歌舞伎町で多発する「好きすぎてホスト刺す」事件の深層 | FRIDAYデジタル

歌舞伎町で多発する「好きすぎてホスト刺す」事件の深層

佐々木チワワ 現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和4年、歌舞伎町はいま……第18回

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ジャニーズJr.のグループ『7 MEN 侍』のメンバー・佐々木大光(たいこう)(20)に対しストーカー行為をしたとして、5月18日までに横浜市の女子高生(17)が逮捕された。約1ヵ月間に4回にわたって待ち伏せをしたほか、渋谷駅の構内でカッターナイフを突きつけて脅した疑い。彼女は取り調べに、「路上で一目惚(ぼ)れし、佐々木さんのことしか考えられなくなった」と供述しているという。

歌舞伎町、今日も明日も明後日も…(AFLO)

好きすぎて襲う、という犯行理由がショッキングな事件として取り上げられたが、実は歌舞伎町ではこの手の事件はよく起きている。

ホストと話していると、「家を特定され、窓ガラスを割って侵入された」「AirPodsを貸したらそこからBluetoothによって居場所を把握され続けていた」「バレンタインにもらったチョコレートに生理の血を混入されていた」といった話をよく聞く。ホストクラブに行くお金がなくなった女性に、営業後の店前で待ち伏せされたなどは序の口。ちょっとした刃傷沙汰や警察が出動するような事件も日常的に起きている。

たとえば、’19年5月に起きた殺人未遂事件はメディアでも大きく取り上げられた。歌舞伎町のガールズバーで働くオンナが、ホストを包丁で刺した事件である。オンナは「好きで好きで仕方なかった」と供述。自宅マンションのエントランスで血みどろになっている姿は大きな話題を呼んだ。

昨年6月には、歌舞伎町の有名キャバクラ嬢が、友人女性の交際相手の男性を刃物で刺し、その様子が動画配信サービスで公開されていたという事例も。「殺さないと幸せになれない!」という叫び、男性のうめき声、友人女性の泣き声……。そうしたもろもろがネットでリアルタイム配信されるという事件だった。

「刺したいくらい好き」「殺したいくらい好き」などといった言葉は、歌舞伎町では一種の愛情表現であり、「死ぬときはお互い刺し合って永遠の愛を誓おうね♡」みたいな営業LINEがホストからくることもよくある。だが、実際に刺す行為にまで至ってしまう男女が多いのも歌舞伎町なのだ。

少し前に公開されたホストのYouTubeで興味深いものがある。『【ホスト殺傷事件】女性客に包丁で刺され病院に搬送されたホストに密着。ホストの世界に潜む恐怖とは』というタイトルだ。その動画のなかで、今年2月に指名客に刺されたというホストがインタビューに答えている。

お店を出禁にした客が店に押しかけ、脅迫を受ける。営業後に客の家に行き話し合いが決裂した結果、ワインボトルで頭を殴られるなどの暴行を受け、包丁を振り回されたという。腹部と手を負傷し、警察に通報して病院に搬送された。

刺された瞬間に考えたことは「これをSNSに上げればバズって客が増えるのでは」ということ。実際、刺されて血だらけの状態でツイッターを更新し続け、知名度アップを狙ったという。商魂たくましいホストである。

こうした事件が頻発して麻痺しているのか、歌舞伎町の住人たちは多少の怪我では動じない。筆者の知り合いのホストは指名客ともみ合いになった際にピアスを引っ張られ、耳たぶが欠損。「鼻を整形しようと思ってたけど、その前に耳たぶだわ」とあっけらかんと語っていた。それを笑って聞いていた私も数日後に飲み屋でピアスを引きちぎられ、歌舞伎町の異常さを改めて知ったのである。

佐々木チワワ

’00年、東京生まれ。
小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。
15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。
大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。
『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

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