NYラーメンコンテスト2連覇「HEY!たくちゃん」が目指す先 | FRIDAYデジタル

NYラーメンコンテスト2連覇「HEY!たくちゃん」が目指す先

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コンテスト優勝のラーメンの技を「大つけ麵博」で披露! 

モノマネ芸人のHEY!たくちゃん。今では、日本を代表するラーメン店「鬼そば 藤谷」(渋谷)店主の一面も(撮影:番正しおり)
モノマネ芸人のHEY!たくちゃん。今では、日本を代表するラーメン店「鬼そば 藤谷」(渋谷)店主の一面も(撮影:番正しおり)

モノマネ芸人でありながら、渋谷センター街のラーメン店「鬼そば 藤谷」の店主でもあるHEY!たくちゃん。2011年から数々のラーメン大会で入賞し、2019年には、ニューヨークで人気の「ジャパンフェス」内の名物コンテスト「ニューヨークラーメンコンテスト」でグランプリを受賞。3年ぶりの開催となった2022年度のコンテストでも優勝し、2連覇を達成した。優勝後の感想と今後の目標をうかがった。 

ジャパンフェス…日本文化を楽しめるとして人気のフードフェス。平均年間来場者数は15万人にもおよぶといわれている。(HEY!たくちゃん提供)
ジャパンフェス…日本文化を楽しめるとして人気のフードフェス。平均年間来場者数は15万人にもおよぶといわれている。(HEY!たくちゃん提供)

刺激を受けたニューヨークの最新ラーメン事情 

――「ニューヨークラーメンコンテスト」2連覇おめでとうございます!コロナを挟んで、3年ぶりのコンテストとなりましたね。

HEY!たくちゃん(以下、たくちゃん):帰りは疲労困憊状態でしたが、ただただ行ってよかったです! 「優勝は、鬼そば 藤谷!」って言われた時は、嬉しすぎて言葉が出なかったんですが、その後のインタビューで少しずつ実感が湧いてきて、自然と泣いてました。

「日本に帰ってからはなわさんに電話で優勝報告したんですが、その時も泣きました(笑)」(HEY!たくちゃん提供)
「日本に帰ってからはなわさんに電話で優勝報告したんですが、その時も泣きました(笑)」(HEY!たくちゃん提供)

――なぜ、再び「ニューヨークラーメンコンテスト」に出ようと思ったのですか?

たくちゃん:コロナ禍に入ってから、僕が本来やりたかった「美味しいラーメンを作って、たくさんの人に食べてもらう」ことができなくなってたんですね。もう、すごく悔しかったです。その後、いろいろなことが少しずつ解禁されはじめた頃に、とりあえず今の自分にできることをしようと思って、調理師専門学校の夜間に通いはじめました。そのうち「学校で培ったものを披露したい」っていう欲も出てきて、自然と「コロナ後1発目のニューヨークラーメンコンテストに絶対に出よう!」と思ってました。 

芸人でいうなら、いいネタを持っているのにライブに出られない状況ですね。絶対にウケるネタを持っているのに披露できないなんて、地獄ですよ。

――世界情勢への不安や円安への懸念は?

たくちゃん:それは正直ありました、渡航費も宿泊費も、3年前の2倍になってたんで(苦笑)。材料費は現地に行ってみないとわかりませんし、めちゃくちゃ不安でしたが、「ニューヨークラーメンコンテスト」でラーメンを作りたい、たくさんの人にラーメンを食べてもらいたいっていう気持ちが円安の不安を吹き飛ばしました(笑)。 

「東京ラーメンショー2011」内のコンテストや「大つけ麺博2016」ラーメン部門などでも優勝している
「東京ラーメンショー2011」内のコンテストや「大つけ麺博2016」ラーメン部門などでも優勝している

――3年ぶりのニューヨークはいかがでしたか? 

