歌舞伎町の住人たちを癒やす「3大食堂」 | FRIDAYデジタル

歌舞伎町の住人たちを癒やす「3大食堂」

佐々木チワワ 現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和4年、歌舞伎町はいま……第19回

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飲み屋ばかりのイメージがある歌舞伎町にも人気の「定食屋」はある

多種多様な人間が存在する歌舞伎町には、多種多様な飲食店がある。そのなかで、酒ばかり飲んで肝臓を酷使している夜職の人間たちに愛されているのが、定食屋だ。歌舞伎町には「3大食堂」と呼ばれる3つの有名な定食屋があり、絶大な人気を博している。

1軒目の「A食堂」は、歌舞伎町の比較的手前(入り口付近)にあることからサラリーマン人気も高い。各種定食に加えカレーや丼ものも豊富だ。昔ながらの定食屋の空気を感じる味わい深い店である。

店のすぐ目の前には、小さな小さな公園がある。公園のすぐ横には店舗型ヘルスが鎮座しており、あまり子供向けの場所とは思えないのだが、たまに小さな子が一人遊びをしている姿も見かける。

「食堂B」は、スカウトとキャッチが尋常じゃないくらい存在する歌舞伎町のメインストリートに店舗を構える。’20年に伝説のホストクラブ『愛本店』のビルが老朽化によってなくなる前までは愛本通りとも呼ばれていた。

そんなメインストリートに位置する「食堂B」はホストもホス狂のオンナも超御用達である。歌舞伎町の飲食店の特徴として、奥地に行けば行くほどスーツを着ている人間の数が一気に減る。夕方から朝4時までやっている「B食堂」は同伴・アフターに持ってこい。奥には半個室席も存在し、たまに営業後のホストがやんややんやと宴を開いている。刺身の種類が豊富で、新鮮な魚と白米をほおばれる。

最後の「C食堂」は歌舞伎町の最奥にある。スカウトもキャッチもほとんどおらず、周りは寂れたラブホテルとデリヘルの待機所しかないような場所だ。

朝6時まで営業と3大食堂の中で最も営業時間が長いのも特徴。「女性一人では行きにくい立地」「夜の治安は良くはない」などという声も聞くが、深夜2時頃のホストとその客とカタギじゃなさそうなコワモテのお兄さんしかいない店内は、まさしく歌舞伎町の風景といえるだろう。

居酒屋を兼ねた営業形態で、店内にはキープボトルがズラリと並んでいてなじみ客の多さを感じる。定食に加え、酒のつまみになるような一品料理も多い。とはいえ、あまりに周りの会話がカオスで、おいしい料理よりそちらに興味をそそられる日もある。

「もう無理、ホスト辞めたいっす」。定食屋に来て開口一番そうこぼす新人ホストに、「まぁまぁ」とメニューを渡しながら話を聞く先輩。注文後、水をちびちびと飲みながら新人は心境を吐露する。「初回のオンナってなんであんなに図々しいんですかね。会って最初っから悪口というか。『性格悪そうな顔してるね』とか『絶対整形してるでしょ』とか。そのくせLINE交換したら『どこまでできるの』とか、『売れてないくせに生意気』とか。お前カネ使ってないのにうるせぇって思っちゃって。もう連絡返してないっす」そんな彼を先輩はなだめ、うまい定食を奢って店を後にする。

入れ違いで入ってきた女性客二人はどうやらホスト帰りらしい。「今日の店ハズレしかいなかった」「こっちが客なのに気を遣(つか)わなきゃいけないなんてありえない」。愚痴(ぐち)をこぼしつつ煮魚定食にがっつき、店を出ていった。

歌舞伎町の住人たちの「本音」がにじみ出る深夜の定食屋。歌舞伎町で発見したときには、ぜひ一度入店してみてはいかがだろうか。

佐々木チワワ

’00年、東京生まれ。
小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。
15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。
大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。
『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

『FRIDAY』2022年6月17日号より
  • 取材・文佐々木チワワ写真共同通信社

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