大物タレントが続々参入!ローカル局の「逆襲」そのスゴイ内実
スタッフは見た!週刊テレビのウラ側
お笑いコンビ『蛙亭』のイワクラ(31)が、この4月から地元のUMKテレビ宮崎で冠番組『よかとこ発見! 蛙亭イワクラ使節団~伊藤と肥満とサイダーと~』をスタートさせることとなった。
「1月から相方の中野周平(31)の地元・岡山の放送局RSK山陽放送でも『蛙亭のかえる天国』を始めており、ローカル局のレギュラーはこれで2本目。かつては人気に陰りが見えたタレントがローカル局に流れていましたが、近年は旬のタレントが積極的に参入しており、パイの奪い合いとなっている」(テレビ誌編集者)
ピンの仕事を含めるとレギュラー番組を16本抱える『かまいたち』は、山内健司(41)の地元・島根県のTSKさんいん中央テレビで’20年から『かまいたちの掟』という冠番組を放送中だ。
「無料配信サイト『TVer』が定着し、ローカル局の番組を全国の視聴者が観られるようになったことで、デメリットが激減しました。全国ネットの番組に出るのと遜色ないくらい、名前を売れるわけですからね。しかも、ローカル局の番組は1ヵ月分をまとめ撮りすることが多いので、1本あたりのギャラは安くても、拘束時間が短くてコスパが高い。
ローカル局側からしても、全国区のタレントが出る番組はネット局に番組販売したり、DVD化したりすれば放送外収入も見込めるためwin-winなんです。『かまいたちの掟』はカンテレや東海テレビなどでも放送されているので、準キー局制作の番組と変わらない扱いですね」(制作会社ディレクター)
3月4日には、東野幸治(54)がMCを務める特番『お悩み相談牧場 東野幸治のチクチクバンバ!!』がテレビ金沢で放送された。
「石川県住みます芸人の『ぶんぶんボウル』などが共演していました。東野は日本郵便近畿支社と吉本がタッグを組んだ地域密着情報動画チャンネル『Cheeky’s channel』の番組でもMCを務めるなど、地方芸人との絡みが多い。ローカル局や地方自治体とのパイプを強化して、安定した収入源を確保するのが吉本の狙いです。今回のテレビ金沢の東野の特番は、かなりリーズナブルなギャラで引き受けたといいます。将来を見越して恩を売ったのでしょう。
昨年、TSKさんいん中央テレビで放送された地方創生ミニドラマ『しまねがドラマになるなんて!』は島根県が制作に関わり、県から予算が出たことで、大手芸能事務所所属の若手女優が主演を務めました。地方の未来は明るい」(広告代理店関係者)
全国区の人気者がローカル局に進出する背景には「昨今のテレビ局事情も大きく関係している」と放送作家が指摘する。
「1月にBSS山陰放送が制作し、松本潤(38)がナビゲーターを務めた『未来をつくる島ホテル』がTBS系列28局で放送されたのが象徴的ですが、制作費を削減するため、系列のローカル局が制作した番組をキー局で放送する機会が増えているのです。コロナ禍となって以降の数少ないヒット番組『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』も中京テレビ制作ですし、今後はキー局とローカル局の垣根はなくなっていくかもしれません」
遠くない未来に、ローカル局発の国民的人気番組が誕生するだろう。
『FRIDAY』2022年3月25日号より
- PHOTO:田中俊勝