松潤、高畑、黒木華…今期冬ドラマが軒並み大惨敗「納得の背景」
3月31日の松本潤(38)主演ドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)をもって、ゴールデン帯の冬ドラマの放送が全て終わった。恋愛もの、ミステリー、お仕事ものにハードボイルド系など、最近の流れを受けて、今期もバラエティ豊かなラインナップであった。
そこで芸能分野を専門とする記者やライター、編集者たちは今期のドラマをどのように見たのか、総括的に取材をおこなってみた。すると、意外にも多く聞こえてきたのが「“じゃない”キャスティングが多かった」という声であった。
「清原果耶、高畑充希、松本潤、黒木華……。演技派と言われる人たちが主演を務めたドラマが、軒並み視聴率2ケタに届かなかった。どれも見ていて感じたのは、アナタたちにハマる役、あるいは作品はそれじゃない、というもの。今期は、これからを担う若手実力派を多く主役として起用していただけに、終わってみればちょっと残念感が残りますね」(テレビ誌編集者)
では一体なぜ、そんな“じゃない”キャスティングが量産されてしまったのか。記者たちが考える理由も聞いてみた。
「ラブストーリー『ファイトソング』(TBS系)で主演を務めた清原果耶(20)。彼女はこれまでNHKか映画ばかりに出演していました。てっきりそういう路線で売っていくと思っていたのですが、ここへ来てのゴールデン帯トレンディドラマへの出演。NHK朝ドラの主演で知名度が上がり、事務所もメインストリームへ移行しようという欲が出てきたのかもしれません。
でも実際は、高貴な印象のある彼女のトレンディなキスシーンなど見たくなかった、という声が多かった。ああいった作品はもうちょっと恋愛ものが向いている他の女優さんに任せて、清原さんは清原さんにしかない高いイメージを貫いてほしいと思います」(インタビューライター)
高畑が支持層から共感されなかったワケ

また高畑充希(30)が主演を務めた『ムチャブリ!わたしが社長になるなんて』(日本テレビ系)はというと……。
「このドラマはお仕事コメディということで、一見、コメディエンヌとしても評価が高い高畑さんのハマり役に思えました。でもフタを開けてみれば、失敗ばかりでオロオロしているだけなのに、イケメン二人に支えられて何だか上手くいってしまう、という都合のいいキャラで。高畑さんの支持層でもある女性視聴者から共感を得られなかった。これは高畑さんの責任というより、脚本の問題だったと思います。
黒木華さん(32)も同じ。『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)でネットニュースの記者を演じましたが、ひたすら物語が暗いのと、黒木さんが演じた瀬古凛々子は感情表現が苦手というキャラクターでずっと無表情。黒木さんといえば絶妙な感情表現が秀逸な女優なのに、その一番の魅力を封じ込めるなんて。こちらも、あまりにももったいない使い方でしたね」(週刊誌記者)
一方、松本潤に関してはこんな分析が聞かれた。
「松本潤の主演ドラマ『となりのチカラ』については、ただただ“じゃなかった”という印象です。あの奇想天外系脚本家・遊川和彦とタッグを組んだことで注目を集めましたが、結果は平均視聴率9.16%と、成功とは言えない。松本さんといえばアイドルでありながら高い演技力が評価されてきましたが、実は彼の作品でヒットしているものって、全部ライトなエンタメ作品なんです。『花より男子』シリーズ、『99.9-刑事専門弁護士―』シリーズ然り。
でも松本さんは、来年のNHK大河ドラマ『どうする家康』で主演を務めることが決まっています。いくらエンタメ作品での実績はあるといっても、硬派な大河の主演となると務まるのか?という声は多い。そこで大御所脚本家である遊川さんと組んで、『こういう作品もできるんだぞ』と見せたかったのではないでしょうか。
個人的には、ちゃんとオーラを消して、人のいい中年男性を好演していたとは思いますが、やはりそれよりも見たいのはエンタメ作品での華のある松潤。できれば大河もその路線で行ってほしいなと思っています」(別のインタビューライター)
“じゃない”というのは、あくまで新しい役どころに挑戦した証だ。『私の家政夫ナギサさん』(20年/TBS系)で硬派なイメージから一転、中年家政夫役を演じて新境地を開拓した大森南朋(50)。また今期、“じゃない”と言われながら大ヒットをおさめた『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の菅田将暉(29)などを見ても分かるように、“じゃない”への挑戦は成功すれば私たちを大いに楽しませてくれる。
今後も期待をもって、役者たちの「じゃない」挑戦を見ていきたいと思う。






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取材・文:奈々子
愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター
撮影:川上孝夫 近藤裕介 坂本信二 野中 裕 原 一平