追悼・石原慎太郎氏 高級イタリアンで夫人に見せた「最高の笑顔」
また一人、時代を彩った男が世を去ったーー。
元東京都知事で芥川賞作家でもあった、石原慎太郎氏。享年89だった。
「石原さんが、小説『太陽の季節』で芥川賞を受賞したのは一橋大学在学中の24歳の時です。当時は斬新だった風俗描写などで、一気に若者の間でブームに。『太陽族』という言葉まで生まれました。
68年には自民党の公認を得て参議院選挙に立候補し、史上最高の301万票を集め初当選します。72年に衆議院へ鞍替えすると、環境庁長官や運輸大臣などを歴任。東京都知事になったのは99年です。15年に政界引退を発表しましたが、その後も旭日大綬章を受賞するなど、たびたび元気な姿をみせていました」(政界関係者)
豊洲開業の2日前
本誌も、引退後の石原氏の爽やかな笑顔を目撃していたーー。
18年10月の夜、東京・代官山(渋谷区)にある高級イタリアンの前に見覚えのある車が停まっていた。石原氏の送迎車だ。
夜8時半前、ジャケットを着込んだ石原氏が店から姿を現す。妻の典子夫人も一緒だ。石原氏は、食事に同席していたと思われる女性二人と満面の笑みで話をしている。
まず先に送迎車に向かったのは典子夫人。運転手らが身体を支えながら夫人を車に乗せてあげている様子を石原氏はじっと眺めていたが、夫人が座ったことを確認すると、自身も後部座席へ。背筋は真っ直ぐ伸びており80代とは思えないほどだ。
「当日は、豊洲市場開業の2日前でした。知事時代に豊洲移転を決定した石原さんだけに、万感の思いでオープン祝いをしていたのでしょう」(都議会関係者)
小説家、政治家、評論家……。幅広い才能を生かし、多彩な場で活躍した石原氏。ご冥福をお祈りします。
- 画像:西 圭介 共同通信社 Fujifotos/アフロ