水谷豊『相棒』の”終了”をテレ朝が諦めきれない「深すぎる関係」
俳優水谷豊主演の人気ドラマシリーズ『相棒 season21』(テレビ朝日系)に“初代相棒”寺脇康文が戻ってくる。
水谷演じる杉下右京警部の相棒は、3月終了の前シリーズで4代目にあたる冠城亘役・反町隆史が卒業。寺脇演じる亀山薫が杉下とタッグを組むのは約14年ぶりだ。
亀山刑事は’08年12月の「season7」で特命係を離れ、南アジアに移住。その後、杉下とは一度も顔を合わせていない設定だ。
この“寺脇帰還”が一部で波紋を広げている。原点回帰とも言うべきキャスティングが『相棒』の“終了フラグではないか?”というのだ。
「反町さんの後任には俳優の田中圭や福士蒼汰、稲垣吾郎、町田啓太などの名前が取り沙汰されましたが、それも新しい相棒役への期待の裏返しでした。今回、寺脇さんの復帰を喜ぶ声がある一方で『斬新さに欠ける』といった指摘もあります。
寺脇さんの出戻りが許されたことで、及川光博さんや成宮寛貴さん、仲間由紀恵さんらこれまでの出演者による“同窓会”のような状況を経て、『シリーズ終了となるのではないか?』とウワサされています」(スポーツ紙記者)
主演の水谷は来月14日で70歳を迎える。過去に、
「70歳を一つの区切りとしたい」
と話していたことも、『相棒』の終了フラグに現実感を与える。加えて制作現場からはこんな話も漏れ伝わってくる。
「さすがの水谷さんも最近は台本を覚えるのに苦労しているそうです。水谷さん演じる杉下右京はセリフも多く、難解な用語も出てくる。相棒はワンカット長回しをする現場で有名ですが、最近は水谷さんのセリフが出てこない場面が以前に比べて増えてきているそうです。
年齢を考えれば当然のことですが、長回しのため1度のミスで最初からやり直しになってしまう。周囲への配慮を考えているのかもしれません」(ドラマ関係者)
水谷にとって相棒はライフワークの1つ。他の連ドラと違い、放送は2クールで、もろもろの撮影で半年間以上拘束される。
「水谷さんクラスになれば、ただの演者ではなく、制作サイドに『こうした方がいいんじゃないか?』とアイデアを提案することもできる。役者だけではなく、作り手としてもやりがいを見出しているんです」(芸能プロ関係者)
水谷がここ数年、注力しているのは映画製作だ。監督として、’17年の『TAP THE LAST SHOW』を皮切りに『轢き逃げ 最高の最悪な日』(’19年)、今年6月には最新作『太陽とボレロ』が公開された。
配給会社はすべて相棒シリーズと縁の深い東映。前出の芸能プロ関係者が明かす。
「すべての水谷作品の製作総指揮にテレビ朝日の早河洋会長が入っている。製作委員会も中心はテレビ朝日で、全面バックアップしている。業界では、相棒を国民的人気シリーズにした水谷さんへのテレ朝からの“感謝のカタチ”と言われています。
裏を返せば、水谷さんが監督業に熱を上げられるのも、相棒があればこそ。水谷さんが映画を撮り続ける限り、相棒は終わらないのではないでしょうか」
水谷作品は残念ながら大ヒットには結びついていないが、業界内の評判は上々。水谷も俳優の時とは違い、ハツラツと現場を楽しんでいるという。
「水谷さんが『相棒』の引き際を考えているのは事実です。ですが、テレビ朝日としては、どんな形になろうと『相棒』を残したいと思っているんです。
映画製作を全面的にバックアップしてくれているテレ朝に対し、水谷さんが恩義を感じていることは間違いない。“なんとか残したい”と早河会長から頭を下げられれば、水谷さんといえども、むげにはできないでしょうね」(テレビ局関係者)
まだ70歳。水谷のバイタリティーは一向に衰えない。今後も俳優、映画監督と“二足のワラジ”で駆け抜けていく――。
- 写真:ゲッティ/共同通信イメージズ