池袋乱闘騒ぎで注目…「チャイニーズドラゴン」の”危険性と懸念” | FRIDAYデジタル

池袋乱闘騒ぎで注目…「チャイニーズドラゴン」の”危険性と懸念”

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乱闘騒ぎが起きた池袋の「サンシャイン60」
乱闘騒ぎが起きた池袋の「サンシャイン60」

東京・池袋の高層複合施設「サンシャイン60」の58階のフレンチレストランで、不良グループ「チャイニーズドラゴン」のメンバー約100人による乱闘騒ぎが起きた。高層階ならではの夜景とともに食事を楽しめるレストランは、一転して修羅場と化した。警視庁の調べで、乱闘騒ぎを起こしたのは不良グループ「チャイニーズドラゴン」と判明、現場にいたメンバーの特定を進めており、今後、傷害容疑などで捜査をする方針だ。

事件は10月16日の夜に発生した。サンシャイン60のフレンチレストランで団体客が貸し切りでパーティを開催していたところ、始まって間もなく怒声が響き渡り、店から「理由は分からないが、客同士がケンカをしている」と110番通報が入った。警察官が駆け付けると、頭部をけがして出血していた男性ら数人を残して多くはすでに現場を立ち去っていた。会場ではテーブルがひっくり返り、皿やグラスなどが割れた状態で放置されていた。

全国に「1500人」いる

パーティを開催していたのはチャイニーズドラゴンのメンバーらで、趣旨は刑務所に服役していたリーダーの「出所祝い」だった。内輪もめが起きたとの見方や、出所祝いが開催されるとの情報を聞きつけた対立するグループが押しかけたとの情報もある。いずれにしても、パーティは開始早々に終了。飲食料金が支払われたかどうかも不明でレストランにとっては迷惑でしかない宴だった。

チャイニーズドラゴンとは中国残留孤児2世、3世たちを中心にして結成された暴走族グループ「怒羅権」(ドラゴン)が始まりとされている。1990年代に暴走行為を繰り返していただけでなく、暴力事件も引き起こしていた。次第に残留孤児だけでなく、日本人も加わり組織が大きくなっていたという。

警察当局によると、チャイニーズドラゴンは全国で約1500人が確認されており、東京都内では約400人となっている。警察当局はチャイニーズドラゴンの各グループのリーダーや幹部、末端にいたるまでのメンバーを把握してデータベース化し、動向の把握に努めているのが実態となっている。

公安委員会が暴力団対策法に基づいて指定する指定暴力団とは違い、暴力団に準ずる危険な団体として、警察当局は「準暴力団」と位置付けている。報道では「半グレ」と称されることもある。

2000年代初頭に撮影された、暴走族時代の「怒羅権」の写真
2000年代初頭に撮影された、暴走族時代の「怒羅権」の写真

サンシャイン60での乱闘騒ぎについて、警察当局の捜査幹部は、「すでに逃走しているとはいえ、池袋の繁華街には防犯カメラが張り巡らされている。記録された画像をリレー方式で追跡することで、さほど時間を必要とせず(犯行グループを)割り出せる」と自信を見せる。

さらに、今後の捜査について、「まずは負傷した被害者について、傷害事件として立件することになるだろう」との見通しを語る。そのうえで、「傷害事件だけでなく、乱闘によって店側が受けた被害についても精査すべきことはある」と指摘する。

「店内の割れた皿やグラス、壊れたドアなどについて器物損壊容疑でも事件化できそうだ。それだけではない。集団での乱闘騒ぎを起こしたことによって、レストランは事件直後、正当な営業ができなくなってしまった。この被害について、威力業務妨害容疑でも立件する方向で検討することも考えられる」との見方を示した。

警察幹部の「懸念」とは

しかし、「ニュースなどでこれだけ取り上げられ、影響が大きいため、チャイニーズドラゴン側が事態の収拾を図ってくるかもしれない」とも指摘する。

「店に対しては後になって飲食料金を支払うとか、破損した備品について弁償するなどで、法的な責任を負わないようにするのではないか。負傷したメンバーは被害届を出して警察に泣きつくのは格好悪いと考えて被害の申告をしないことも考えられる。被害届が出ないとなれば検察が起訴しないかもしれない…」

レストランについては、チャイニーズドラゴンによる集団での乱闘騒ぎの風評被害も懸念される。刑事責任の追及が困難となれば、社会に不安だけが残される可能性がある。指定暴力団は暴対法によって様々な規制がなされているが、準暴力団、半グレであるチャイニーズドラゴンは法の規制外となっているため、新たな対策が求められている。

  • 取材・文尾島正洋

    ノンフィクションライター。産経新聞社で警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブ、国税庁記者クラブなどを担当し、フリーに。近著に『山口組分裂の真相』(文藝春秋)

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