旨すぎて手に入らない! 幻のきのこ「玉白茸」を知っていますか?
〝山のアワビ〟と称され、エリンギの3倍も肉厚 !高級レストランが買い占めるため市場に出回るのはごくわずか
一度(ひとたび)食すと、コリコリした歯ごたえと甘みで思わず笑顔になる――。
〝幻のきのこ〟『玉白茸(たましろのたけ)』をご存じだろうか。最大の特徴は一本で270gにもなる大きさだ。実にエリンギの3倍も肉厚で〝山のアワビ〟と呼ばれている。さらに驚くべきはその糖度。一般的な苺が12度なのに対し、玉白茸の糖度はなんと11度。果物にも劣らぬ甘みの持ち主だ。
開発者の川合源四郎さん(74)は語る。
「中国産のきのこ・バイリングとエリンギの遺伝子が似ていることに目をつけ、交配。2年かけてエリンギのくさみをなくし、食感を良くしつつ、甘みを増すことに成功した私の最高傑作です」
唯一のネックが栽培方法だ。生産者である株式会社『HASIMOTO』の代表・橋本崇さん(35)はある〝特有の作業〟が栽培を難しくしていると言う。
「『芽かき』が非常に厄介なんです。栄養が一本だけにいくよう他の芽を間引く作業なのですが、単純に大きい芽を残せばいいわけではなく、経験と勘が必要。習得までに時間がかかり、多くの業者が撤退しました。現在、栽培に成功しているのは全国で2ヵ所のみです」
生産量が少ない一方で、「仕入れ希望が後を絶たない」と橋本さんが語るとおり、老舗(しにせ)すきやき屋『はり重』や高級ホテル『オークラ』などがこぞって買い付けるため、ほとんど市場に出回らない。それが「幻」と呼ばれるゆえんである。
玉白茸の旬は11月。もし手に入った際には幻の味を心行くまで堪能してほしい。
![見た目はエリンギに似ているが、傘部分まで白いのが特徴。えぐみがなく、どんな料理にも合うという(撮影:加藤 慶)](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/12/0e4d81c36158896eb17cf4287dad607c.jpg)
![『きのこ博士』として知られる川合さん。「キッコーマン」の社員時代から40年以上も研究を続けている(撮影:濱﨑慎治)](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/12/634e287ce142c4eea7634028c6f897b3.jpg)
![本誌未掲載カット 旨すぎて手に入らない! 幻のきのこ「玉白茸」を知っていますか?(撮影:濱﨑慎治)](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/12/ac379ed36cd738d6de5e67fcd0af862d.jpg)
![本誌未掲載カット 旨すぎて手に入らない! 幻のきのこ「玉白茸」を知っていますか? 生産者の橋本崇氏(撮影:濱﨑慎治)](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/12/0f07f6a1d9cddaefd643ca2519367d2e.jpg)
![本誌未掲載カット 旨すぎて手に入らない! 幻のきのこ「玉白茸」を知っていますか? 開発者の川合源四郎氏(撮影:濱﨑慎治)](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/12/53aee75bfbba872efb36496b15da866a.jpg)
『FRIDAY』2020年12月11日号より
- 撮影:加藤 慶(1~2枚目)、濱﨑慎治