エハラマサヒロが明かす「芸人の僕が漫画を描き始めたワケ」 | FRIDAYデジタル

エハラマサヒロが明かす「芸人の僕が漫画を描き始めたワケ」

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「お笑い芸人」という枠では収まらない活動の幅を見せるエハラマサヒロ

芸人のエハラマサヒロが11月26日に『エハラんち 芸人7人大家族 ドタバタ奮闘記』(集英社)を出版した。これは、妻と5人の子供と暮らしている彼が、家族との日常を描いた漫画作品である。

エハラは漫画だけでなく、YouTubeでも家族との日常を積極的に発信している。そんな彼は芸達者な芸人としての自分と「大家族タレント」としての自分をどのように使い分けているのだろうか?

漫画とピンネタの共通点

――この漫画の企画の段階では、ご自分で絵を描くつもりはなかったそうですね。

エハラ:絵を描くのは得意じゃないので、上手い人に任せた方がいいんじゃないかと考えていたんです。でも、編集の方に「いや、エハラさんご本人に描いてほしいんです。下手でもいいので」と言われて、描くことになりました。

――ご自分では絵が得意だという意識はないんですね。

エハラ:全然ないですね。見ての通りです(笑)。だから苦労しました。やっぱりプロのお仕事として考えたときに、ある一定のラインは超えなきゃいけないと思っていたので。

――初めて漫画を描くというのは、いい経験になりましたか?

エハラ:なりましたね。やっていないことだから、上達というのも徐々に見えてきたし。しんどいですけどね。得意じゃないことをやらなきゃいけないから足が重いんですよ。いつも締切ギリギリになって編集の人をむっちゃ困らせていました。締切当日の昼にまだできていないっていうこともあったし。何とか2年間、一度も遅れることなくやれたんですけど、大変でした。

――普段からネタ作りはされていると思いますが、漫画を描くという作業はそれとは違いますか?

エハラ:そこが面白かったところでもあるんですけど、やっぱりネタとは笑いの生み方が違うんですよ。僕の漫画はウェブ連載だったので、最初に8コマあって、次のページでまた8コマがあるんです。だから、最初の8コマ目までに、次のページを見たくなるようにしないといけない。そういうことを考えながらコマ割りするのが楽しかったです。

単に16コマ目で落とす(オチをつける)ことだけを考えると、8コマ目なんてまだ話の途中だったりする。でも、そこまでで波がなかったらその先を読んでもらえないじゃないですか。これって芸人のネタのゴングショーと一緒なんですよ。

――面白くないと途中で切られてしまうんですね。

エハラ:そうそう。賞レースなんかだと予選でもしっかりよく見てくれるけど、ゴングショーはおもんなかったらアウトってなるから、その構成を作るためには最初の方にも小ボケを挟んでいかなあかんという。

――そこまで考えるのは苦しくなかったですか?

エハラ:苦しいです。だって、(最後のオチのためにネタを)しっかり振りたいのに、途中で小ボケを入れると(フリが)死ぬじゃないですか。

――本当にネタ作りの話を聞いているみたいですね。

エハラ:それと近かったですね。でも、落とし方がちょっと違ったりするんです。逆にここは間を取った方がおもろいな、ということがあったり。1コマずつ言葉を返していった方がテンポ的にはいいんだけど、1コマ空けて考えさせてから一言の方がおもろいな、とか。だから、ちゃんと芸人的な頭も使ったものであったとは思います。

YouTubeを始めたワケ

――どう描くかという構成の部分では苦労をされたようですが、何を描くかというアイデアの部分では困ることはなかったですか?

エハラ:そうですね。今日はこういうことがあった、みたいなことを毎日嫁としゃべるんですよ。その中で面白いことが生まれたりするので。漫画用というよりはトーク用にメモっていたものを漫画に反映させたら、トークでしゃべるのとはまた違う面白さが生まれたりもしました。

――エハラさんはYouTubeでも「エハラ家チャンネル」というチャンネルを持っていて、ご家族の動画を配信していますよね。漫画よりもそちらが先だったんですか?

エハラ:いや、ちょうど同時期くらいですね。どちらかが話題になったからというわけでもなく、たまたま一緒ぐらいに始めました。

――YouTubeを始めるきっかけは何だったんですか?

エハラ:僕は昔から新しいものが好きなので、YouTubeもずっと見ていて、10年くらい前にもやろうかと思っていたんです。でも、そのときはまだ芸人がほとんど誰もやっていなくて、芸人がやったらあかん空気もあって。そのときは自分のやっている仕事に影響出ちゃうなと思ったから、すぐにはやらなかったんです。

その後、徐々にみんなの認識も考え方も変わってきて、始めようかなっていうタイミングもあったけど、この世界では簡単な気持ちでは勝てないなっていう感じだったんです。早めに始めたけど全然伸びない人もいっぱいおって。

僕が始めたきっかけは、直接的にはカジサックさんの成功が大きいですね。あれだけきれいな成功事例ができたら、これはいけるかもわからへんと思って、今がチャンスかなと。

最初は自分のチャンネルを立ち上げて、サブチャンネルで家族と一緒に何かやろうかなと思ったんですよ。でも、調べてみたら、本当にホームビデオみたいな家族チャンネルで何百万人もフォロワーおる人がおったんです。それを見て、面白そうやな、記録として残るしな、と思って。

やっぱりやるからには伸びてほしいから、今はこっちやなと思って、家族のチャンネルを最初にスタートしたんです。そっちが上手いこといったから、自分の個人チャンネルはまだないんです。

――いずれ個人チャンネルを持ちたいというお気持ちもあるんですか?

