「黒塗りから白塗り」で都ファの公約進捗表示が「実現」になった訳 | FRIDAYデジタル

「黒塗りから白塗り」で都ファの公約進捗表示が「実現」になった訳

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都民ファーストの会に問い合わせてみると…

昨年、東京都がIR(統合型リゾート)関連文書などをほぼ「黒塗り」で情報開示したことが批判されたことを受け、「黒塗り」がいつの間にかこっそり「白塗り」に変わっていたことが『しんぶん赤旗』(11月23日号)で報じられ、話題となった。

記事によると、江東市民連合の事務局長が6月に行った開示請求に対し、東京都とカジノ業者の面談記録が「白塗り」で出てきたことから判明したという。実は東京都では今年1月に情報公開に関する要綱を改定し、非開示部分を「白塗り」にできると定めたそうだ。

東京都は同紙の取材に対し、「白塗り」の理由を「視認性の向上」と説明しているが、この問題が報じられることでもう一つ浮上してきたのは、小池百合子都知事と都民ファーストの会に対する不信感だ。

就任直後の2016年8月12日の定例会見では、「透明化、見える化は不可欠な課題でありまして、そして都政全体に、またあらゆる課題にこの見える化を広げていきたいと考えております」と発言していた小池知事だが…(写真:アフロ)

公式HP内の公約「のり弁をやめます」が「実現」に!? 

なぜなら、都民ファーストの公式サイト内にある「公約進捗」ページの2番目の項目「のり弁をやめます」が、他の項目が軒並み「一部実現」とされているなか、「実現」と表示されているためだ。

まさか都民ファーストとしては、「黒塗り」をやめて「白塗り」としたことで「公約実現」という解釈をしているのだろうか。だとしたら、あまりに東京都民をバカにした対応に思えるが……。

そこで、都民ファーストの会に対し、「いつの段階で、どういった根拠から『実現』としたのか」「白塗りが都民ファーストの会の方針でない場合、『白塗り』にする現状を変えようと思うか。また、新たな公約に『白塗りをやめます』を掲げる予定があるか」などを問い合わせたところ、文書で以下の回答があった。

「都民ファーストの会では、当時の既存政党ではなかなか行われていなかった、『選挙に掲げた公約(政策)』の進捗状況を分析し、選挙後1年となる2018年から377項目の政策について、2020年からは5つの重点政策と14の基本政策も対象に加え、毎年公開しております」

そうした前提の上で、「のり弁やめます」については、こう説明している。

「平成29年に都民ファーストの会が必要性を訴えていた『東京都公文書の管理に関する条例』が制定され、情報開示ルールが改定、開示費用も大幅に削減したことなどから、2020年の進捗評価の段階で既に5段階評価の『5:新たな政策により、課題解決に向けて大きな成果を挙げているもの。』に当たると判断し『実現』としており、ご指摘の理由により『実現』としているものではありません。

また、ご指摘の事項は当会の方針によるものではありません。これまでも、行政側の情報開示に不適切な対応があった場合には都度改善を厳しく求めており、今後も都民ファーストの視点で公約の実現や制度の一層の充実に取り組んで参ります」

つまり、「実現」としたのは「白塗り」前のことであり、「白塗り」にしたから「のり弁をやめた」という解釈ではないということ。そこで追加の質問をぶつけてみた。

「『これまでも、行政側の情報開示に不適切な対応があった場合には都度改善を厳しく求めており、今後も都民ファーストの会の視点で公約の実現や制度の一層の充実に取り組んで参ります』とありますが、都が黒塗りを白塗りに変えたことについて不適切な対応だったという認識はありますか。また、改善を求めるご予定はありますか」

それに対する回答は、以下である。

「情報公開の徹底を進めることは重要であり、非開示箇所の色により適否が判断されるものではないと考えます。情報公開において、条例に基づき個人情報保護などから一定の制限が発生するケースもありますが、情報開示に不適切な対応があった場合には引き続き改善を求め、制度の一層の充実に取り組んで参ります」

「非開示個所の色により適否が判断されるものではない」のは当然のこと。正当な理由がなく「非開示」であることが問題なわけだが……。少なくとも都民ファースト的に「白塗り」は「情報開示に不適切な対応があった」という判断ではないということなのだろう。

この一件で改めて思い出されるのは、「東京都 情報公開制度運用見直し」というニュースが6月3日、NHKで報じられたこと(※過去記事参照)。特定の人から頻繁に請求があったり、対象となる文書が膨大になったりすることで、業務に支障が出ているとして、開示請求を受け付けない基準を設けることを検討していると報じられていた。

この件はNHK独自のスクープだったが、12月5日付の毎日新聞では、東京都情報公開・個人情報保護審議会の二つの専門部会が非公開で「密室審議」されたこと、審議会の分科会で有識者らによる「権利濫用基準検討部会」などが開かれたことが報じられた。さらに、その一方で「黒塗りから白塗りへ」という変更も着々と進んでいたとは。

専門家の見解は…?

この問題について、法学者で早稲田大学大学院法務研究科の岡田正則教授は次のように指摘する。

「黒塗りを白塗りに変更したことは、『黒のり弁』を『白のり弁』にしただけ、つまり“かぶせ物”の色を変えただけですから、実質的に何の『進捗』にもなっていないといわざるをえないでしょう。『公約』(課題解決)の内容が、『都庁のコピー機のトナー費用を節約する』という趣旨なら『公約実現』ということになるでしょうが、都民ファーストの『公約』は常識的に考えて、そうした趣旨ではなく、『情報公開部分を広げます』という趣旨だったと考えられますから、とうてい『公約実現』とはいえないと思います」

また、「黒塗り→白塗り」への変更は実はかなり悪質だと指摘するのは、“開示請求の鬼”で「開示請求クラスタ」のWADA氏である。

同氏は東京都の「白塗り」に対し、法的検討プロセスや法的見解の分かる文書の開示請求を11月23日付で行った。

それに対し、東京都は12月7日付で「レク資料 (令和2年12月3日) 」「会議等議事要旨記録票」の開示を決定。その一方で、法的プロセスや法的見解については「当該公文書は、実施機関において作成及び取得しておらず、存在しないため」という理由で、非開示決定を出している。

「つまり、開示決定では『白塗り』が昨年からすでに検討されていたこと、非開示決定では『法的検討をしていない』ことがわかるわけです」(WADA氏)

『白塗り』では、非開示となった箇所の文章の長さや文字数などがわからない…

WADA氏は改めて今回の問題の危険性を次のように語る。

「今回の問題は、都議会で決議もされず、内規の変更だけで決まっていることが一つ。さらに、明示的なマスキング(黒塗り)の場合、非開示となった文字がその下にあるため、消した文字数などがわかります。

現状は『白塗り』でも不開示部分が分かるということですが、今後さらに内規の変更だけで、非開示部分を紙色で塗り、非開示部分の有無まで隠蔽するようになれば、非開示となった箇所の文章の長さや文字数などもわからなくなります。これにより、消したこと自体わからないことになる可能性もあることから、公文書改窟 • 隠蔽に当たるとも考えられます。『黒塗り』よりも悪化する危険があります」

本当の意味で「のり弁やめます」が「実現」となる日は、いつになるのか…。

WADA氏による開示請求「本開示請求受付(2021年11月23日)の日までに行われた『白塗り』のすべての実例が分かる 一切の文書」に対しての東京都からの延長通知書の一部。これにより、既に5つの部署で「白塗り」が行われていることが推測できる

※「赤木ファイルに学術会議問題…日本の『知る権利』に起こった大問題」はコチラ

  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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