<figure id="attachment_258596" aria-describedby="caption-attachment-258596" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="270b290a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/10000000000000147692_20220802110643083791_P220730000382.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258596" class="wp-caption-text">大阪大会決勝で履正社に７-０と完勝し、喜びを爆発させる大阪桐蔭。控え選手にも、他校ならばスタメンクラスの実力者がひしめく</figcaption></figure>
<p>今夏は地方予選から波乱続きだ。花巻東（岩手）や広陵（広島）など強豪校が続々と敗退。そんな中で圧倒的な強さを見せたのが、激戦区の大阪を７試合合計54得点１失点で勝ち抜いた大阪桐蔭だ。</p>
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<p>昨秋の明治神宮大会、今春のセンバツで優勝し、夏の甲子園を制すれば’98年の横浜高校以来、史上２校目となる高校主要大会３冠を達成する大阪桐蔭。世代最強チームを牽引するのは、２年生にしてすでに「桐蔭歴代最高左腕」との呼び声高い前田悠伍だ。最速148㎞のストレートにカットボールやチェンジアップ、100㎞台のカーブを織り交ぜ、高い奪三振能力を持つ。センバツでは出場した全投手中１位の防御率０.７８をマークした。スポーツジャーナリストの安倍昌彦氏は、前田の特長に「完成度の高さ」を挙げる。</p>
<p><span class="strongInContent">「２年生ながら、すでに今年のドラフトでも１位指名できるレベルと評されています。快速球と多彩な変化球に加え、『投げる以外の仕事』も完璧なんです。走者を出しても、牽制（けんせい）が巧みで盗塁を許さない。送りバントをされても、正確で素早いフィールディングで簡単に進塁させない。打者の狙いを読み、裏をかく投球術も一級品です。投手としての総合力と、技術に裏打ちされた『オレが打たれるわけがない！』という揺るぎない自信が、前田投手を難攻不落の左腕にしています」</span></p>
<p>女房役を務める３年生の松尾汐恩（しおん）もドラフト上位指名必至の逸材だ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「中学時代は強豪校のショートでならしただけあり、弾（はじ）けるような身のこなしと素早いフットワークで、プレーのスピード感がすばらしい。昨夏の甲子園には、当時の２年生で唯一レギュラーとして出場。力不足の感があったバッティングもこの１年で向上し、高校通算35本塁打を打つスラッガーに成長しました」（安倍氏）</span></p>
<p>他にも急成長中の右のエース・川原嗣貴（しき）や４番の丸山一喜など超高校級のタレントがひしめく。戦力的に一頭地を抜く大阪桐蔭が、今大会の優勝候補筆頭であることは間違いない。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="大阪桐蔭の優勝を阻むのは…"></div>
<h2>「桐蔭包囲網」の実力者</h2>
<p>今大会はどの出場校も「打倒・大阪桐蔭」を掲げている。その最右翼は、安倍氏が「桐蔭相手でも完封する可能性がある」と激賞する左腕・森下瑠大（りゅうだい）を擁する京都国際だ。高校野球専門誌『ホームラン』元編集長の戸田道男氏が世代ナンバーワンと言われる実力を解説する。</p>
<p><span class="strongInContent">「ストレートは最速145㎞で、スライダー、カーブ、チェンジアップなどの変化球も多彩。厳しくコーナーを突く制球力があり、投球テンポもよい。昨年の甲子園では、初出場でのベスト４入りを果たす原動力になりました。懸念点は左肘（ひじ）の違和感で予選の登板が２試合に留まったこと。大阪桐蔭を倒すには万全の状態の森下あっての話。エースの負担をどう減らすか。小牧憲継（のりつぐ）監督の起用法に注目が集まります」</span></p>
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<p>そこで小牧監督は、右のエース・平野順大（じゅんた）に期待を寄せているという。森下と同じく最速145㎞のストレートを武器に押していく強気なピッチングが魅力。Ｗエースで最強軍団に挑む。</p>
<p>一方で超高校級のスラッガーを擁し、打ち勝つ野球で金星を狙うチームもある。その筆頭が182㎝、106㎏の巨躯（きょく）でホームランを量産する怪童・佐倉侠史朗（きょうしろう）が４番を打つ九州国際大付（福岡）である。</p>
<p><span class="strongInContent">「まだ２年生ながら高校通算21本塁打を記録。そのうち９本が公式戦で、勝負強さが魅力です。大阪桐蔭のエース・前田とは同学年のライバルで、昨年の神宮大会では前田からホームランを放っています。試合後には前田からＬＩＮＥで『１打席目は真っ直ぐで勝負したかった』と本音を明かされたそう。佐倉は『それを一発で仕留められたのは大きな自信になった』と対決を振り返りました」（戸田氏）</span></p>
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<p>昨年、イチロー（48）が指導したことで話題となった高松商業（香川）の４番で、高校通算64本塁打を誇る右の大砲・浅野翔吾も注目スラッガーの一人だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「171㎝・86㎏とサイズは小さいですが、腕っぷしが強くパワーの塊です。遠投115ｍのレーザービームを誇る守備も魅力。さらにイチローさんの指導を受け、左打席でのバッティングにも挑戦。右のアンダースローなど変則派と対するときに、活用しているようです」（戸田氏）</span></p>
<p>他にもヤクルトスワローズで大爆発中の村上宗隆（22）の実弟で九州学院（熊本）の４番を担う村上慶太や、センバツ準優勝の近江（滋賀）の主砲で、高校通算30本塁打の山田陽翔（はると）も要チェックだ。</p>
<h2>兄弟プレーヤーにも注目</h2>
