<figure id="attachment_278975" aria-describedby="caption-attachment-278975" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bb7cfd07"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_202113118.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-278975" class="wp-caption-text">何度も“愛のカタチ”を演じてきた豊川悦司（左）と寺島しのぶ（中）のコンビは、まさに運命の相手と言わしめるだけのことが…</figcaption></figure>
女優・寺島しのぶが豊川悦司と主役を務める公開中の映画『あちらにいる鬼』は、昨年99歳で亡くなった瀬戸内寂聴が不倫の果てに出家する”道ならぬ恋”を描いた衝撃作。ラストシーンで法衣をまとう寺島の尼僧姿には、生涯を通じて聖も俗も受け入れて来た瀬戸内寂聴その人を見るようで神々しさすら感じられた。
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「この作品は、女流作家として人気を博していた瀬戸内晴美(寂聴)と戦争や差別について描いてきた戦後文学を代表する作家・井上光晴、そして２人の関係を知りながらも添い遂げた井上の妻。
実在する３人の特別な関係を井上夫妻の長女でもある小説家・井上荒野が描いた名作を映画化。主演を務める寺島とトヨエツの２人はこれまで何度も、男女の愛のカタチを熱く演じてきただけに、名コンビの復活には公開前から期待が集まっていました」（ワイドショー関係者）
しかしコロナ禍で撮影は延期。感染が急激に拡大するタイミングで瀬戸内寂聴に会うこともできず、寺島は役作りに苦しんだ。そんな中、寂聴と井上光晴の誕生日が同じであることが大きなヒントになったという。
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「誕生日が一緒ということは星回りも一緒。実は寺島と夫であるローラン・グナシアさんも誕生日が同じことから性別は違うけど、２人は惹かれあっていくマグネットのような関係なのではないか。寺島は撮影を重ねる内に、そう確信するに至ったようです」（制作会社プロデューサー）
強い絆で惹かれ合う寂聴と光晴。しかし寺島しのぶと“運命の相手”豊川悦司もまた、濃密な深い絆で結ばれている。２人は今作と同じく廣木隆一氏がメガフォンを取り、荒井晴彦氏が脚本を手掛けた『やわらかな生活』（’06年）で初めてタッグを組むと翌年、渡辺淳一の話題作『愛の流刑地（あいるけ）』では、究極の愛のカタチを体当たりで演じ切って魅せた。
<div data-friday-nextpage-lead="寺島にとって豊川が”運命の相手”と感じるワケは…"></div>
「そんなトヨエツに対して『もし夫と出会っていなかったら、あれだけ愛し合っている役を演じ続けてきて、好きにならないわけがない』『だけどプライベートを切り離したために“やわらかな生活”も演じられたし“愛の流刑地”、ドラマ“太宰治物語”でも夫婦を演じ、年を重ね“あちらにいる鬼”もできました』と思いを口に語れば、トヨエツもまた『前世は、一緒に日本中を旅していた双子の役者に違いない』と話しています。
そんな２人が剃髪を前に一緒に風呂に入り、寺島の髪をトヨエツが洗う場面には、２人にしかわからない絆みたいなものを感じました」（前出・ワイドショー関係者）
２人の“別れ”を描いた寺島の出家得度のシーンには、目を奪われた。
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「寺島自身は『寺島しのぶなら、剃るよね』と７割くらい心を決めていたようです。しかも『あれだけ脱いでおいて、髪を剃らないのか』と揶揄する週刊誌の文面までが頭に浮かんでいたと話しています。夫・ローランから『絶対にかっこいいから』と背中を押され、剃髪したという寺島ですが、カツラで演じるという選択肢もあったはず。なのになぜ、そこまでやってしまうのか。
そんな寺島を『やっぱりそこまでやるよね、あなたは。その想いを共演者として一緒に背負っていかなければ、そう思わせる稀有の女優』と、“運命の相手”豊川悦司も惜しみない賛辞を送っています」（前出・プロデューサー）
男と女の関係を断つために出家する。最後の逢瀬を重ねるシーンを前日に撮った寺島は、“これで最後か”と思うと悲しくなって撮影後に号泣。しかし実際に剃髪してみると
「すべてを捨てるためではなく、“生きるために剃った”のではないか。そう思えるようになった」
と明かしている。尼僧姿になった寺島の神々しさは、そんな思いから生まれたのではないか。
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寺島は、’03年映画『赤目四十八瀧心中未遂』に主演して映画賞を総なめして以来、数々の作品で脱ぐことも厭わず、家のことは全部おいて役に挑んできた。なぜこれほど、女優・寺島しのぶは、挑戦的な女優人生を生きてきたのか。
「歌舞伎の名門・音羽屋に生まれた寺島。人間国宝でもある七代目 尾上菊五郎を父に持ち、昭和を代表する名女優・富司純子を母に持つ名門一家に生まれたものの、歌舞伎の舞台に断つことは許されなかった。
５歳の時・弟で歌舞伎役者の五代目 尾上菊之助が生まれ、まわりの目がすべて弟に向く屈辱を味わって以来、男じゃないと祝福されない梨園への反骨精神が彼女の女優魂に火をつけたのかもしれません」（放送作家）
今作で瀬戸内寂聴の壮絶な半生に迫った寺島しのぶ。“運命の相手”豊川悦司との次回作を期待してやまないのは、私だけではあるまい。

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

つのだよしお/アフロ

『やわらかな生活』『愛の流刑地』など、豊川悦司とのコンビで男女の”愛憎”を演じてきた寺島しのぶ。そんな２人が映画『あちらにいる鬼』で再び不倫愛を演じているのだが…

寺島しのぶ　映画『あちらにいる鬼』で運命を感じさせた豊川悦司

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