。いずれは、東京のこの西浅草あたりで、二人の店を持ちたいという。

冨永卓見さん(左)とガヤさん
冨永卓見さん(左)とガヤさん

このところ都内にもジワジワと増えてきた「間借りカレー」をご存知だろうか。昼は営業していないバーや飲食店など他人の店を昼だけ借りてカレー店を営業するという業態だ。もとはと言えば大阪で広がってきたものだという。

そもそも、ここ数年のスパイスカレーブームにおいては大阪が最大の発信地。昨年まで大阪・天満で間借りカレー店を営業し、今年東京に転じた西浅草『ガヤバジ』の冨永卓見さんは、「天満はとにかく間借りカレー屋だらけ。大阪はホンマに変わったカレーが多くて、魚出汁カレーに炙りサーモンがのっていたり、なんでもアリみたいな感じですね」と語る。魚や豚骨などを用いた出汁カレー、インスタ映えする副菜のせ、そして営業スタイルとしての間借りカレーと、大阪のカレー・トレンドは東京や全国にも伝わっていったのだ。

そして東京でも、いずれ自分のカレー店を持ちたい人、他のキャリアを目指しながら昼だけ飲食店をやりたい人などが、’17年頃からあちこちで個性的な間借りカレー店を開店するようになり、行列のできる人気店も増えてきた。

間借り店のメリットは、何より初期投資の予算が少なくて済むことだ。店を借りて厨房やインテリアを工事するとなれば通常は1000万円以上の資金が必要だが、間借りの場合、十数万円から始められることもある。最近は、間借りのできる飲食店を仲介する新たな不動産ビジネスの会社も登場しているのだ。

間借り店では、店でのイートインだけでなく持ち帰り=テイクアウトのできる店も多く、中には恵比寿の『お昼のサンピーヌ』のように「ウーバーイーツ」と契約して全体の約半分をテイクアウトで売り上げているという店もある。狭いスペース、短時間の営業で効率的な売り上げを得ることも間借り店には重要なポイントなのだ。

神出鬼没が魅力

また、間借り店主たちが口を揃えるのは、「この業態はネットとSNSなくしては成り立たない」ということだ。東高円寺『平日昼だけ』店主の小山直昭さんは「オープンしたての頃はお客さんが少なかったんですが、影響力のあるカレー好きの方たちがブログ、インスタグラム、ツイッターで発信してくださったことで、それを見た方たちが来てくださり、さらにSNSで広がり、ウェブメディアやテレビ番組に取り上げてもらうようにもなりました」と言う。店をオープンする時の開店情報に始まり、売り切れ情報や営業日の告知や宣伝などにも、ツイッター、インスタグラムは欠かせない。

そして、間借りカレー店の何よりの特徴は、突如現れるが、突如なくなることもありがちということ。今話題の店は来年にはなくなっているかもしれないし、まったく別の場所で営業していたり、自分の店を構えていたりするかもしれない。神出鬼没の今しか食べられない味、それが間借りカレーの何よりの魅力なのだ。

和風の出汁が香るやさしい味わいのひと皿 11月末で営業終了の超個性的な店

東高円寺 平日昼だけ
杉並区梅里1-21-21 シュワルツカッツ内
11:30〜15:00(平日のみ営業)

和食店勤務経験のある店主・小山直昭さんは、鰹節、昆布、どんこ(干し椎茸)、いりこで取った、こだわり出汁の和風カレーひと品で勝負。やさしい味わいのカレーだ。たくあん、みょうが、豚バラ肉煮などのトッピング(別料金)もある。和だしそぼろカレー980円
和食店勤務経験のある店主・小山直昭さんは、鰹節、昆布、どんこ(干し椎茸)、いりこで取った、こだわり出汁の和風カレーひと品で勝負。やさしい味わいのカレーだ。たくあん、みょうが、豚バラ肉煮などのトッピング(別料金)もある。和だしそぼろカレー980円

東高円寺にある知り合いのカフェバーを平日の昼間だけ「間借り」した。店内はカフェバーの主人が集めたアンティークでいっぱいだ。店主の小山さんはそれまでカレー店の経験はなかったが、キッチンの広さ、設備や店内の雰囲気などからカレーの店にすることにした。2017年12月に開店し、2019年11月で閉店予定。行くなら今だ。

店主は元アイドルの料理研究家

恵比寿 お昼のサンピーヌ
渋谷区恵比寿1-22-23 サンピーヌ内
11:30〜15:00(日・祝休)

中学、高校時代「制服向上委員会」でアイドルとして活動していた稲石清美さんが今年6月に始めた。現在は料理研究家としてレシピ開発や動画撮影などの仕事のかたわら、この店で、美容効果が高く、「食べる漢方薬」をイメージしたメニューを提供。アイドル時代のファンも来店するという。バターチキンカレー1080円。

インド仕込みのカレーをゴールデン街で

新宿 エピタフカレー
新宿区歌舞伎町1-1-6 あかるい花園五番街 カンガルー内
12:00〜14:30(火水・休)

「DJエピタフ」として活動する佐藤志樹さんが、バーテンダーとして手伝う新宿ゴールデン街のバーで、趣味で作っていたスパイスカレーを出す店をやりたいと2016年の11月から「間借り」を始めた。2種あいがけカレー(1000円)が一番人気。ゴールデン街では間借りカレーの入れ替わりが激しく、この店は老舗の部類に入る

石畳の路地に通じる横丁に佇む新店

神楽坂 スパイスカレー つぼみのかおり
新宿区神楽坂4-5 はじめの一っぽ内
11:30〜13:30(日・休)

ニンニク料理店「はじめの一っぽ」で働いていた大高まどかさんが、今年5月からかつての勤務先を昼間だけ借りて始めた。スパイスのおもしろさに目覚め、組み合わせを工夫し、豆、ごま、わかめなど栄養バランスのいい4品の副菜を添えているのがポイント。現在、自店を持つために物件を探し中だという。チキンカレー1000円。

『FRIDAY』2019年10月11日号より

  • 取材・文鈴木伸子撮影西﨑進也

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