ポイントは”NHK”…香川照之に梨園が激怒している本当の理由

「性加害」が報じられた香川照之（56）に対し、ここへきて梨園から怒りの声が一斉に上がり始めているという。

香川は8月24日発売の『週刊新潮』で、2019年7月に東京・銀座のクラブでホステスの女性に対して胸を触る、キスをするなどの「性加害」行為を行い、そのことが原因で被害女性がPTSD（心的外傷ストレス障害）を発症したことなどが報じられた。

9月1日、TBSは香川が金曜キャスターを務める朝の情報番組『THE TIME,』（TBS系）の降板を発表。同日、トヨタ自動車が、年内の契約満了をもって契約を更新しない方針を決めた。さらに、CM2社も降板を決定。残る2社も検討中だという。中でも最も注目されていたのが、 NHKの動向だった。

「NHKの前田晃伸会長（77）は、1日の定例会見で、『報道は承知しており、あってはならないことだと考えている』と語り、これまで香川さんが出演してきたEテレ『香川照之の昆虫すごいぜ!』と、NHK総合の『昆虫すごいZ!』についても、『番組が良いから何をやってもいいというわけではない』と強い口調で批判しました。結局、2番組ともに今後、放送しないことが決定しました。ドラマの再放送も含め、香川さんの映像が今後NHKで流れる可能性は低いと思います」（NHK職員）

このNHKの対応に落胆の声を隠せないのが、梨園関係者だ。

歌舞伎役者・市川中車としては問題なし。しかし、俳優としては…..

「実は、梨園関係者の間では、報道直後は大して問題にしてなかったというか、ほとんど話題にも上がりませんでした。ある役者さんは『何が問題なの？3年前の話だし、示談したんでしょう？全然問題ないよね』などと言う始末です。すぐに鎮火すると本気で思っていた人は少なくないと思いますよ」（松竹関係者）

当初は、「この程度の記事では歌舞伎界における『歌舞伎役者・市川中車』の立場は変わらない」という認識だった。しかし、批判が止まず、降板が相次ぐなかで、ようやく事の重大さに気づき始めたという。

「今、歌舞伎界は長引くコロナ禍の影響で、経営状態は火の車です。多くの役者が収入減に苦しんでいる。舞台に上がっても肝心のお客様が入らないから収入も減る一方です。歌舞伎じゃなくても、舞台であればなんでも出たい。テレビであれば、どんな役でも飛びつきたいというのが正直なところです。ここ数年、NHK大河ドラマを中心に、NHKには実に多くの歌舞伎役者が出演するようになりました。これは、香川さんの実績と功績が大きいのです。

しかし、香川さんがNHKを“出禁”になったことで、これからNHKから声がかかるのを待っていた役者さんにとっては、大きな痛手になる。今回の件を最初は静観していたように、まだ歌舞伎業界が女性問題に対しては旧態依然としたところがある。そうした意識の遅れによって、歌舞伎役者自体が“そうしたリスクが高い”と思われかねないのです」（同前）

さらに、ベテラン俳優もこの決定に頭を抱えているという。

「今後は身体検査が厳しくなることを最も危惧している。表立って梨園から香川さんに対する厳しい声が上がらないのは、ブーメランを恐れているからです。ベテラン役者さんともなれば、探られたくないことの一つや二つは抱えています。香川さんのように女性問題を起こしてしまって、しっかり後始末をしたつもりでも、時間が経てばこうして表に出てきてしまう。香川さんの問題は、全く他人事ではなくなったのです」（梨園関係者）

あるベテラン役者は、ため息混じりに香川に向けてこんな言葉をつぶやいた。

「中車（香川）は、本当は歌舞伎役者なんかになりたくなかったんでしょう。でも、息子の市川團子（18）になんとか猿之助の名跡を継がせたいという思いを叶えるために歌舞伎界に入った。舞台ではかなり苦労していたよ。おそらく、テレビ業界での扱いと、梨園での扱いのギャップにストレスが溜まってたんじゃないかと思う。でも、こうなってしまったら、心を入れ替えて、芸に精進するしか道はないと思うよ」

思わぬ形で煽りをくらった歌舞伎業界。業界全体でコロナ不況はまだまだ尾をひくなか、“香川ショック”のダメージは意外と大きいかもしれない。