ブラックすぎる「放送作家」の世界…経費削減でテレビの仕事激減中

連載 スタッフは見た!週刊「テレビのウラ側」Inside story of Television

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「沈み行く地上波」から放送作家が続々とネットTVへ移る現実

今年1月、脚本と演出を担当した朗読劇『芸人交換日記』の初日会見に臨む鈴木氏(左)。飲食店のプロデュースも手掛けるなどマルチに活躍

浜崎あゆみ(41)をモデルにしたドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)が4月18日にスタートする。脚本を担当するのは、お笑いトリオ『森三中』の大島美幸(40)の夫で、人気放送作家の鈴木おさむ(47)だ。

「鈴木氏はテレ朝と関係が深いネットTV『AbemaTV』のドラマ『会社は学校じゃねぇんだよ』でも脚本を担当するなど、最近はドラマ業界にも進出しており、同局幹部の覚えがめでたい。多忙すぎて企画会議に参加する時間がないため、各番組のプロデューサーがわざわざ彼に会いに行って打ち合わせをしているほどですよ」(制作会社ディレクター)

ただ、鈴木氏のように大事にされる〝スター作家〟はほんの一握りだという。

「不況により、どのテレビ局も経費を削減しています。その影響をもっとも受けているのが放送作家です。以前なら2時間の特番を6人の放送作家で作っていましたが、最近では3人で回すこともある。納期が短くなったうえに、仕事量は激増。『身体がもたない』と廃業する作家も増えています」(キー局ディレクター)

夜通し意見を戦わせていた打ち合わせも、「タクシー代が出せない」との理由で取り止め。バイク便やメールで資料を送りつけられ、「5時間で台本を書いて」と指示されることもザラだという。

もっとも悲惨なのは新人の放送作家だ。

「1時間番組の企画出しから、台本書き、小道具の仕込みや番組の進行までやってギャラは1万円程度。そのうえ、人気番組に食い込んでコネを作るために、売れっ子作家にゴマすりをしなくちゃいけない。大御所の放送作家を新人が温泉で接待する、なんて会が開催されるわけです。新人作家の企画を平気でパクる先輩作家もいます。ブラックな世界ですよ……」(中堅放送作家)

ゆえに、「一部のスター作家以外は地上波に見切りをつけ、YouTubeなどのウェブ配信番組やネットTVにシフトしている」と、この中堅放送作家は言う。

「ここ最近、YouTubeを始める芸能人が増えているのは、ネットTVに転身した放送作家が親しいタレントを誘っているからですよ。タレントにとっても、ネットTVのほうが魅力的なんです。スポンサーNGなどの制限が少ないうえに、もはやギャラは地上波と遜色ないですから。NTTドコモが配信する『dTV』はオリジナルコンテンツに力を入れていて、下手なテレビ局よりギャラがいいくらい。有名放送作家たちが続々参入していますよ」

ネットTVではお笑い動画が受けるため、コントやネタの台本が書ける芸人出身の放送作家が重宝されているという。

「芸人出身の放送作家はネタが作れるうえに、芸人たちの気持ちや力量を把握しているから信頼を得やすい。名指しでオファーされることもありますよ。1年目から十分、食える。家事芸人『家事えもん』で人気を博した松橋周太呂(しゅうたろ)なんて、芸人時代は相方の陰に隠れていたのにテレ朝の加地倫三プロデューサーに気に入られて、いまでは多数の担当番組を抱える売れっ子作家です」(吉本興業関係者)

地上波からネットTVへ移る放送作家たちの姿が、沈みゆく船から逃げ出す船員のように見えるのは本誌だけか。

『FRIDAY』2020年4月10日号より

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