<p>昨年の甲子園優勝校である智弁和歌山は超高校級クリーンナップを武器に連覇を狙う。桐蔭のエース・前田に振り負けないよう、ピッチングマシンを160㎞に設定し、打てるようになるまで長い時は２時間以上もバットを振り続けた。その結果、今春の近畿大会決勝で大阪桐蔭に３-２で勝利。前出の安倍氏が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「エースを務める武元一輝（いっき）は150㎞近い速球を投げながら、変化球を低めに集められる技術も備えています。打っては中軸の５番を務め、超高校級のスイングスピードと飛距離でチャンスを確実にものにします。前を打つ岡西佑弥は、Ｕ-15日本代表でも４番を務めた強打者。女房役で３番を打つ渡部海とともに３人で組むクリーンナップは大きな驚異です」</span></p>
<p>今夏の甲子園では、兄弟プレーヤーにも注目だ。15年振りに甲子園に挑む市立船橋（千葉）の中心は”森本ツインズ”だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「弟の哲星（てつせい）がエースを、兄の哲太が中軸を担っています。哲星は143㎞のストレートと落差の大きいカーブが武器。千葉大会決勝では180球完投でスタミナ面の強さも証明しました。二人が高校で伸びたのは、お母さんの支えが大きい。女手一つで二人を育て上げ、強豪校で野球を続けるために鳥取県から千葉県へ引っ越した。お母さんへ恩返しをしたいという思いは、人一倍強いはずです。<br>
八戸学院光星（青森）の洗平（あらいだい）兄弟も注目。３年生の兄・歩人（あると）は最速144㎞を誇る右のエース。１年生の弟・比呂は最速138㎞左腕です。予選決勝では兄弟リレーを含む６投手の継投で接戦を制しました。粘り強い継投策がハマれば、大物食いも夢じゃありません」（前出・戸田氏）</span></p>
<p>大阪桐蔭が下馬評通り勝ち上がるのか。それとも下剋上を果たすチームが現れるのか。熱戦は８月６日に幕を開ける。</p>
<h3>松尾汐恩（しおん）［ 大阪桐蔭 ］<br>
178㎝　76㎏　右投右打</h3>
<p>捕手としての能力も超高校級だ。２塁送球タイムは１.８８秒と、プロのトップレベルと遜色のない強肩を誇る。</p>
<figure id="attachment_258598" aria-describedby="caption-attachment-258598" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="72875222"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_184736304.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258598" class="wp-caption-text">松尾汐恩（しおん）［ 大阪桐蔭 ］　178㎝　76㎏　右投右打</figcaption></figure>
<h3>前田悠伍［ 大阪桐蔭 ］<br>
179㎝　75㎏　左投左打</h3>
<p>高校入学以来、黒星を喫したのは１度だけ。「投手王国」と呼ばれる桐蔭にあっても、その存在感は絶大だ。</p>
<figure id="attachment_258597" aria-describedby="caption-attachment-258597" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1d5618a6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/10000000000000147692_20220802110643083792_P220730000466.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258597" class="wp-caption-text">前田悠伍［ 大阪桐蔭 ］　179㎝　75㎏　左投左打</figcaption></figure>
<h3>浅野翔吾 ［ 高松商業 ］<br>
171㎝　86㎏　右投両打</h3>
<p>珍しいスイッチヒッターのスラッガー。予選では全12球団がスカウトを派遣するなどドラ１候補として注目を集める。50ｍ5.9秒の俊足を活かしたセンターの守備範囲の広さも魅力。</p>
<figure id="attachment_258599" aria-describedby="caption-attachment-258599" style="width: 1720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4adf7cd2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/DSC_1590.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258599" class="wp-caption-text">浅野翔吾 ［ 高松商業 ］　171㎝　86㎏　右投両打</figcaption></figure>
<h3>佐倉侠史朗（きょうしろう）［ 九州国際大付 ］<br>
182㎝　106㎏　右投左打</h3>
<p>極端に重心を落とし、バットを高く掲げるフォームは、西武の森友哉を意識したという。課題と言われるインコースへの対応をどこまで改善できているかが、桐蔭攻略の鍵を握る。</p>
<figure id="attachment_258602" aria-describedby="caption-attachment-258602" style="width: 1686px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e7062107"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/e04e6dc342043683c25d0f1d3e48112e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258602" class="wp-caption-text">佐倉侠史朗（きょうしろう）［ 九州国際大付 ］　182㎝　106㎏　右投左打</figcaption></figure>
