渦中の田中富広会長にも直撃!ついに「解散命令」へ…旧統一教会 現役信者の本音と教団の現在 | FRIDAYデジタル

渦中の田中富広会長にも直撃!ついに「解散命令」へ…旧統一教会 現役信者の本音と教団の現在

総力取材  被害者救済法成立、2度の質問権行使、 河野太郎消費者担当相は「カルトに該当」と発言 安倍晋三元首相銃撃事件から半年、一気に噴出した教団の闇

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スーツ姿で自宅マンションから出てきた田中会長。8月10日に会見を開いて以来、公の場には姿を見せていない
スーツ姿で自宅マンションから出てきた田中会長。8月10日に会見を開いて以来、公の場には姿を見せていない

解散命令請求は出る

12月中旬、日曜日の朝9時頃、都内の古いマンションから、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)の田中富広会長(66)はゴミ袋を抱えて姿を現した。

日曜日の礼拝のために教会に向かうのだろう。慣れた様子でマンション脇の収集所にゴミ袋を入れると、最寄り駅に向かってテクテクと通りを歩き出す。きっちりとネクタイを締めたスーツ姿。近くにお付きの者はおらず、一人だ。うつむきながら歩くその姿には心なしか哀愁が漂っている。

8月10日に会見を開いて以来、公の場から遠ざかっている田中会長は、いま何を思うのか。

――フライデーです。

そう声をかけると田中会長は、

「えっ?」

と、小さく驚きを見せた――。

今年7月8日、奈良市内での演説中に安倍晋三元首相が凶弾に倒れて以来、旧統一教会を取り巻く状況は激変した。教団への恨みが山上徹也容疑者(42)の動機になっていたことが明らかになると、過剰な献金制度への批判が殺到。さらに、180人もの国会議員が教団と何らかの関わりを持っていたことも発覚し、岸田政権の支持率は急落した。

政権運営の立て直しのため、政府は異例ともいえるスピードで旧統一教会対策を進めた。11月22日には、文科省が教団の組織運営や財産・収支に関する報告を求めて1回目の質問権を行使。12月14日には、「コンプライアンス宣言」の遵守状況などの項目を盛り込んだ2回目の質問権も行使した。

国会を見ると、12月10日に被害者救済法が成立。「霊感」を使って不安をあおる悪質な寄付勧誘行為を禁止し、措置命令に従わない時には懲役や罰金など刑事罰を科すことができるようになった。

11月24日に設立された被害対策弁護団副団長の紀藤正樹弁護士は一連の動きをこう評価する。

「救済法は最初の一歩です。信者の家族被害や、海外への献金などの問題は手つかず。それに、教団と政治の癒着を規制する法改正も必要になってくる。さまざまな取り組むべき課題が残されているとはいえ、大きな一歩であることは間違いありません」

12月9日の参院特別委員会では、河野太郎消費者担当相が「個人的な認識はカルトに該当する」と踏み込んだ発言をするなど、旧統一教会への追及は厳しさを増すばかりだ。解散命令の可能性について、紀藤弁護士が断言する。

「解散命令請求は当然出ます。2度の質問権の行使は、回答に期待しているというより、解散命令を請求する前にきちんと教団の事情を聞いたという手続きです。請求するに当たって、統一教会から抗議を受けそうな部分を事前に潰しておこうという判断でしょう」

年明け早々にも請求は出され、’23年中には教団に対し司法が解散命令を下す可能性は高い。

現実味を帯びてきた教団解散という現状に、現役信者は何を思うのか。匿名を条件に取材に応じた、東京近郊の教会に所属する男性信者が内情を明かす。

「教会長などからは、『解散命令が出ないようお祈りを捧げてください』と言われています。祈りが足りないということで、最近も40日間にわたって毎晩9時に教会に信者が集められて祈祷会が行われました。お子さんがいる信者は、子供を置いて教会に集まっていたので、大変だったと思います。祈る前に、解散命令を出されぬよう教団を改革していくことのほうが重要な気がしますが……」

韓国の命令下にある

教団側も対応をしていないわけではない。田中会長は7月と8月に、その後は教会改革推進本部長の″テッシー″こと勅使河原(てしがわら)秀行氏(59)が合計6度の記者会見を開き、献金や勧誘について見直しをしていくと改革を訴えた。だが、現場の信者のなかには、その言葉を虚しく聞いている者も少なくない。別の現役男性信者が語る。

「事件以降は、確かに高額な献金を信者に迫るようなことはなくなりました。しかし、収入の1割を教団に納めるいわゆる『10分の1献金』は今もほとんどの信者が行っていると思います。そもそも、近年の献金はモノを買わせる方法ではなく、先祖の罪を献金によって解く『先祖解怨(かいおん)』といった内容がほとんど。そして、献金額を決めているのは韓国の本部です。韓国からのノルマ額を明示しそれに対する説明がない限り、私たち信者としては本当に改革が進むとは信じられません」

信者たちが不信感を持つのも無理はない。メディアの目が届かない内部向けの会議の場では、教団上層部は会見とは正反対の内容を発言してきているからだ。

FRIDAY9月16日発売号で報じた、全国の現場幹部に向けた「特別ネット会議」では、田中会長が「実家は霊感商法商品だらけです」と発言。直前の記者会見では、「過去も現在も霊感商法は行っていない」と語っていたばかりだった。11月4日発売号では東京近郊の教会で行われた田中会長の「説教」の内容を報じたが、そこでは、高額献金を反省するどころか促すような発言まで飛び出した。

心から教団を信じて教えを守ってきた信者たちは、解散命令に怯え、上層部の動きを注視している。改革への意思と信者へのメッセージを聞くべく、FRIDAYは12月中旬、田中会長に直撃。それが冒頭の場面である。

突然の取材に驚く田中会長に記者は名刺を差し出したが、それを受け取ることはなかった。質問をしようとすると、

「なんで写真撮ってるの? ダメですよ。許可なくて撮っていいの?」

と、抑揚のない口調で逆質問。そして、

「(取材は)一切お断りします」

と語り、その後は何を聞いても無言を貫いて去って行った。

記者会見での鉄仮面のイメージと違い、信者の前での田中会長は実はユーモラスな人物だという。記者に対しても、怒りを露(あらわ)にするというより、話すことを禁じられているように映った。

教団を追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。

「統一教会において、日本は韓国の指揮命令下にある。献金にしろ勧誘にしろ、韓国の指示のもと行っているのです。韓国との関係を断ち切って、田中会長もしくは勅使河原氏に全権を委任するくらいのことをしなければ、改革は進みません。それをやらないまま、『過度な献金はしないよう指導します』と言ったところで、上辺だけに過ぎない。指揮命令系統を変えられていないからこそ、田中会長も何も言えないのでしょう」

変わってほしい信者と変われない教団……。組織としての歪みを解決できないまま、解散の日は刻々と近づいている。

演説する安倍元首相の背後で襲撃の機会を窺う山上容疑者。7月8日の事件後、統一教会問題は一気に顕在化した
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9月以降は勅使河原本部長が会見に出てくるようになった。「表に立って説明したい」と自ら志願したという
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『FRIDAY』2023年1月6・13日号より

  • PHOTO結束武郎(1枚目)共同通信社(3、6枚目)信者が撮った「ネット会議」のスクリーンショット(4、5枚目)

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