バブル到来か 歌舞伎町で新たな”億女”が誕生した意外なワケ | FRIDAYデジタル

バブル到来か 歌舞伎町で新たな”億女”が誕生した意外なワケ

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和4年、歌舞伎町はいま……第24回

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歌舞伎町のキャバクラで、新たな「億女」が誕生した。億女とは、月に1億円以上を売り上げたキャバ嬢のことを指す。元祖億女といえば、昨年3月に書籍を出版して話題を集めた一条響だが、今回の億女は歌舞伎町の一条と同じキャバクラ『フォーティーファイブ』に在籍する星野ティナ。キャバ嬢と社長業を兼業していたカリスマ・愛沢えみりなどを輩出した名門店舗である。

歌舞伎町のホストやキャバ嬢の稼ぎ方も変わってきているようだ
歌舞伎町のホストやキャバ嬢の稼ぎ方も変わってきているようだ

星野ティナは弱冠21歳。キャバクラ歴1年経(た)たずに5月の売り上げ6000万円を達成。そして6月は自身のバースデーイベントで5000万円のシャンパンタワーを建てるなど稼ぎまくり、億超えを果たした。

億女には及ばなくても、月に1000万円を超える売り上げを叩き出すキャバ嬢は増えてきている。世の中は不景気のはずなのに、なぜ、キャバ嬢だけがこうも景気がいいのだろうか。

彼女たちの売り上げを支えているのは、どうやら一部の太客のようだ。キャバ嬢歴2年のエマ(仮名・22)が言う。

「そういう太客のオジサンたちの仕事は、正直、謎(笑)。投資会社の社長とか、不動産屋の社長とか名乗っている人が多いけど、ホントにそうなのかはわからない。案外、イケイケのベンチャー社長みたいなのは太客にはならないですね」

キャバクラ嬢に大金を使っている客の中には、「キャバ狂い」というアカウントでSNSにキャバ嬢との物語やキャバクラの通い方の美学などを発信している人も多い。キャバ嬢に数日で1億円以上貢いだオジサンの会社が、その時期に現金引き出し不可になり界隈がザワついたこともあった。こうした太客が現れる今、「万人ウケする接客や容姿を磨(みが)くよりも、激太客にブッ刺さることが大事なのでは」と言われている。

一方のホストクラブも、ある程度の「太客」の存在が大切になる。ホストクラブの場合、客の半数以上が夜職で稼いでいる女の子の時点でキャバクラとはかなり客層が違うのだが、夜の仕事をゴリゴリに働いている女子の稼ぎは頑張って月に200万円前後。そこからカリスマが300万円を超え、パパ活や海外ソープへの出稼ぎなどを行う強者が500万円超えの世界線に突入するというのがザックリした階層である。

しかし、経営者やお嬢様、謎のマダムといった客も一定数存在する。彼女たちは毎日汗水垂らして担当のために頑張っている夜職の女の子の横で、その何倍もの金銭を軽々と使う。

某有名ホストの極太客は、既婚者のカリスマインスタグラマー。そのホストは「他の客はいらん」とばかりに太客を「彼女」とインスタで言い切り、おそろいのブルガリのアクセサリーをプレゼントするなど仲睦まじい姿を見せている。

そんな彼の売り上げは極太客登場で跳ね上がり、6月は5000万円突破、今年の売り上げは現時点で1億円を超えている。今年のホストクラブの最高売り上げ更新は彼にかかっているとも言われている。

ただ、こうしたバブルの背景で、借金地獄に苦しんでいる者も少なくない。「ナンバーワン」の称号欲しさに、自腹を切って売り上げを出すホストはキャバ嬢の比ではないほど存在する。「水道料金が払えない人気ホストもいる」(歌舞伎町の事情通)という。

一人の太客で数字を出せる令和の時代における、「本物」のキャバ嬢・ホストとは何なのだろうか。

佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。
小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。
15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。
大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。
『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

『FRIDAY』2022年7月29日・8月5日号より

  • 写真共同

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