中田、清宮、オコエ…背水選手「戦力外やトレードも」厳冬のオフ
最後まで結果を出せなかった。
巨人の今季最終戦となった、10月24日のヤクルト戦。中田翔(32)は、約10日ぶりに5番としてクリーンナップを任された。だが2打席凡退に終わり、4回裏の守備からベンチに下げられる。暴行事件を起こし8月に日本ハムから電撃移籍してから、打率.154、3本塁打、7打点。昨年のパ・リーグ打点王として期待されながら、まったく物足りない成績だ。
「移籍は、全権を委任された原辰徳監督の意向で決まりました。原監督の任期は、今シーズンで終わります。9月3日の阪神との首位攻防戦から、9勝25敗と大きく負け越し借金生活。一時はBクラス転落危機で退任も噂されましたが、なんとかクライマックスシリーズ(CS)進出を決め続投が濃厚になっています。
万が一、原監督が辞任すれば、中田は巨人での後ろ盾がなくなります。最悪、戦力外通告を受けてもおかしくありません。問題を起こし批判を受けて入団しながら、あの成績では……。原監督の続投で、中田は首の皮1枚つながった状態です」(球団関係者)
だが、楽観はできない。
「3億円(推定)の年俸に見合った働きには程遠く、大幅ダウンになるでしょう。凡打の山で、完全に打線の勢いを止めていましたからね。来季は勝負の年になります。今季と同じような成績なら、さすがに原監督もかばいきれない。トレードに出すにも問題を起こした選手を、再度とる球団はないでしょう。引退が現実味を帯びてくるんです」(同前)
妹ががんばっているのに……
長年、日ハムで4番を務めた中田の穴埋めを期待されたのが清宮幸太郎(22)だ。だが……今季の清宮は4番どころか1軍出場の機会すらなかった。
「18年の入団以来、毎年打率2割前後、2ケタ本塁打ナシと低迷が続き、今季はファームでじっくり実力をつけさせようという球団の方針だったんです。しかし、課題は克服されていません。2軍ではリーグトップの19本塁打を記録しましたが、打率は.199。安定性を欠いていました。
中田が抜け長打力不足に悩む日ハムは、来季、清宮に1軍でチャンスを与えると思います。ただ、入団から5年たっても芽が出なければ、球団もなんらかの決断をしなければならないでしょう。いくら甲子園をわかせた人気選手とはいえ、いつまでもガマンして使い続けるわけにはいかない。他チームの長距離砲を獲得するために、トレード要員になることも考えられます」(スポーツ紙担当記者)
清宮同様、楽天・オコエ瑠偉(24)も甲子園のスターだった。だが1軍では毎年打率1割台と低迷し(2年目の17年のみ3割)、今季も春に受けた左手関節手術の影響で2軍スタート。8月13日に1軍復帰したが、10月24日のソフトバンク戦で送球ミスをし再び2軍降格となった。
「2軍降格は、オコエを叱咤する意味合いが強い。気分屋で自分に甘いところがありますからね。コーチが注意すると、スグ不貞腐れてしまうんです。石井一久監督も、昨年末にこう批判しています。『考えが甘い。そろそろ出てこないと彼自身の野球人生が苦しくなる。自己評価が少し高い感じがする。チャンスを与えてハイどうぞ、という訳にはいかない』と。
ただ以前に比べると、気持ちのムラもだいぶ改善されました。キッカケは妹です。妹の桃仁花(もにか)は、女子バスケットボールの日本代表として、東京五輪に出場。彼女は、日本で数十例しかない『白線ヘルニア』という難病を克服し代表入りしています。闘病中も前向きで、弱音をほとんど吐かなかったとか。本番へ向け、トレーニングもストイックに続けていました」(球団関係者)
彼女の姿勢に触発されたのだろう。妹ががんばっているのに、兄のオレは満足のいく結果を出せず何をやっているんだと。
「最近は謙虚に首脳陣の話を聞き、練習にも熱が入っています。もともと足が速く、肩の強さも一級品で、身体能力が高い。厳しいシーズンが続いていましたが、気持ちを入れかえた来季は期待できますよ」(同前)
三者三様のオフとなりそうな、背水の選手たち。今季の不調をバネに、低評価をくつがえす活躍ができるだろうか。
次の記事はこちら #4 中田翔、清宮、オコエ…戦力外危機「崖っぷち選手」たちの明暗
- 写真:共同通信社