新型コロナで『半沢直樹』『SUITS』ほか4月ドラマどうなる?
連載 スタッフは見た!週刊「テレビのウラ側」Inside story of Television
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大河ドラマ『麒麟がくる』が6月7日、朝の連続テレビ小説『エール』は6月27日の放送をもって、一時休止されることになった。両ドラマとも、長期の放送休止は史上初だ。
「民放ドラマはもっと厳しい。NHKはクランクインが早いから、ストックがあった。だから6月まで放送できるのですが、民放ドラマは基本的にギリギリ進行。ほとんどの4月ドラマが1話も放送できていません」(キー局編成担当者)
4月ドラマで全話放送が確定しているのは、1月から撮影を始め、感染拡大前に撮り終えていた鈴木京香(51)主演の『行列の女神~らーめん才遊記~』(テレビ東京系)など数作しかない。
「民放ドラマには珍しく、『行列の女神』を放送しているドラマBiz枠は放送開始前に全話を撮り終える方式。これが幸いしました。『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)が第6話まで放送できたのも、主演の中村倫也(33)の舞台が6月から始まる予定になっていて、撮影を前倒ししていたから。結局、舞台も撮影もストップしてしまいましたが……。
5月17日に放送された第6話のラストシーンは、ソーシャルディスタンスを取りながら撮影されていました。今後、3密を避けた手法が増えるのではないでしょうか」(制作会社スタッフ)
内藤剛志(64)主演の人気シリーズ『警視庁・捜査一課長2020』(テレビ朝日系)では、’18年に放送されたシーズン3の作品に、リモートで撮り下ろした『テレワーク捜査会議』を挿入するという新たな試みが見られた。
「小細工せず、過去の作品を再放送すればいいじゃないか、という声もありますが、再放送だと基本的にギャラが発生しない。一部だけでも新しく撮った部分があれば、新作扱いとなるので、出演者たちは助かるわけです。たった2話でしたが、『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)が放送されたのも、ドラマは1話単位でギャラが発生するからでしょう。
新作が放送されなければギャラが発生しないのはバラエティも同じ。単なる名作選ではなく、タレントがリモートで過去の傑作を振り返るスタイルを取っているのは、彼らにギャラを払うため。局側の苦肉の策なのです」(芸能プロ幹部)
すでに7月ドラマの一部が発表となっているが、4月ドラマの撮影再開のメドは立っていない。
「5月中旬からの再開を予定していた局もありましたが、緊急事態宣言延長を受けて断念。関係者に『5月末まで撮影休止になると思っていてください』と連絡しています。6月中旬までに再開できれば御の字でしょう」(前出・芸能プロ幹部)
再開できても、4月ドラマが7月まで食い込むのは間違いない。次クールのドラマに大きな影響が出そうだが――。
「今年の夏は東京オリンピックが開催される予定だったため、7月クールのドラマは放送期間が短く設定されている作品が多い。オリンピック中継や特番用に空けていた枠も活用できる。ほとんどの作品が時期をズラして放送されると見ています」(キー局プロデューサー)
五輪延期が救いとは、まさに不幸中の幸い。『半沢直樹』(TBS系)など話題作が多いだけに、ぜひ放送してほしい。
『FRIDAY』2020年6月5日号より
- 撮影:原 一平