誕生日に惑星をプレゼント?「JO1」に熱狂的なファンがつく理由 | FRIDAYデジタル

誕生日に惑星をプレゼント?「JO1」に熱狂的なファンがつく理由

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「JO1」の公式サイトより。メンバーは全員日本人だ
「JO1」の公式サイトより。メンバーは全員日本人だ

最近、話題になっている「JO1(ジェイオーワン)」というグループをご存知ですか? 彼らはサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN(プロデュース・ワンオーワン・ジャパン)」から生まれた11人組のボーイズグループです。

前回、「韓国でのサバイバルオーディション番組がなぜ人気があるのか?」というコラムを執筆しましたが、日本でもサバイバル番組から生まれたアイドルが人気を得るという現象が起きているのです。

デビューしてまもないアイドルにとって「登竜門」とも言われる女性雑誌『anan』(6月3日発売号)の表紙に抜擢され話題となっている「JO1」。その人気について、K-POPライターである筆者の視点から、今回は取り上げたいと思います。

デビュー早々、オリコン1位を獲得

「JO1」は、2019年に放映されたサバイバルオーディション番組、「PRODUCE 101 JAPAN」で101人の参加者たちの中から、勝ち残った11人のメンバーによって結成されたグループです。

この番組は、韓国で社会現象を巻き起こしたサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101」シリーズの日本版と言える番組で、当初は「日本では受け入れられるのか?」といった心配もありましたが、そんな心配はよそに日本でも大きな「日プ(「PRODUCE 101 JAPAN」の略称)」ブームを巻き起こし、韓国同様の社会現象となりました。

デビューする11人が選ばれてから数ヵ月後、晴れてデビューを果たしたJO1は、番組放映時から大きく成長した姿でファンの前に現れました。そして、わずか結成1年未満のグループが、CD初動売上32.7万枚、オリコンウィークリー初登場1位を獲得。これは、新人グループとしては快挙で、JO1のデビュー前からの人気の強さを伺わせました。

「JO1」はなぜこんなに人気があるのか?

なぜ彼らがこんなに人気があるのか? それは今までの日本の男性アイドル界では見かけなかった要素が多くあったからと思われます。

韓国生まれである「PRODUCE 101」シリーズの特長は、なんといっても視聴者が「国民プロデューサー」としてこれから生まれる「新しいアイドルを作り出せる」というところにあります。

もちろん、「日プ」においても同様のシステムで番組は進められ、「国民プロデューサー」たちが隠れた才能を見出し、自分たちのお気に入りに投票することでサバイバルが進んで行きました。「自分たちが未来のアイドルを選ぶ」という行為が、ファンたちに優越感を与え、これが多くの視聴者を惹きつけたのです。

また、韓国の「プデュ」シリーズの場合、101人の参加者のほとんどが様々な事務所の「練習生」(デビュー予備軍)として参加していましたが、「日プ」の場合は参加条件が「事務所に所属していないこと」だったため、多くの参加者がいわゆる「素人同然」だったのです。

なかには「日プ」に参加するために事務所を辞めた参加者もいましたが、ほとんどが元々事務所に所属していません。そんな彼らが番組を通じて「本物のアイドル」として成長していく姿を見守ることにより、彼らに対して強い愛着が生まれてくるのでしょう。デビュー前からのJO1の盛り上がりにはそういった要素もあったと思われます。

ファンの間でも韓国語が多く使われている

JO1は、ジャニーズやLDH、スターダストのグループとも全く違う路線で売り出したこともポイントです。「プデュ」が韓国発祥の番組ということもあり、最初から結成するアイドルの形はK-POPに習ったものになるだろうとは予想されていました。

実際、番組の中では、歌、ダンス以外にもラップの能力を見るポジション評価もあり、これは楽曲の中でラップパートをいれるK-POPサウンドの流れを組んでいる形です。ヒップホップが大衆的な人気を持つ韓国では、このラップパートは重要なポジションなのです。

ダンスもK-POPのアイドルグループのような「カル群舞(指先まで揃った刀のようにキレたグループダンスのこと)」を取り入れています。実際にデビュー曲の「無限大」のパフォーマンスビデオでは、11人のメンバーたちがしっかり揃ったカル群舞を見せてくれます。特に曲の後半にあるダンスブレイクには、話題になった上腕二頭筋にキスをする「筋肉キス」のパフォーマンスもあり、必見です。