<h3>森下瑠大（りゅうだい） ［ 京都国際 ］178㎝　74㎏　左投左打<br>
平野順大 （じゅんた）［ 京都国際 ］171㎝　69㎏　右投右打</h3>
<p>平野が１番を、森下が４番を務めるなど打撃面でも２人がチームを牽引する。昨年のレギュラーが７人残るなど、経験値では桐蔭にも引けを取らない。</p>
<figure id="attachment_258594" aria-describedby="caption-attachment-258594" style="width: 2435px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5a876be4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/DSC7461.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258594" class="wp-caption-text">森下瑠大（りゅうだい） ［ 京都国際 ］178㎝　74㎏　左投左打 平野順大 （じゅんた）［ 京都国際 ］171㎝　69㎏　右投右打</figcaption></figure>
<h3>村上慶太［ 九州学院 ］<br>
189㎝　93㎏　右投左打</h3>
<p>練習試合では左中間に130m弾を飛ばしたこともある。パワーは申し分ないが、足りないのは確実性。本人も課題に挙げる「一発で仕留める確率」を、本番までに修正できるか。</p>
<figure id="attachment_258603" aria-describedby="caption-attachment-258603" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="845d327c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/2a969e19571acf161e9ce31a9aee87de.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258603" class="wp-caption-text">村上慶太［ 九州学院 ］　189㎝　93㎏　右投左打</figcaption></figure>
<h3>武元一輝（いっき）［ 智弁和歌山 ］187㎝　86㎏　右投左打<br>
渡部 海［ 智弁和歌山 ］180㎝　80㎏　右投右打</h3>
<p>187㎝という高身長から繰り出す最速148㎞のストレートが武元の武器。高校通算14本塁打のパンチ力も魅力。渡部はショートバウンドの処理がうまく、武元も厚い信頼を寄せる。</p>
<figure id="attachment_258595" aria-describedby="caption-attachment-258595" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="061cf750"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/2022061601317.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258595" class="wp-caption-text">武元一輝（いっき）［ 智弁和歌山 ］187㎝　86㎏　右投左打 渡部 海［ 智弁和歌山 ］180㎝　80㎏　右投右打</figcaption></figure>
<h3>森本哲星（てつせい）［ 市立船橋 ］<br>
175cm　73㎏　左投左打</h3>
<p>森本ツインズの弟で、エース左腕としてチームを引っ張る。ほかにもプロ注目のキャッチャー・片野優羽や、１年生で５番を打つ大野七樹など活発な打線もチームの特長だ。</p>
<figure id="attachment_258601" aria-describedby="caption-attachment-258601" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ab5cfb08"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/deaf0f420f6509c626447738fc5325ca.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258601" class="wp-caption-text">森本哲星（てつせい）［ 市立船橋 ］　175cm　73㎏　左投左打</figcaption></figure>
<h3>森本哲太［ 市立船橋 ］<br>
175㎝　71㎏右投右打</h3>
<p>中学時代は捕手だった兄の哲太。双子バッテリーとして全国大会にも出場した。パンチ力のある打撃が武器で、千葉予選決勝では弟を援護するランニングホームランを放った。</p>
<figure id="attachment_258600" aria-describedby="caption-attachment-258600" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="954f7e96"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/a0d910b1b232aac4ec096fd969f6d7c0.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-258600" class="wp-caption-text">森本哲太［ 市立船橋 ］　175㎝　71㎏右投右打</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2022年8月19・26日号より</p>


朝日新聞社（大阪桐蔭、前田）　アフロ（松尾）　山田次郎（佐倉、村上）　霜越春樹（森下&平野）　共同通信社（武元&渡部）　星谷剛史／yellsports千葉（森本兄弟）

夏の甲子園を制すれば、史上２校目となる高校主要大会３冠を達成する大阪桐蔭。「桐蔭歴代最高左腕」との呼び声高い投手をはじめ、レジェンド級の選手を有するが、他校の注目選手も彼らの優勝を阻むとみられる―！

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