<figure id="attachment_279247" aria-describedby="caption-attachment-279247" style="width: 4858px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e5a21bc9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_78091193.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-279247" class="wp-caption-text">&#8220;憑依型女優&#8221;として数々の映画賞を受賞している安藤サクラだが…</figcaption></figure>
平野啓一郎のベストセラー小説が原作で、国内外で高い評価を得る鬼才・石川慶がメガフォンを取り現在公開中の映画『ある男』。
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ヴェネツィア国際映画祭はじめ世界が注目する今作で女優・安藤サクラが“引退の危機”にあったことが明らかになり、驚きの声が上がっている。
「この映画は、離婚して子供を連れ故郷に帰った谷口里枝（安藤サクラ）が、やがて大祐（窪田正孝）と出会って再婚。新たに授かった子供と４人で幸せに暮らしていたある日、大祐が不慮の事故で死亡。
悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄（眞島秀和）が法要に訪れ、衝撃の事実が明らかになる。愛したはずの夫は一体誰なのか。里枝は、弁護士の城戸章良（妻夫木聡）と共に大祐として生きた“ある男”の真実に迫る、感動のヒューマンミステリーです」（ワイドショー関係者）
冒頭のファーストカット。里枝が実家の文房具店でペンを手にして涙を流す印象的なシーンには、多くの観客が目を奪われた。
「安藤は映画『万引き家族』の後、仕事を控え子育て中心の生活を送っており、久々の映画出演には勇気がいりました。それでも『里枝をかわいそうな女性にはしたくない』『自分が演じることで変えられるかな』といった思いで出演に踏み切りました。
そして迎えた撮影初日。ペンを手にして涙するシーンでハプニングが起きます。『OKなんだけど、でも、やっぱり何かが違うかもしれないから、もう一回やりたい』『本物じゃない』と、監督から矢継ぎ早にダメ出しされた安藤は、そこからどこを目指したらいいのかわからなくなり、３日間くらい困り果てたと告白しています」（前出・ワイドショー関係者）
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安藤といえば、’18年に公開された映画『万引き家族』で、’14年公開の映画『百円の恋』に続き二度目の日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞している実力派女優。物語の登場人物に憑依して役を生きることができる稀有の存在としても知られている。
「例えば、映画『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』（’10年）では、“ブスでワキガでバカ”のカヨ、主演作『かぞくのくに』（’12年）では北朝鮮に渡った兄を持つ在日コリアンの妹リエ、映画『家路』（’14年）では震災後にデリヘル嬢に復帰する母・美佐といった一筋縄ではいかない役どころをまるで本人であるかのようにナチュラルに演じ、映画関係者の度肝を抜きました。
中でも自身がデビュー作と語る映画『俺たちに明日はないッス』（’08年）では性に無知のあまり、かえって大胆な行動を取ってしまう女子高生ちづ。さらに映画『愛のむきだし』（’09年）では虐待を受けゆがんだ成長過程の中で、カルト教団の勧誘員になってしまうコイケ。現場を行き来しながら、このまったくタイプの違った二役を同時期に演じてしまうモンスターぶりには驚くばかりです」（制作会社プロデューサー）
<div data-friday-nextpage-lead="“女優引退”を考えるほど、追い詰められたワケは…"></div>
そんな彼女が、今作の初日舞台挨拶で
「私この仕事向いてないと思うの。久しぶりに現場に入ったけれど、これで終わりにしようと思う」
と、主役の妻夫木聡に打ち明けていたことが明らかになっている。今作で撮影監督を務めた近藤龍人氏は
「里枝が突然涙を流す。観客がぐっと引きつけられるためにはどうすればいいのか。この場面の撮影終了後に監督は何か微妙な違和感を感じ、再撮影。そのことで安藤さんに不安を与えてしまったかもしれません」
と当時を振り返って述懐する。本格的な映画としては４年ぶりとなる今作で、天才肌と謳われた安藤に一体何が起きていたのか。
「監督の石川慶氏は、里枝の涙が止まらなくなるシーンを撮るに当たって、気になることがありました。それはカンヌ国際映画祭でも審査委員長のケイト・ブランシェットが激賞した映画『万引き家族』の取り調べシーンで安藤が魅せた“泣きの演技”。
あのイメージに引っ張られる懸念があることを心配する監督は、納得いくまで“もう一回、もう一回”とテイクを重ねていきました。結果、『万引き家族』の“泣きの演技”とも違う素晴らしいファーストカットに生まれ変わっています」（前出・プロデューサー）
撮影初日のファーストカットで「本物じゃない」と言われ、落ち込んだと語る安藤。しかし当時を振り返り、今ではこんなコメントを残している。
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「これまで感覚的に生きてきたのですが、この一年、一度論理的な思考に自分をはめて暮らしてみようと挑戦して、結果バランスを崩してしまった。そんな自分の変化の時期に出会ったのが里枝。
いつもの自分のアプローチとは違う仕方で、この作品では生きました。心と体の動きが一致していない状況は結果論からいうと、里枝のいる状況と重なっていたのかもしれません。そこが石川監督の狙いだったのかも。石川監督に負けた！と思っています」
と、今の心境を語っている。
“憑依系のモンスター”と恐れられる安藤サクラ。今作をきっかけに“女優・第２章”の扉が開かれたのかもしれない。
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バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

AP/アフロ

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安藤サクラ　“憑依系のモンスター”が映画『ある男』で女優引退の危機に迫られたワケ

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