「金髪のカツラに付け鼻」もいまはNGに…「見た目イジリ」が地上波から消える日 | FRIDAYデジタル
連載記事

「金髪のカツラに付け鼻」もいまはNGに…「見た目イジリ」が地上波から消える日

スタッフは見た!週刊テレビのウラ側

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
『M-1グランプリ』初の50代ファイナリストとなった長谷川(左)と44歳の渡辺隆のコンビ『錦鯉』。ツッコミは激しいが、ネタはマイルドだ
『M-1グランプリ』初の50代ファイナリストとなった長谷川(左)と44歳の渡辺隆のコンビ『錦鯉』。ツッコミは激しいが、ネタはマイルドだ

3年連続で『女芸人№1決定戦 THE W 2022』(日本テレビ系)の決勝に臨んだ人気お笑いコンビ『Aマッソ』が三度目の正直ならずに敗退。視聴者から疑問の声が上がっている。

「”体形で判断されたくない”と箱に入った状態で就職活動の面接に挑む……という、容姿イジリNGのコンプライアンスを逆手に取ったコントを披露。笑いは取れていたのですが、たとえ自虐ネタであっても、容姿について言及するネタはテレビ的にタブー。少なからずジャッジに影響を与えていたと思います」(キー局プロデューサー)

『THE W』と同様、賞レースで容姿イジリネタを披露した芸人が爆笑を取っても敗退する事態が相次いでいる。

「たとえば『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の3回戦で敗退した『もも』。昨年のファイナリストで、ヤンキー風のまもる。(28)とオタク風のせめる。(29)が、『お前、〇〇顔やろ!』とツッコみ合う漫才が人気でした。ハゲイジリを得意とする『きしたかの』も、爆笑を取っていたのに準々決勝で敗退。ちなみに『もも』は昨年の『M-1』決勝でネタを観た一部視聴者からすでに”オタクをバカにしている”という批判の声が上がっていました。今年、彼らが早々に敗れたのは、『見た目イジリのネタで戦う芸人は決勝に上げないよ』という審査員からのメッセージなのではないか」(制作会社ディレクター)

実際、自虐ネタで一世を風靡した芸人たちが、路線変更を余儀なくされている。

「’15年の『M-1グランプリ』覇者、『トレンディエンジェル』は2人とも薄毛。”ハゲラップ”ネタで人気を博しましたが、コンビでの出番が激減。ボケ担当の斎藤司(43)は歌唱力を生かして、舞台関連の仕事を増やしています。王者でもそんな状況なので、若手でハゲを売りにしているコンビは存続の危機ですね。自分たちで喜んでハゲネタをやっていても、『スタッフがやらせているのだろう』というクレームが届いてしまうので。’21年王者の『錦鯉』は、長谷川雅紀(51)のハゲ頭ではなく、おバカをイジっているから、事なきを得ている」(放送作家)

前出の制作会社ディレクターによれば、「見た目を褒めてもクレームが付く」というのだから厄介だ。

「モデル体形の女性を『痩せていて羨ましい!』と絶賛しても、”拒食症を誘発する”と批判されてしまう。このイジリはすでにNGになっています。巨乳タレントを『Hカップ美女』などと表現するのも御法度。”女性を性的に扱っている”と叩かれますから。意外なところでは、美魔女タレントを『お若いですね』と褒めるのも危険。ちなみに模範解答は『お変わりないですね』です」

「コントのメイクにすら、細かい注文が入る」と前出の放送作家は嘆く。

「以前、バカリズムが金髪のカツラに付け鼻をつけて出演した航空会社のCMには、『人種差別だ』と苦情が入ったそうです。それ以来、コントで使う小道具に金髪のカツラがあると”外国人をイジっていると思われるのでは?”と、上層部からNGが出るようになった。日本人にも金髪の人はいるんですけどね……」

テレビの思考停止、と言うほかない。

『FRIDAY』2022年12月30日号より

  • PHOTO結束武郎

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事