アンガ田中卓志が再評価 生放送も安心な隠れインテリのコメント力 | FRIDAYデジタル

アンガ田中卓志が再評価 生放送も安心な隠れインテリのコメント力

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クリスマスに南海キャンディーズの山里亮太とともに合コンに望んでいた田中。残念ながら女性陣は1時間で帰ってしまった(’14年)
クリスマスに南海キャンディーズの山里亮太とともに合コンに望んでいた田中。残念ながら女性陣は1時間で帰ってしまった(’14年)

的確かつ愛情あふれるコメントを連発

14日に生放送された『女芸人No.1決定戦THE W 2020』(日本テレビ系)でピン芸人の吉住が4代目女王に輝き、ネタのクオリティに今なお称賛の声が挙がっている。吉住は賞金1000万円を手に入れたほか、日テレ系の14番組への出演権を得るなど、一夜にしてスターの仲間入りを果たした。

そしてもう1人、「過去最高レベル」と言われ盛り上がった同番組の立役者として称賛を集めているのが、審査員を務めたアンガールズ・田中卓志。まず印象的な田中のコメントを3つ挙げてみよう。

「(紅しょうがに負けた)ターリーターキーは7-0になるほどの差はないんですけど、伊藤さんのお芝居うまいし。玉さんがボロボロになるの、面白いじゃないですか。だから負けたけど平場(ネタ以外のパート)映えしそうな感じは凄いするんですよ。だから期待していいと思うし。(勝った)紅しょうがは『フレーズの強さがあったかな』という印象でした」

「(僅差で負けた)Aマッソ、凄かったんですよ。ネタの斬新さは今までにないくらいで、映像ネタと漫才がリンクしたときに笑いが起きるっていう、お笑いの時代が1個進んだくらいのネタだったんですけど、現場のウケっていうことでは(ゆりやんレトリィバァの勝ち)。ゆりやんが特に説明もなくはじめていくんですよ。それが徐々にわかってきたころに崩していくという……これが心地よくて」

「(吉住の)“女審判”というフレーズも設定も今まで見たことがないし、演技力も圧倒的にあって今後グングン伸びそうに感じたんで。ゆりやんも面白かったんですけど、『流れも吉住にプラスしたかな』って。(ゆりやんの強烈なネタで)ワーって荒れたあとにこんなきっちりとした(吉住のネタ)の見たら推したくなるという順番の流れもありました」

田中はこれらの的確かつ愛情あふれるコメントを連発して、視聴者に審査の意図を伝え、出場者をねぎらっていた。Aブロックではあまりコメントを求められなかったが、Bブロックでは他の審査員を差し置いて連続で振られていたことも、生放送に対応したフレーズの冴えを物語っている。

「生放送のコメントがうまい」業界評価

ただ田中は、「キモキャラ」という芸風のイメージからあまり知られてはいないが、以前から業界内では、そのコメント力が評価されていた。実際、田中は『有田ジェネレーション』(TBS系)や『そろそろ にちようチャップリン』(テレビ東京系)などのネタ見せ番組で審査員を務める機会が増えている。しかも、それがことごとく的確で、愛情を感じさせる言葉であるため、審査員の中でもコメントを使われることが多いという。

さらに田中のコメント力はバラエティに留まらず、情報番組でも発揮されている。まず『バイキング』(フジテレビ系)には2014年4月の番組スタートから現在まで7年弱に渡って出演中。「当初はアンガールズとしての出演だったが、2018年3月に山根良顕が卒業したあとも田中だけで出演していること」「これまで3度の曜日変更があり、火曜を除く月・水・木・金の出演歴があること」という経緯がコメント力への高評価を裏づけている。

土曜朝の生放送情報番組『土曜はナニする!?』(関西テレビ・フジテレビ系)にも準レギュラーとして出演していることや、『THE W』の審査員も含め、「生放送のコメントがうまい」とみなされているのだ。

アンガールズがブレイクした2004年から16年が過ぎたが、その間、毎年新たな芸人が現れる厳しい世界で生き残ってこられたのは、「田中がキモキャラだから」だけではないだろう。強烈なインパクトの見た目ばかり注目されがちだが、イジられたときの切り返しなど、必ず笑いにつなげられるコメントのうまさが評価されていたのだ。

また、芸歴が長くなるにつれて若い世代との共演が増えたことで、あのタモリが絶賛した人柄の良さが視聴者にも伝わりやすくなりはじめた。後輩芸人への応援、配慮、ねぎらい、アドバイスなど、その多くが優しさを感じさせ、「キモキャラ」どころか、良き先輩そのものに見える。たとえば、『THE W』で7-0の完封負けを喫したターリーターキーなどは、田中の存在によって救われたのではないか。

地元の神童で国立大卒のデキる男

これもあまり知られていないが、田中は国立の広島大工学部を卒業したインテリ。大学院にも合格していたが、芸人という夢を選んだ異色の経歴を持ち、さらにさかのぼると、幼少期は地元で「天才少年」と呼ばれていたことを明かしている。

もともと勉強ができる上に、審査のような論理的思考も、どんなMCや出演者とも合わせられるコミュニケーション力も、併せ持っているのだから、売れっ子でいられるのも当然だろう。今後も「キモキャラ」はもちろん、ますます仕事の幅が広がっていくのではないか。

加えて、芸人仲間たちから愛される人柄の持ち主であり、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の「スタッフ166人が現場で感じた 嫌われ系芸人リアル好感度GP」で断トツ1位になったこともある。つまり、「スキルも人望もある」ということか。

アンガールズ・田中卓志は、全然キモくないし、むしろ最高にイケてる人のようだ。もしかしたら来年あたり、出川哲朗がそうであったように、キモキャラから国民的愛されキャラに一変するかもしれない。

  • 木村隆志

    コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、地上波全国ネットのドラマは全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

  • PHOTO山田宏次郎

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