岡田准一や松山ケンイチは大河主演も…大物俳優が『どうする家康』で“ちょい役”で出る特殊事情
岡田准一に山田孝之、松山ケンイチ、阿部寛……。今年のNHK大河ドラマ『どうする家康』を見ていて気になったのは、そうそうたる大物俳優たちが多数脇役で出演していることだ。それも、中にはけっこう地味な役どころも……。
織田信長役の岡田や武田信玄役の阿部はともかく、山田孝之が演じるのは徳川家康に使えた“忍び兼武士”の服部半蔵。松山ケンイチは、後に家康の重臣となっていく本多正信を演じている。どちらも物語に彩を添える役どころではあるが、決してドラマ上絶対不可欠な人物というほどではない。主演が当たり前の山田や松山クラスの俳優が演じる役どころかというと、そうではない気がするのだ。
しかも松山に至っては、12年に放送された同じ大河ドラマ『平清盛』で主演を務めている。岡田も14年の『軍師官兵衛』の主演だ。今年の『どうする家康』出演は、悪く言えば格落ちとなる仕事だが、実は昨今はこういった現象が頻繁に見られるようになっている。たとえば大河に限らず、今や日本を代表するトップ俳優といって過言ではない西島秀俊も、NHK朝ドラに小さな役で何度も登場しているのだ。
目的は知名度とスケジュール
![12年の『平清盛』で主演した松山ケンイチと妻の小雪](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2023/02/aef53947d19681.jpg)
なぜ今大物俳優たちは、彼らにしてみれば“ちょい役”にも近い役どころで、NHK作品に積極的に出演するのか。その理由を探ってみた。
「理由はいくつかあると思いますが、最大の目的は間違いなく知名度とスケジュールでしょう。もともと演技派嗜好の俳優さんは映画出演を好む傾向にありますが、やはりテレビで知名度を上げることは必要。でも民放ドラマは拘束期間が長いうえ、スケジュールも不安定なので、肝心の映画の仕事を入れにくくなってしまいます。
しかしNHKの大河や朝ドラは、ギャラこそ安いものの撮影スケジュールがきっちり組まれ、ズレることもまずない。何よりNHKはとにかく視聴者層が幅広い。ちょい役でも出演すれば知名度が一気に上がります。最終的にはそこから、もっとも割のいい仕事であるCM出演を獲得したい、という思惑も大きいのではないかと思います」(民放テレビ局社員)
また、脇役ゆえのリスクの少なさも挙げられる、という。
「昨今の大河主演は、リスクの大きさに対してメリットが薄いと見られています。というのも作品がコケると、主演はその全責任を背負うことになってしまうから。たとえば松山ケンイチさんは、主演を務めた『平清盛』が当時過去最低の視聴率を記録。ダメージはあまりに大きく、その後1年近く表舞台から遠ざかってしまったほどです。15年に『花燃ゆ』の主演を務め、やはり当時の最低視聴率を記録した井上真央さんも、『全て私の責任』としばらく活動ができませんでした。
対照的に、大河の脇役は美味しいことだらけなんです。もともと主演を務めるほど演技力のある人たちですから、ちょい役でも出演すれば圧倒的な存在感を放つもの。そうすると『ちょい役なのに上手すぎる!』『さすが大物!』とベタ褒めされる。実際に今回の松山さんの演技は大絶賛されており、完全に汚名返上となりました。仮に良い演技ができなくてもスルーされるだけですから、まさにローリスクハイリターン。これからも、大物の大河ちょい役出演は続くものと思われます」(芸能ライター)
それはすなわち、主演が脇役に「食われる」ことを意味している。視聴者としては何とも複雑なところだ……。
![20年4月、仲間と銀座を歩いていた山田孝之](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2023/02/e6ab6923c866c86d80960ae6cf23cdea.jpg)
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- 撮影:足立百合 榎原優美 近藤裕介 島 颯太 船元康子 山田宏太郎
- 取材・文:奈々子
愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター