嵐・櫻井翔がトップ級 ライヴで光るジャニーズの”コメント力 ”

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7月9日、ジャニー喜多川前社長の一周忌法要のあとに向かったジムを出て、クルマに乗り込む「嵐」櫻井翔。日頃の鍛錬もあって、ブラックスーツをビシッと着こなしていた

3グループ連続で“泣けた”。

悲しみではなく感動の涙が頬を伝う瞬間というのは、それを見るのも自分が体験するのも、どちらもとても気持ちがいい。……何についての話かというと、10月に開催されたKing&Prince 、Snow Man、Sexy Zoneの配信ライヴの(特にオーラスの)挨拶が、それぞれにあまりにも感動的だったのである。

アイドルは、ステージで“成長”を見せていくことも大切な表現の一つ。今回この3組は、メンバー全員が最後にコメントを寄せたのだが、そこにいちいちグループの“現在地”が表出していて、どのグループのことも益々好きになってしまった。

若手3グループそれぞれの「現在地」を表した秀逸コメント

King&Prince(以下キンプリ)は、コロナ禍でもアイドルとファンが結びついていられることへ“感謝”する意味合いの強い挨拶。特に印象に残ったのが、高橋海人の、「ステージに立っていると、アイドルになって良かったと強く思います」(あくまでニュアンスとして)という発言である。

高橋海人は、キンプリの中のダンス番長で、ジャニーズに入る前からキッズダンスの大会で入賞した実績を持つ。まだまだ世間一般には「所詮ジャニーズのダンス」というレッテルが貼られやすい状況の中、彼はブログでも「海人のアイドル日記」というタイトルで文章を綴るなど、アイドルであることに誇りを持って活動している。

「海外にも進出してほしい」というジャニーさんの期待と本人たちの意思もあり、キンプリは昨年11月、アメリカに武者修行に出かけている。そこで自分たちのプライドをズタズタに引き裂かれながら、高橋は、「ボッコボコにされるために行った」とインタビューなどで平然と言ってのける。

彼らのセカンドアルバムは、本来ならその武者修行での経験を活かした、海外進出の足掛かりになるような内容にするはずだったのが、新型コロナの感染拡大により、方向転換を余儀なくされた。ライヴも、「King &Princeここにあり!」というスーパーな部分を際立たせるというより、「一緒に歩んでいこう」というファンの気持ちに寄り添う内容の曲を多くセレクトしていた。

さらに、若くして身近な人の死に何度となく直面しているという平野紫耀は、ライヴの最後に「死ぬなよ!」と叫ぶことがよくあり、この日のオーラスでもその一言を発していた。ジャニヲタにとって、自担(ジャニーズ用語で“推し”のこと)の存在はある種の生きる糧。生き神様にそう言われることで、ヲタの中には、この生きづらい世の中を未来に向かって進む覚悟が生まれるのである。

Snow Man(以下スノ)のオーラスでの号泣について、筆者はその「涙の意味」についてのコラムを一本書いている。彼らの場合は、逆境の中歩んできたことを振り返り、悔しさと嬉しさ、切なさと心強さが相まっての涙だったと思うのだが、ほとんどのメンバーが人目もはばからず号泣できたのは、最初のラウールによる率直な心情の吐露あってこそだろう。

「ポスト嵐の最右翼Snow Man『配信ライヴ』で号泣の背景」(10月30日配信)

10月23日、恩師であるジャニーさんの89回目の誕生日に、「俺たちのダンスや歌なんてまだまだ素人レベル」と発言したことで、SNSが炎上した。それを受けて、オーラスでは、「僕らのファンであることを誇れるグループになります」と力強く宣言。全体的には、“決意表明”の意味合いの強い挨拶になっていた。「もっともっと応援していこう」という希望を与えてくれるのに十分なキラキラとした熱量――。その“嘘のなさ”も、ファンがジャニーズのグループに「一生ついていきたい」と思わされる所以なんだなぁと、しみじみと思った。

