秋葉原殺傷事件・加藤智大 死刑執行までに「14年」かかった理由 | FRIDAYデジタル

秋葉原殺傷事件・加藤智大 死刑執行までに「14年」かかった理由

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事件直後、警察官に取り押さえられる加藤死刑囚
事件直後、警察官に取り押さえられる加藤死刑囚

〈『交通事故だ』の声で、たちまち人だかりができたんです。そこへトラックから降りてきた男の人が、ためらう様子もなく、まっすぐ進んでくると、人垣を押しのけるような仕草をしたんです。すると、押しのけられた人が倒れていく。最初は何が起こったのか、さっぱりわかりませんでしたが、誰かの『刃物を持っているぞ!』という叫び声で、みんな状況を把握できないまま、クモの子を散らすように逃げ出したんです〉

事件当時、本誌の取材にそう答えていたのは、現場に居合わせたメイド喫茶の店員だ。

7月26日、08年6月に秋葉原無差別連続殺傷事件を起こした加藤智大死刑囚(39)の刑が執行された。場所は収監されていた東京拘置所だった。

事件では通行人など7名が死亡、10名が重軽傷を負った。当時、現場となった秋葉原の歩行者天国は阿鼻叫喚の地獄絵図だったという。発生直後、本誌の取材に応じた目撃者の男性はこう証言していた。

〈『わーッ!ぎゃーッ!』という発作のような犯人の喚(わめ)き声があたりに響いて、まるで戦場にでもいるようだった。あたり一面は血の海でした〉

大学生、会社員、調理師など、加藤死刑囚となんの縁もゆかりもない人たちが犠牲となった。一命を取りとめた人の中にも、いまだに後遺症に苦しんでいる人もいるという。しかし、なぜ事件発生から死刑執行まで「14年」あまりもかかったのか。

「一つは事件の被害の大きさです。通常、事件発生から初公判までは数ヵ月程度ですが、秋葉原殺傷事件は約1年半かかっています。これは被害者が多いと、どうしても公判までに時間が必要になってしまう。さらに加藤死刑囚は一審、二審でともに死刑判決を下されましたが、弁護側が『犯行当時、責任能力がなかった疑いがある』と上告していました。結局、最高裁は加藤死刑囚の責任能力を認め、『酌量の余地は見出せない』と死刑判決が確定しましたが、このときですでに15年2月。事件から6年半以上が経っていました」(全国紙記者)

だが、刑事訴訟法では刑の確定から執行まで「6ヵ月以内」と定められている。なぜ確定からさらに7年余りの時間を要したのか。

「この刑事訴訟法の規定はいわば『努力目標』のようなもので、法的拘束力があるわけではないのです。刑の確定から執行までは平均で5年程度と言われていますが、法相の思想信条や恩赦、共犯者の有無や政治的なしがらみなど、様々な要因に左右されることもある。確定から7年というのは決して長すぎるとは言えませんが、なぜこのタイミングだったかというのは、法務省や大臣は明らかにはしていません」(前出・記者)

古川禎久法相は26日の会見で「法務大臣として慎重なうえにも慎重な検討をくわえたうえで、死刑の執行を命令した」と語ったが、再審請求中だったかどうかなど、詳細についてはコメントしなかった。

被害者の知人の一人は「(14年が)長かった」と語っているという。なぜここまで時間がかかったのか。政府は説明するべきではないだろうか。

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