エハラ:今は別にやりたくはないですね。というのも、もうYouTubeがテレビ化されてきちゃって、いろいろ規制が厳しくなっているんですよ。だから、自由にできないんです。自分で発信するんやったら、NetflixとかAmazonプライムとかそっちの方がいいかもわからないですね。

――やりたいネタの中に規制に引っかかるようなものがあるということですか?

エハラ:僕のネタってだいたい意地悪なネタですからね。基本的に好かれないんですよ。10年前は死ぬほど叩かれていたし、芸人からも嫌われていたんです。ただ、家庭を持ったこともあって、子供たちがいじめられへん方がええよなと思ったりして。かわいそうな思いはあんまりさせたくないから、バランスは考えています。

家庭を持ったことで、以前のネタと比べてバランスを意識するようになったという

――家庭を大事にするキャラクターが広まったことで、とがったネタがやりづらくなったりすることに葛藤はないですか?

エハラ:僕が強烈におもろいことだけを追い求めているような人やったら、たぶんそういうネタもやっていると思います。でも、僕はほかにも興味あることがあって、それが最優先事項ではないから、マイナスがあるんやったら今は置いといてもええかな、と思っているんです。今やっていることは自分も楽しいし、マイナスの少ないことなんですよね。今はマイナスの方が目立つ時代なので。

――確かに、最近は芸能人も1回しくじったら終わりみたいなところがありますよね。

エハラ:そう考えると、マイナスの要素を持ったものはたまに出すくらいでいいのかな、って。YouTubeを始めるとレギュラーになるわけじゃないですか。そこでとがったことやリスキーなことをずっとやっていく必要はないかなと。

もっと人気が欲しいとかお金が欲しいとかよりも「明日、何やろうかな」っていうワクワク感が人よりも強い人間でありたいから、お笑いで思いっきりファイティングポーズ取るのをやめたんです。最近はミュージカルにもよく出ているんですけど、めっちゃとがったお笑いをやっている人だったら、たぶんそういうのも呼ばれてないでしょう。

僕がそこに出られているのはなぜかというと、芸人としてそこまでおもんないからやと思うんですよ。ゴリゴリのお笑いをやっていて、テレビでアソコを出してモザイクかけられたりしていたら、たぶんそういうところには呼ばれない。ご年配の方とかに嫌悪感を持たれるから。

お笑いをめちゃくちゃやりたいと思ってこの世界に入ってきたけど、入ってみていろいろなことをやっているうちに、もっと楽しいことも見えてきて。そのバランスの中でなるべく楽しいことをチョイスしてやっているので、今はゴリゴリのお笑いは小脇に抱えて生活している感じです。

――たまに小出しにするぐらいにすると。

エハラ:たまにちょっと毒のあることをやると「エハラさんがそんなことをやる人だと思いませんでした」みたいなDM(ダイレクトメッセージ)が来たりします。

――ご家族でYouTubeをやっているから、そっちから入った人はそう思いますよね。

エハラ:そうそう、「優しいお父さん」みたいになってるから。だから、ここ5年ぐらいで僕のことを知った人は、たぶんお笑いをやっていると思っていないし、ネタをやっているとか『R-1グランプリ』(当時の表記は『R-1ぐらんぷり』)に出たとかは知らないと思います。

――今は完全に「表エハラ」と「裏エハラ」に分裂しているような感じなんですね。

エハラ:中川家さんのラジオ番組に出たときに、「テレビでBTSのものまねをやっているのを見ると、エハラっぽくないと思う」って言われたんです。でも、今はあっちがメインなんです、って答えたんです。そこは二面性があって、マニアックなネタが好きな人のためにそっちも残しておいてもいいかなと思っています。

今は生き方に賛同してくれる人が増えていて、「エハラさんのやることは全部ついていきます」みたいな方もいらっしゃるんですよ。そういう人は僕がめちゃくちゃ下ネタの「TENGAの歌」とか歌っているときに、本音では絶対イヤなはずやのに「すばらしいです!」って無理矢理褒めてくれたりする(笑)。いや、それは違うで、って。ええわけないねんから、それはもうあかんって言ってくれていいよ、って。

――珍しいタイプの芸人ですよね。

エハラ:そうかもしれないです。普通の芸人が「なんやねん、あいつ」と言ってくるようなことをほぼほぼ全部やっているので。だから若手の頃は生きづらかったですね。基本全員に否定されていたので。

――昔の方がそういうものに理解がない人が多かったですよね。

エハラ:唯一理解してくれたのがキングコングの西野(亮廣)さんで、仲良かったのはオリラジのあっちゃん(中田敦彦)ですね。両方とも吉本を去っていきました。だから、吉本の芸人からはよく「エハラってまだ吉本やったっけ?」って聞かれる(笑)。少し芸人としては不思議な立ち位置にいるのかもしれません。でも、それが僕の魅力なんだろうなと。いまは「不思議な立ち位置」でいたからこそ、いろんなことに挑戦できたんだろうなと思っています。

(インタビューは後編に続きます。『エハラんち』をお求めの方はこちらをクリック!

  • 取材・文ラリー遠田

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