梅毒急増の要因…?店を渡り歩く「性病プリンセス」の恐怖 | FRIDAYデジタル

梅毒急増の要因…?店を渡り歩く「性病プリンセス」の恐怖

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和4年、歌舞伎町はいま…… 第26回

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日本で梅毒の感染者が急増している。国立感染症研究所によると、7月の時点で感染者数は全国で6000人を超え、昨年の同じ時期の1.7倍になっているという。このままのペースで増えると、現在の統計を取り始めた’99年以降で初めて、1万人を超える可能性が高い。

年代別での調査結果を見ると、男性は20〜50代まで全体的に感染者が出ているなか、女性は20〜24歳の数字が突出している。

全国で最も感染者が多いのはもちろん東京で、歌舞伎町の住人たちは、いつ自分が罹患してもおかしくないと戦々恐々としている。

「ぶっちゃけ、性病検査って店によっては義務じゃないのよ」

そう語るのは歌舞伎町のデリヘルで働くマドカ(仮名・22)だ。

「高級ソープとかはS着(コンドーム着用)でも性病検査が毎月必須な店もあるけど、安いソープとかデリヘルだったら『やっといてね』くらいの軽い感じだったり、感染しているかどうかも自己申告だったりする。なんなら、『性病になっても客にうつしてやりたいから出勤する(笑)』とかツイッターに呟いてる風俗嬢もいるくらいだしね……。客に対しての性病検査をするところなんて聞いたことないし、ホントに風俗業界は性病に対してユルい」

SNS上には最近、そんなユルさを象徴するようなアカウントも現れた。川崎の某ソープランドに在籍している嬢が、インスタグラムのストーリーに「梅毒なったかも」「いま淋病とクラ(ミジア)とコンジローマは確定してる」などと投稿。彼女は、自身のことを「性病プリンセス」と称した。

「プリンセス」が在籍するソープの別の嬢が店舗側に確認すると、投稿をした後も変わらず出勤し続けていることが発覚した。彼女の存在は、風俗業界に携わる人間だけでなく、客の男たちをも震撼させた。

その後、「性病プリンセス」は在籍店舗を次々と変更。都内のデリヘル→ホテヘル→チャイデリ(中国人向けのデリヘル)と移り、そのたびにSNS上で特定&拡散が行われ、ついには彼女を性病と知りながらも店舗に紹介していたスカウトらしき人物も特定された。同業者からすれば、性病のまま働く嬢の存在は危険なので当然といえば当然の流れである。

自分が「プリンセス」を指名したことのある客につくことになるかもしれないと、感染を恐れる女性も相次いだ。

スカウトのマサト(仮名)が言う。

「性病になって高級ソープを出勤停止させられると、すぐに別のデリヘルに移るという子はいる。キャバクラに行ったって枕営業する子もいるし、パパ活なんて個人同士だから当たり前に高リスク。歌舞伎町や川崎、吉原だけじゃなくて、港区でも梅毒が流行っていると聞きます。女の子を責める男は多いけど、客が性病バラ撒いてることだってある。風俗嬢や客に、直近1ヵ月の性病検査表の提出を義務付けたりするしか方法はないと思います。でもそんなことすれば売り上げは間違いなく落ちるから、店側はやりたがらない。いまのままなら、性病は増える一方でしょうね」

夜の仕事をしている人のなかには金銭的に困窮しており、それらしい症状が出ていても生活のために働き続けているケースもある。梅毒を始めとした性病を減らすためには、コロナ禍で習慣づいた手洗い・うがい・マスクに加え、定期的な性病検査もルーティン化する必要性があるだろう。

佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。
小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。
15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。

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『FRIDAY』2022年9月2日号より
  • 取材・文佐々木チワワ

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