そして、これから彼らの時代がやってくることを予感させる感動コメントの嵐だったのが、11月でデビュー10周年イヤーに突入するSexy Zone(以下セクゾ)である。中でも、今年バラエティなどではっちゃけた姿や、時に剥き出しの肉体を披露し、「男も惚れるジャニーズ」として頭角を現しつつある菊池風磨の挨拶は、毎回鳥肌ものだった(ただし筆者が観たのは木金土の夜公演のみ)。

この8月からグループに復帰した松島聡が、配信ライヴでも11月4日発売の新曲「NOT FOUND」と「RUN」の2曲に参加。それにより、毎回の挨拶はセクゾが今完全体になったことを実感させてくれた。

菊池は、今のセクゾの置かれている状況を「かはたれどき」と表現した。これは、「“彼は誰?”と判断ができないような暗闇が支配する時間」が語源で、時刻的には“明け方”を指すとされている。おそらく彼が昨年、舞台「ハムレット」で主人公のハムレットを演じた時に覚えた言葉ではないかと推察されるが、「5人が揃って、ここからセクゾの夜が明ける」と高らかに宣言する時に、そんな詩的なフレーズを織り込むところに、彼の圧倒的ワードセンスのよさが感じられた。

これもあくまでニュアンスだが、「僕たちがそれぞれの道でハッピーに生きるのが一番いいと思っている。メンバーの松島にもいろんな選択肢があった。でもその中で彼が、大きな決断をしてくれた。グループに戻るという決断をしてくれたことが嬉しかったし、僕自身、グループを守っていかなければという思いを強くした」と菊池は語った。

つまり、菊池を含めた4人は、グループでいることに幸福を感じていて、休養していた松島もまた、ハッピーに生きるために、グループに戻ってくれたのだと。セクゾは、この後もファンクラブ限定のアフタートークで、正直な気持ちを吐露していて、本当にあんなに幼かった5人が、こんなに包容力と人間力を備えたグループになったんだなぁ、と古参ヲタは嬉し涙が止まらなかった。

「Sexy Zone SMAP的楽曲でヨーロッパを目指すべき理由」(10月31日配信)

ジャニヲタがツアーのオーラスにこだわるのは、そこにグループとしての成長のあと、ツアーの成長のあとが見えるからである。そして、「なんでもできる」アイドルが磨いていくスキルの中には、「コメント力」というのも含まれる。前出の若手3グループに関して言えば、たまたま配信ライヴでオーラスを見ることができたのはラッキーだった。そして彼らのパフォーマンスのみならず、コトバノチカラによっても、それぞれのグループの沼にズブズブとハマっていってしまう。

期待高まる、櫻井翔の「嵐フェス」オーラス挨拶

そんな中、これまでも数々の名言を残してきた嵐が、11月3日のライヴで、どんなメッセージを発信するのか。セットリストや演出以上に、筆者はそれが気になっている。

そこでキーマンとなるのが櫻井翔だ。櫻井は、ジャニーズウェブのブログで「オトノハ」という連載を持っているのだが、9月15日と10月15日に更新された文章が秀逸だった。

9月は、ブルーノ・マーズが楽曲提供した新曲「Whenever You Call」について、世間が「今聴きたいのはコレジャナイ」的なざわつき方をしていた最中、世界を魅了する憧れのミュージシャンとコラボレーションできる喜びを率直に綴り、またそのミュージックビデオ撮影の日のスケジュールをユーモラスにレポートしていた。さらに10月は、“アラフェスを配信でやる”という選択をした背景についてを切々と語り、バックにつく美少年の2人のメンバーが2009年夏の国立競技場に参戦していたことにも触れ、巷にはびこっていた「アラフェスJr.不要論」を一瞬で吹き飛ばした。

無観客であっても、生配信でなくても。彼らのパフォーマンスは、常にその時その時で最善を尽くした結果である。5人の嵐で立つ新しい国立競技場。それは、ライヴを観た人にとって必ず“忘れられない景色”になる。嵐を愛し、嵐に励まされ、嵐に癒され、嵐に救われた人全員が、配信という形でライヴを体験できることは、“嵐の前では誰もが平等”ということを実感させるための神様の粋な計らいのようにも思える。

だからこそ、目にはそれぞれの景色を焼きつけながら、心には、歌詞も含めた彼らの“コトバノチカラ”を刻み込みたい。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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