金正恩が危惧…『イカゲーム』に北朝鮮が警戒心を募らせる理由 | FRIDAYデジタル

金正恩が危惧…『イカゲーム』に北朝鮮が警戒心を募らせる理由

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『イカゲーム』は世界中で社会現象に。キャラクターに扮した人々で溢れる(画像:AFP/アフロ)
『イカゲーム』は世界中で社会現象に。キャラクターに扮した人々で溢れる(画像:AFP/アフロ)

南朝鮮(韓国)で、ドラマ『イカゲーム』が視聴者の人気を集めているという。極端な生き残り競争と弱肉強食体質が蔓延した、南朝鮮と資本主義社会の現実を暴いているからだろう〉

こう皮肉まじりに報じたのは、北朝鮮の対外メディア『メアリ(こだま)』だ。1012日に「南朝鮮社会の実像を暴露するドラマ『イカゲーム』が人気』と題する記事を配信。ドラマの内容を紹介しつつ、韓国を「不正や腐敗が蔓延」「道徳が廃退」と酷評している。

『イカゲーム』とは、今年9月からコンテンツ配信サイト「Netflix」で公開された作品だ。全世界で1億5000万近い世帯が視聴し、「Netflix」最大のヒット作となっている。内容は拉致された456人の人々が、456億ウォン(約45億円)の賞金を求め「だるまさんが転んだ」などのゲームに参加するというもの。負けると容赦なく命を奪われ、凄惨な惨殺シーンも多い。前出の北朝鮮メディア『メアリ』は、こうも記している。

就職、株など、熾烈な競争の中で脱落者が激増しているのが南朝鮮だ。こんな社会で勝者になった者は、敗者の遺体の山の上に立っていることを覚えておくべきだろう。カネだけで人を評価する世の中で生きる現実が、恨めしい、恐ろしいという声であふれている。『イカゲーム』は現代の苛烈競争社会をシンプルに娯楽的に表現し、人々の共感を得ている〉

『愛の不時着』より危険な理由

『メアリ』は、北朝鮮国内にいる人々が閲覧することができないメディアだ。朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』は、『イカゲーム』について触れていない。朝鮮半島情勢に詳しい『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が語る。

「北朝鮮の国内メディアは、『イカゲーム』について書けないでしょう。たとえ批判的な内容であっても、国民の好奇心を刺激してしまいますから。対外メディアが、内容に触れつつ韓国批判をするのが関の山だと思います。

指導者・金正恩氏は、韓流カルチャーの蔓延を取り締まる『反動的思想・文化排撃法』を強化。韓国のドラマや映画を視聴した人間は、死刑を含む極刑にすると警告しています。海外からのコンテンツ流入で、人々に自由主義的な思想が芽生え、金ファミリーを中心にした独裁体制が崩壊するのを恐れているんです」

だが1912月から20年2月に放送され、南北朝鮮を舞台にした韓国の大人気ラブコメディ『愛の不時着』が、北朝鮮でも視聴されていたのは有名な話。北朝鮮の対外メディア『ウリミンジョクキリ(我が民族同士)』は、「虚偽と捏造に満ちた作品」と批判していた。高氏が続ける。

「いくら規制を強化しても、『イカゲーム』の国内流入も防げません。北朝鮮の人々が見たら、どう感じるか。まず想起するのは、日常的に行われている公開処刑でしょう。

韓国だけでなく、北朝鮮の現実も反映していると。金正恩氏への批判意識が芽生え、体制の不安定化にもつながるかもしれません。男女の恋愛がテーマだった『愛の不時着』より、当局にとっては脅威となる作品なんです」

金正恩氏の独裁体制を倒すキッカケは、強力な兵器や経済制裁でなく、海外ドラマかもしれない。

  • 写真AFP/アフロ

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