JO1は、日本のアイドルグループの中でも、K-POPに近い場所におり、それが既存の日本のアイドルファンだけでなく、K-POPファンも多く引き付けたのでしょう。

実際に、JO1のファンである「JAM」の間では、「豆ちゃんペンのチング募集します!=(メンバーの豆原くんのファン友達を募集します!)」や「ペンミでソンムル交換しましょう=(ファンミーティングでプレゼント交換しましょう)」「今日は與那城オッパのセンイル♪=(今日はメンバーの與那城“お兄ちゃん”の誕生日)」などの韓国語が入り混じったやりとりがされていて面白いです。ジャンルを超えて幅広いファン層を得たことは、彼らの人気に結びついています。

素人が出稿する「ファン広告」が日本でも解禁

「JO1」の公式サイトには、ファンによる「応援広告」についての規定が記載されている。事務所がアイドルの素材を使うことを認めているのだ
「JO1」の公式サイトには、ファンによる「応援広告」についての規定が記載されている。事務所がアイドルの素材を使うことを認めているのだ

韓国ではファンが自分の推しアイドルたちの誕生日やデビュー記念日などに、地下鉄やバス停などに広告を出すことが当たり前に行われています。日本で言えば、「渋谷のスクランブル交差点のスクリーンにファンが推したちの広告を出す」といった感じです。

しかし、日本では公共交通機関への出稿は基本的に法人契約であることや、著作権の問題もあり、素人のファンが広告を出すことは難しくもありました。そんななか、この「日プ」の登場から、日本国内での流れが変わってきました。

「日プ」をまとめる吉本興業が、ファンが自主広告を出すための画像の使用許可をだしたからです。もちろん広告を出すためには、吉本興業への事前報告と許可が必要になりますが、基本的にOKを出したことにより、ハードルが一気に下がったのです。

実際、「日プ」放映時には、日本のあちこちに参加メンバーのファンによる「応援広告」が溢れました。このように、ファンが自分の推しの広告を出せるという行為は、この番組を一層盛り上げてきたことは間違いありません。

そして、JO1はデビュー後もその流れを引き継いでおり、現在もメンバーの誕生日を迎えると様々な応援広告が街中を溢れるようになりました。特に、センターで最年少のメンバー、豆原一成の誕生日には日本を含めた世界中のファンが用意した「プレゼント」が話題に。

なんでも、中国のファンが、「Mamehara Issei」の名義でふたご座惑星11個に名前を付けるという壮大なプレゼントしたとか…。いやはや、宇宙規模の凄さで驚きますが、このような規模の大きい「プレゼント企画」がニュースになったりすることで多くの人たちの目に触れ、「彼は日本で人気のあるアイドルなんだ」と知られることにもなるのです。それがファンたちが頑張って広告を出す理由でもあるのです。

ジャニーズとは違う新しい「アイドル像」

今まで、日本の男性アイドルシーンは、ジャニーズが中心で彼らを超えるのは難しいと言われてきました。実際のところ、「男性アイドル」と聞くと、ジャニーズのグループの名前が出てくる人がほとんどではないでしょうか?

しかし、すでに「ジャニーズ」というのは1つのジャンルとして確立されたものであり、唯一無二の存在になっています。「超える」という存在ではないのです。

JO1は「ジャニーズを超える」というよりも、彼らとは全く違うアプローチで「新しい日本の男性アイドル像」を作り出そうとしています。男性アイドル業界が一番盛り上がっているK-POPの要素を逆輸入するような形で生まれたJO1ですが、これから長く続けていく中で、彼らのような独自のスタイルを持ったグループが生まれてくるかもしれません。そうなったときに、日本の男性アイドルの世界は、もっと面白いものになるような気がして楽しみでなりません。

  • 西門香央里

    東京在住のフォトライター。K-POP、韓国トレンド、旅行、グルメ、カルチャーなどを中心にWebメディアなどで活動中。推しには猪突猛進。年3~4回の渡韓でエネルギーを蓄えている。Real Sound、いまトピ、エキサイト、TABIZINE、SHELBEEなどに寄稿している。

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