【22年墓碑銘】追悼・石原慎太郎さん 本誌に見せた政界引退後の「最高の笑顔」
2月1日、作家で元東京都知事の石原慎太郎氏が亡くなった。89歳だった。
石原氏は一橋大学在学中の1956年、小説『太陽の季節』で芥川賞を受賞。夏の海辺を舞台に享楽的な生活を送る若者を描いたこの小説は、若者の間で一大ブームとなり、『太陽族』なる言葉まで生まれた。映画化もされ、弟の石原裕次郎さんを主役に抜擢。昭和の大スター誕生のきっかけを作ったのも石原氏だった。
「68年には自民党の公認を得て参議院選署に立候補し、史上最高の301万票を集めて初当選します。72年に衆院へ鞍替えすると、環境庁長官や運輸大臣を歴任。東京都知事になったのは99年です。15年に政界引退を発表しましたが、その後も旭日大勲章を受賞するなど、たびたび元気な姿を見せていました」(政界関係者)
本誌が、石原氏を目撃したのは、政界引退から3年後の18年、10月のことだった。その夜、東京・代官山(渋谷区)にある高級イタリアレストランの前には石原氏の送迎車が停まっていた。
石原氏は、妻の典子さんと、食事に同席していたと思われる二人の女性と出てくると、満面笑みで談笑。その後、運転手らが身体を支えながら典子さんを車に乗せてあげている様子を石原氏はじっと眺めていたが、典子さんが座ったことを確認すると、自身も後部座席へ乗り込んだ。
「二人は幼馴染で1955年に結婚。典子さんは4男を設け、政治家の夫を陰ながら支える女性でした。石原氏が亡くなったひと月後の3月8日、典子さんは後を追うように亡くなりました」(政治記者)
長男で元衆議院議員の伸晃氏(65)はツイッターで、
〈父 慎太郎が亡くなってから「寂しいわねぇ」と母はとても悲しんでおりました。大好きだった父の隣に寄り添うべく旅立ったのだと思います〉
と報告。12月20日には、石原氏の著書『父のしおりー憧憬』(青志社)が発売された。石原氏の父・清さんや弟の石原裕次郎さん、そして4人の息子たちへの想いを綴ったノンフィクションだという。最後の最後まで、自身の思想を発信し続けた石原氏。いまはただ冥福を祈りたい。
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- 写真:西圭介(2枚目)