三田佳子の次男・高橋祐也被告が公判で語った覚せい剤依存の深い闇 | FRIDAYデジタル

三田佳子の次男・高橋祐也被告が公判で語った覚せい剤依存の深い闇

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両親はともに77歳。これまで3度の逮捕時には救いの手を差し伸べ、サポートしてきた息子も、もう38歳である。元気なあいだに、立ち直った息子の姿を見ることはできるのか。女優・三田佳子の次男・高橋祐也被告の初公判を、ライターの高橋ユキ氏がレポートする。

2001年に居酒屋で高橋被告の演劇デビューを祝う三田親子。左端が三田佳子、右端が高橋
2001年に居酒屋で高橋被告の演劇デビューを祝う三田親子。左端が三田佳子、右端が高橋

女優・三田佳子さんの次男で、覚せい剤取締法違反(使用)の罪に問われている高橋祐也被告(38)の初公判が11月29日、東京地裁(開発礼子裁判長)で開かれた。高橋被告は「間違いありません」と起訴事実を認め、検察はこの日高橋被告に懲役2年6ヵ月を求刑、即日結審した。

起訴状や証拠によれば高橋被告は今年9月9日ごろ、東京・渋谷区の自宅で若干量の覚せい剤を気化して吸引。この翌日、渋谷区恵比寿の飲食店で同席していた女性とトラブルになり、店が警察に通報。任意提出した尿から覚せい剤成分が検出され、逮捕に至った。

高橋被告は未成年の頃に覚せい剤の使用で保護観察処分を受けたのち、成人した2001年にも同罪で執行猶予付きの有罪判決を受け、さらには2008年、3度目の使用で実刑判決を受け服役していた。

今回は10年ぶり4度目の覚せい剤使用での逮捕となる。

使用を再開したのは、昨年の10月。その後「今年の2月から5月までは2週間に一度買っていた。6月からは週1回ぐらい買っていた」(高橋被告の調書より)と徐々に購入ペースが上がっていった。また「初めて使う頃はパンッと目が覚める感覚があったが、ここ2〜3ヵ月は目が覚める感覚がなく、疲れが出て落ち込む感覚が続いていた」といい、もともと覚せい剤で得ていた効果が薄れていることを感じていたようだ。

やや小太りの体型に短髪。白いシャツの上に茶色のジャケットを着て、グレーのパンツという装いの高橋被告。被告人質問では証言台の前に座り背中を丸め、うつむきながら、今回逮捕されたことへの思いを語った。

「まさか……また、犯罪を犯して、こういう場に立つこと、想定しないでいたんで、愚かさと……心の弱さに……非常に情けなく思ってます」

うつむいているせいか、くぐもった声でところどころ聞き取りづらいが、彼のこの日の証言から分かったのは、覚せい剤依存の実態とその恐ろしさだった。

「鬱や統合失調症状態の症状が、以前の覚せい剤の後遺症で出ていると言われて、クリニックに通ってました。2週間に1度通院して薬をもらっていました」

そんな生活を送っていた高橋被告だったが、昨年10月……。

「仕事を一緒にやってた人が、ウチに(覚せい剤を)持ってきた……はじめは断ったんですが、目の前にすると『一度くらいなら』と思い、愚かにも手を出してしまいました……」

友人が自宅に覚せい剤を持ってきたことから、軽い気持ちで再開したのだという。その後は前述の通り、次第に使用頻度が上がっていき、さらなる異変も起こっていた。

検察官 「幻覚や幻聴はなかったんですか?」
高橋被告 「ありました! 独り言……壁と話したりとか、幻覚はそうなかったんですけど、パニック症候群みたいに、ありもしないものをあると思い込んだり、自分の周りの人間が、自分に不利益なことをしていると疑ったこともありました(発言ママ、症状はパニック症候群ではなく、統合失調症に近いと思われる)」
検察官 「壁に話って、人がいるように見えるの?」
高橋被告 「はい、見えてしまいました。最後のほうにそういう症状があった……逮捕の2ヵ月前ぐらいからと思います」

本人だけでなく、家族も彼の異変に気付いていた。

「『2〜3年前から、よくわからない友人を招いてパーティ-をしている。子供に良くない』と嫁と孫が息子の家を出て行ってから、よく顔を出すようにしていた。だが今年8月ぐらいから急に小動物を飼ったり、床が散らかっていたりと、生活状況が乱れていた」(高橋被告の父親の調書)

高橋被告は結婚し、子供もいたが、生活態度を見かねて妻子は出ていき別居中だった。父親も彼の生活の乱れを気にしていたようだ。

逮捕のきっかけは、知人女性との会食時にトラブルを起こしたことだったが「その知人女性に僕は好意を持っていましたが、その女性と、他の人が関係していると思い込み、そんなことなかったのに、彼女のケータイを折ってしまって……」と、根拠のない一方的な思い込みから引き起こしたものだったことを自ら明かした。

9月 12日朝、渋谷署から送検される高橋被告
9月 12日朝、渋谷署から送検される高橋被告

検察官 「あなた、先ほど知人が自宅に覚せい剤を持ってきたと、再開の理由を話してましたが、あなたから覚せい剤のことを相手に話したからではないですか?」
高橋被告 「はい。以前、クスリありますかね〜など、軽口叩いたことがありました」
検察官 「なぜ?」
高橋被告 「酔っ払っていたんだと思います」
検察官 「あなた、寂しいから使いたくなると言っていましたが、その通りなんですか?」
高橋被告 「その時は寂しさだと思っていましたが、自分がなぜ、一度使ったら何度も使ってしまうのか、理由、ないのかも、と思ったことあります」

高橋被告は今回の保釈後から、前刑の際にも世話になった沖縄の「依存症リハビリ施設」に再入所しており、薬物依存からの回復を目指し、カウンセリングやセラピーを行う日々だという。この施設の理事が出所後の監督を誓っていたが、こうした噛み合わないやり取りを目の当たりにすると、依存症からの回復には長い時間がかかりそうだ。

だが以前と唯一異なるのは、常に手を差し伸べてきた両親からの自立を意識し始めたことだろうか。今回の逮捕後、勾留中の高橋被告を父親が訪ね、彼にこう告げたのだという。

「お前、もう、38歳にもなって、我々はどうすることもできない。自分で償って、自分なりの人生を歩むしかないから、しっかり立ち直れ」

現在、高橋被告の両親はともに77歳。子供の面倒を見ている年齢ではない。父親からのこうした別離宣言を受け高橋被告は「『その通りだ』と答えました。自分なりに考えてみて、どのような生き方ができるようになるか……」と、今後の人生を考え始めているようだ。

果たして今後、違法薬物と縁を切れるのか。判決は12月13日に言い渡される。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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