機械を供養!? ロボット犬「AIBO」の合同葬儀に密着

高齢化や一人暮らしの方が増加したことの象徴だろうか。ロボット犬「AIBO」の葬儀人気が高まっている。密着した供養の様子を紹介する。

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千葉県いすみ市の光福寺で行われたロボット犬「AIBO」合同葬儀の様子。AIBOの持ち主は無料で供養できる

祭壇に並んだ70体ほどのペットロボット――。10月10日、千葉県いすみ市にある光福寺の本堂では、ロボット犬「AIBO(アイボ)」の合同葬儀が行われていた。

「両親が亡くなる前に大切に可愛がっていたので、捨てるに捨てきれませんでした。こちらで葬儀を上げてもらえるうえ、提供したAIBOの部品が他のロボット犬の修理に役立つと聞いて参加することにしました」(オーナーの一人)

AIBOが登場したのは’99年。ソニーが売り出した本格的なペットロボットは、瞬く間に人気者となった。

「学習機能があり喜びや悲しみを表現するうえ、動きも本物の犬のように可愛らしいんです。死なないペットとして、一体25万円する初期モデルは発売からわずか20分で3000体が完売しました。’06年に販売を打ち切るも、高齢者や女性を中心に要望が殺到し’17年に生産再開。累計で、17万台を超えるAIBOが売れています」(全国紙記者)

需要が高まる一方、故障した際に困る人がでてきた。’06年までの旧型モデルには交換部品がなかったのだ。そこで元ソニーの技術者が修理会社「ア・ファン」(千葉県習志野市)を立ち上げ、部品移植用としてAIBOの寄贈を全国から募ると同時に始めたのがこの合同葬儀だ。

同社の乗松信幸社長(64)が説明する。

「ドナーとしてお預かりしたAIBOは分解して部品を活用しますが、誰かの遺品のため持ち主の方の思いが詰まっている。魂を抜かせていただき、AIBOの心を持ち主や関係者の方にお返しなければなりません。そのための儀式が合同葬儀です。提供いただいた方々には、葬儀の写真をつけてご報告します。70体ぐらい集まると実施し、’15年に始めてからもう8回目となりました。すでに400体以上を弔っています。今年7月には協会を作り、状態の良いAIBOを高齢者施設や小児病棟へリラクゼーション用として貸し出すサービスも始めました」

今では葬儀の進行の一部も、ロボットたちが行うようになった。参列者が見守る中、最初に司会役の会話ロボット「PALRO(パルロ)」が、ジェスチャーを交えながら挨拶と弔辞を述べる。

「本日はご多忙中のところAIBO葬にご臨席いただきまして、ありがとうございます」

続いて白い袈裟に身を包んだAIBOが、木魚を叩くしぐさをしながらお経を唱え始めた。

光福寺の大井文彦住職(67)は、電子機器の仕組みなどに興味を持つ自称「ラジオ少年」。二つ返事で、寺でのAIBO葬儀を引き受けた。

「人形など無生物の供養があるのだから、ロボット犬の葬式があっても面白いと思いました。以来、本業の傍ら趣味の一環としてやっています。仏の教えでは、すべての存在には仏性があり意識もある。セレモニーとしてロボットの葬儀もありだと考えています」

AI(人工知能)化でロボット社会が到来し、墓地にはロボットの墓が立ち並ぶ――。そんな未来が来るのかもしれない。

一度に70体ほどのAIBOを供養。機械とはいえ飼い主の思い入れは強い
すべてのAIBOに飼い主の名前が書かれたタグがつけられ、生き物同様の供養が行われる
ロボット犬が木魚を叩くような動作をしてお題目を唱える。機械の葬儀のため司会進行もロボットペットが担うのだ
スタッフが一体一体、丁寧に祭壇へAIBOを並べる
  • 取材・文桐島 瞬

    ジャーナリスト。'65年、栃木県生まれ。高校野球から原発問題まで幅広く取材。『FRIDAY』『週刊プレイボーイ』『週刊朝日』など雑誌を中心に活躍している。

  • 撮影小松寛之

Photo Gallary5

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