「緑茶」が秘めたパワー次々と判明!ストレスから脳を守る効果も

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注目の緑茶成分“テアニン”。今こそ日本人は、お茶を飲むべき!

新型コロナウイルスの流行が続き、様々な不安を抱えながらwithコロナという慣れない生活を余儀なくされている今、ストレスの増大は深刻だ。

ストレスは“万病のもと”ともいわれるが、怖いことに、強いストレスを多く感じていた人ほど、脳が萎縮しているという報告がある。“毎日ストレス溜まっちゃって”などと言っている場合ではない。過度、長期のストレスは認知症のリスクを高めることにもなるという。 

そんな悩める現況を、日本が誇る「緑茶」が救ってくれるかもしれない。今年になって、「お茶の成分がストレスによる脳萎縮の予防につながる」という新たな研究結果が報告され、お茶の旨味成分の一つである“テアニン”が注目されている。

テアニンがストレスの軽減に働く効果を研究している、静岡県立大学茶学総合研究センターの海野けい子氏に話を聞いた。 

夏に美味しい涼茶だが、お湯で淹れて冷やした“冷たい緑茶”と、冷たい水で淹れた“水出し緑茶”は、健康成分も味もかなり違うという

今注目されているお茶の成分 “テアニン”は、脳に直接入って働く

お茶といえばカテキンの健康パワーは広く知られるところだが、新たに注目を浴びている“テアニン”という成分がある。リラックス効果があり、睡眠の質の向上などが期待できるということで、ここ数年、機能性食品やサプリメントなどでも名前を聞くようになった。

では、テアニンとカテキンの違いとは?

「カテキンはポリフェノールの一種で、お茶の渋味成分です。抗酸化作用が強く、体の中で活性酸素を除去したり、抗がん作用や糖尿病への効果など、多くの健康効果が知られていますよね。抗菌、抗ウイルス作用がありインフルエンザにも効果があるといわれています。 

テアニンはアミノ酸の仲間で、お茶の旨味成分の一つです。テアニンにはリラックス効果や、ストレスを軽減する作用があり、ストレスが及ぼす脳へのダメージを予防したり、脳の神経細胞の再生を促進するような作用が期待されます」(海野氏 以下同)

こう聞くと、テアニンは主に脳に働く成分のようだ。カテキンはごくわずかしか脳に入らないが、テアニンは直接脳に入るのだという。腸から吸収され、血液脳関門という脳の関所のようなところを通過して、脳内にも取り込まれる。

テアニンがストレスを緩和するとは、実際に脳の中でどのように働いているのだろうか?

「興奮性の神経伝達物質で代表的なものがグルタミン酸、抑制系の神経伝達物質で代表的なものがGABA(ガンマアミノ酪酸)です。それらがあるバランスを保って脳の中に存在していますが、テアニンにはそのバランスを上手く調整する作用があります。 

ストレスを受けると、カーッと興奮する場合と、ドーンと落ち込む場合があります。興奮するとグルタミン酸が増え、逆に少し落ち込んだような状態になるとGABAが優位になります。 

その出方は人によっても、状況によっても違いますが、そのようなグルタミン酸とGABAの出方を調整して、興奮と抑制のバランスを保つようにテアニンが働いているらしいということがわかってきました」

社会的ストレスを長期に渡って受けていると、脳の萎縮、脳の老化が促進されるということが明らかにされている。ストレスを抑制、軽減するということは、脳を守るための重要な鍵なのだ。

お茶の旨味成分“テアニン”は新芽に多く含まれる。春に摘まれる新茶(一番茶)は強い太陽の光にさらされていないため、夏に摘む二番茶などと比べてテアニンの含有量が多い

“テアニン”は高級茶葉に多く含まれる旨味成分。テアニンの量が、美味しい緑茶の基準になる

緑茶の味は、渋味はカテキン、苦味はカフェイン、旨み(甘み)はテアニン、主に3つの成分からなる。 

「テアニンはお茶特有の成分です。きのこの一種に含まれているものがあるといわれていますが、ほぼ、茶葉にしか含まれない成分です」 

カテキンは茶葉の中に10〜20%弱とけっこうたくさんある。テアニンは茶葉に含まれるアミノ酸の中で最も多いアミノ酸だが、カテキンに比べると茶葉中に含まれる量はかなり少ない。その理由は、

「テアニンは、茶木の根のところで作られ、茎を通って葉に届きます。そのため新芽のときはテアニンがたくさんあるのですが、太陽光が当たるとカテキンに変化するため、どんどん少なくなってしまいます。 

玉露や抹茶など高級な緑茶を作るときは、太陽光が当たらないように遮光し、テアニンが分解されないようにして育てます。旨味を減らさないように、テアニンを高い状態に維持するわけです。 

つまりテアニンの多さが、美味しさの基準、高級な緑茶の基準になります。普通の緑茶の場合は特にそういうことをしないので、玉露や抹茶に比べるとテアニンがずいぶん減ってしまっています」 

紅茶も同じ茶葉が原料だが、燦々と太陽を浴びたような状態での葉を使うことが多いため、テアニンはもともと少ないという。さらに発酵の過程で分解も起こるため、緑茶に比べかなり少ない状態となる。

また、抹茶といっても一般的なお菓子などに使われる加工用の抹茶は、テアニンが少なく、カテキン、カフェインの多いものがほとんどだ。

茶葉の生産、世界一は中国。現在、世界中に出回っている緑茶は、抹茶にいたるまでほとんどが中国産。日本の緑茶とくに抹茶は稀少で、海外ではかなり高価なのだ。写真は、中国・浙江省新昌のお茶市場

“テアニン”のもたらすリラックス効果が、集中力を高めて本番に強くなる!?