たくちゃん:ますますラーメンが浸透してきたなって思いました。箸で食べるのは普通になっていて、3年前よりも「フォークプリーズ」と言われませんでした。 

あと、街中ではラーメン店が増えてましたし、人気店は行列もできていました。物価が上がっている中で、ラーメンは18~20ドルくらいと、ほかと比べて安いというのもあるとは思いますが、どのお店もにぎわっていましたね。 

あと、向こうではオシャレな食べ物として受け入れられていました。2店舗ほど食べに行きましたが、女性の一人客、デート中のカップル、ご夫婦や年配の方など、本当にいろんなお客さんがいました。なかにはパソコン仕事をしながら食べてる人もいて、日本では見ない光景なんで新鮮でした。 

嬉しかったのは、いろんな人から「一緒に写真を撮って」と言われたことですね。仕込み中もずっと動画を撮られてましたし、15年くらい前のちょっとテレビに出ていた時代を思い出しました(笑)。 

「出待ちみたいに営業が終わるのを待っててくれた人もいました。日本だったら、絶対にないことですよ(苦笑)」
「出待ちみたいに営業が終わるのを待っててくれた人もいました。日本だったら、絶対にないことですよ(苦笑)」

それにニューヨークでは、しっかり手ごたえもありましたし、「俺、3年間で成長したな」って実感しました。 

失敗から生まれた絶品ラーメンスープ 

――どんな点で成長したと?

たくちゃん:3年前よりも、スープがめちゃめちゃ美味しくできたんです。これ以上に美味しいスープは作れないんじゃないかと思うくらいの。でも、きっかけは失敗なんですよ。 

うちはオマールエビの濃厚味噌ラーメンを出したんですが、メインのオマールエビをオーブンで焼きすぎちゃったんです。普段なら捨てるんですが、調理師学校で「失敗した後の工夫が奇跡を起こすことがある。それに挑戦する好奇心を持っているかどうかも、料理人の大事な才能なんだ」と教わったのを思い出して、捨てるのをやめました。 

そして、フランス料理の「ジュ」という焦げを活かす調理法をまねして、思い切って焦げた部分もスープ鍋に入れてみたら、見た目はドロドロだけど、めちゃくちゃ濃厚で美味しいスープができたんです。 

「冗談は抜きで、この失敗のおかげで、料理人として一歩成長できたなって思いました」
「冗談は抜きで、この失敗のおかげで、料理人として一歩成長できたなって思いました」

――お客さんからの感想はどうでしたか? 

たくちゃん:個人的には好評だったと思います。通訳さんを雇って、コンテスト中はずっとお客さんの話すことを通訳してもらったんですが、「めちゃくちゃ美味しい」とか、「こっちにお店出さないの?」とか、いろんな言葉をいただきました。ニューヨークは世界の最先端の街で、もちろん憧れもあるんですが、出店するには何個もハードルがあるんで、簡単には出せないです。でも、間借りだったらそこまでハードルは高くないらしいので、そういった形で挑戦するのもいいかなと思いました。

お店の前には80人くらいの行列ができたそう。「4人前ずつしか作れないので、そういった意味でも大変でした(苦笑)」(HEY!たくちゃん提供)
お店の前には80人くらいの行列ができたそう。「4人前ずつしか作れないので、そういった意味でも大変でした(苦笑)」(HEY!たくちゃん提供)

コンテストに出品したラーメンが食べられる「大つけ麵博2022」

――11月5・6日の「大つけ麵博2022」では、コンテストと同じラーメンが食べられますか?

たくちゃん:大つけ麺博では、大量のオマールエビと豚の旨味、鶏の旨味、さらに日本三大和牛近江牛を使用した四重奏のスープに、国産極上チャーシューと黒毛和牛のローストビーフを具材に使用しています。「大つけ麺博2022」限定の一杯なので、ぜひたくさんの人に食べてほしいですね。 

その後は、ニューヨークで学んだことを実践して、「鬼そば 藤谷」をパワーアップさせたいと思っています。向こうでラーメン屋を経営している方と会う機会があって、いろいろな話をしたんですが、ニューヨークは物価が上がってきていて、日本と比べものにならないくらい経営が大変なんだそうです。そんな状況でも、なんとか生き残ろうと工夫していて、その姿勢にめちゃくちゃ刺激を受けました。 

ただラーメンを食べるだけのお店から卒業して、1ランクアップしたお店になりたいので、僕の挑戦はまだまだ終わりそうにないですね(笑)。

ニューヨークラーメンコンテストで優勝した「豪華オマールエビ味噌らぁ麵」
ニューヨークラーメンコンテストで優勝した「豪華オマールエビ味噌らぁ麵」

「鬼そば藤谷」の公式HPはコチラ

  • 取材・文安倍川モチ子

    WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

  • 撮影番正しおり

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