集中力を高めるというと、カフェインの覚醒作用の方が効果がありそうに思えるが。

「テアニンの場合は、ストレスを軽減する作用の中で、無駄な緊張をほぐすという効果があります。ここ一番というときに、『頑張らなければ』と思いすぎると、緊張して失敗するということがありますよね。そういう余計な力みを減らしてくれる効果があるのかもしれません」

睡眠改善の効果も話題。“テアニン”にはカフェインを抑える作用がある

「緑茶にもかなりの量のカフェインが入っていますが、テアニンには興奮を適度に抑える働きがあるので、カフェインの作用がマイルドになります」 

このため、カフェインの影響は頭がスッキリする程度の穏やかな作用にとどまり、逆にお茶を飲むと「ほっ」と気分が和らいだりするのだという。このようなテアニンの特徴である、脳の興奮を鎮め、心と体をリラックスさせる作用が睡眠改善に効果を発揮するとされ、近年、快眠サプリとして注目されている。 

「中高齢の方々を対象にした研究では、寝付きが良くなる、早朝覚醒が改善されるといった効果が見られていますし、脳波を測ると、深い眠りであるノンレム睡眠の割合がより高まるという結果も出ています」 

海外セレブたちの間でも、緑茶の人気は高い。ジャスティン・ビーバーとデート中だった妻でモデルのヘイリー・ビーバーが、日本でもお馴染みのお茶のペットボトルを持ち歩く姿がキャッチされ話題に

緑茶を毎日飲むことで、認知症のリスクが低減する

「緑茶に認知症を予防する効果があることは、疫学的に明らかになっています。1日1〜2杯の緑茶の摂取で効果が認められ、緑茶を飲む頻度が高い高齢者ほど認知症になりにくいと判明しています。 

緑茶に含まれるカテキンの大半を占める“エピガロカテキンガレート(EGCG)”の働きによるもので、加齢に伴う学習機能の低下や、脳の萎縮を抑える作用があることが動物実験で明らかになっています」

エピガロカテキンガレート(EGCG)は茶葉の中でも緑茶だけに含まれる成分。それなら、緑茶を飲んでカテキンとテアニンのパワーをダブルで摂れば、“敵なし!”と思うところだが、実は、EGCGやカフェインはテアニンの作用を打ち消してしまうこともわかっている。そのため、テアニンの作用を引き出す場合には、緑茶選びや飲み方に工夫が必要だ。

シャキッとしたい朝は“熱いお湯”で、リラックスしたい夜は“水出し”で

「カテキンは80℃以上の熱湯でよく溶出されます。カフェインも高い温度でよく溶出され、温度が低くなると溶出されません。一方、テアニンは温度に関係なく溶出されます。ですから、テアニンの効果を得るには、ぬるめのお湯や水、氷水でお茶を淹れるといいですね」

緑茶に含まれる4種類のカテキンの中で、エピガロカテキンガレート(EGCG)の次に多く含まれるのがエピガロカテキン(EGC)。体の免疫機能を活性化する効果で新たに注目されているが、やはりEGCGが多いと効果が前に出てこない。しかし、こちらもテアニンと同様、温度に関係なく溶出する。

つまり、低い温度でお茶を淹れると、EGCGとカフェインが少なく、テアニンとEGCの効果が得られることに。また、EGCはEGCGに比べて穏やかな渋みの成分。テアニンとEGCが相対的に高まった水出し緑茶は、旨味のあるまろやかな味が楽しめる。

「おすすめは、朝などシャキッとしたいときは80℃以上の熱湯で淹れた緑茶でカテキン(EGCG)・カフェインを摂り、リラックスしたいときや、夕方から寝る前にかけては、ぬるめのお湯で淹れるか、水出し緑茶でテアニンを摂ることです。 

暑い季節は冷たい緑茶がおいしいですが、冬など温かいのが飲みたい場合は水出しした緑茶をレンジで温めればいいんです。テアニンはお茶を淹れるときの温度に気をつければよく、その後に加熱しても影響はありません」

テアニンたっぷり「水出し緑茶」の作り方

水1リットルに茶葉10gを入れ、冷蔵庫で2時間ほど浸出させる。氷水で淹れると、さらにカフェインの溶出が抑えられる。茶こしを使用して別の容器にお茶をこせば、水出し緑茶ができあがる。

「テアニンの効果を得るには、もともとテアニンの多い少しグレードが上の茶葉をおすすめします。中間程度、100gで1000円〜2000円くらいのものを選ぶと良いのではないでしょうか」

脳機能に関しては、緑茶をたくさん飲まなければ効かないというわけではないという。目的に合わせて淹れる温度を変える“通な緑茶習慣”が、ストレスを減らして体と脳を守ってくれる。一日一杯、できれば数杯、毎日飲み続けたい。

海野けい子(うんのけいこ) 静岡県立大学茶学総合研究センター客員准教授。薬学博士。1976年、静岡薬科大学薬学部卒業。静岡県立大学薬学部准教授を経て退職後、現職。老化及びストレスによる生体機能変化の解析や、脳に対する抗老化作用物質・抗ストレス物質の研究等を行っている。

  • 取材・文藤岡佳世

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