今期話題の安藤サクラ主演ドラマ『ブラッシュアップライフ』バカリズムが描く「新たなドラマの可能性」 | FRIDAYデジタル

今期話題の安藤サクラ主演ドラマ『ブラッシュアップライフ』バカリズムが描く「新たなドラマの可能性」

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話題のドラマ『ブラッシュアップライフ』に主演する安藤サクラ
話題のドラマ『ブラッシュアップライフ』に主演する安藤サクラ

女優・安藤サクラが主演するドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)の第6話が2月12日に放送され、ツイッターで《#ブラッシュアップライフ》が世界トレンド1位を獲得。回を追うごとにますます大きな注目を集めている。

このドラマは、地元の市役所で働く実家住まい独身女性・近藤麻美33歳(安藤)が、ある日突然、人生をゼロからやり直すことになるタイムリープ・ヒューマンコメディ。第6話では、麻美(安藤)がプロデューサーデビューするドラマ『ブラッシュアップライフ』の初回放送を幼馴染のなっち(夏帆)、みーぽん(木南晴夏)と観る記念すべき日に交通事故に遭い、4周目の人生を歩むことになる衝撃的な展開に驚きの声が上がっている。

タイムリープものといえば、それこそ“地球を救う”くらいの壮大なテーマを掲げないと成立しないと思われがち。ところが、今作で描かれるのは「平凡な人生を何度もやり直す平凡な女性」が主人公。“人生をやり直すことに意味があるのか”、そんなことすら考えさせられる、見事なギャップが見どころのひとつだ。

「脚本を手掛けるバカリズムは、’14年に人生の選択に苦しむ乗客を、みずから望む過去まで連れて行くタクシー運転手(竹野内豊)を主人公にしたドラマ『素敵な選TAXI』(フジテレビ系)で、脚本家デビュー。

’20年、映画化もされた『殺意の道程』(WOWOW)では、サスペンスドラマなどで描かれることのない一見不要と思われる部分にスポットを当て、事細かく描く斬新な切り口でドラマ界に新風を吹き込みました。今作も“バカリズム節”全開の意欲作。今作でGP帯脚本家デビューを飾りました」(制作会社プロデューサー)

さらに日常をそのまま切り取ったかのような会話劇も、見事としか言いようがない。

「第1話には、幼馴染3人による20分にも及ぶガールズトークが登場します。一体どこまでが脚本でどこからがアドリブなのかすらわからない、こうした会話劇も実は一語一句台本に落とし込まれたセリフ。このリアル感は、圧倒的な取材量から生まれていると番組を手掛ける小田玲奈プロデューサーは証言しています」(制作会社ディレクター)

そのために麻美と同い年「’89年生まれ、33歳」を徹底取材。そこからその世代の“あるある”を見つけ出し、台本に落とし込む。そうした取材の積み重ねから“シール帳の交換”やカラオケボックスのシーンなどが生まれている。

しかしバカリズムが生み出す世界は、ともすればドラマのセオリーに反している。

「第1話で幼馴染みのガールズトークが20分も続くと『(視聴者が)離脱するのではないか』。第2話のシール帳のくだりを観て『(他の世代が)何を見せられてるんだ』と思わないか。そういった不安が毎回頭をよぎったと、小田Pも告白しています」(前出・プロデューサー)

ドラマのセオリーに反して、これまで誰も描いてこなかった世界を描く。こうしたアプローチは、バカリズム1人でできるものではない。やはりバカリズムとタッグを組む小田玲奈Pの存在が大きいのではないか。

今回番組を手掛ける小田Pは日本テレビ入社後、『ズームインSUPER』『アナザースカイ』『メレンゲの気持ち』『有吉ゼミ』といった情報・パラエティ番組を経た後に、念願のドラマに移動。『家売るオンナ』シリーズ、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』、『知らなくていいコト』など数々のヒット作を生み出してきた。

バカリズムとは、朝の情報番組『ZIP』の中でオンエアされた連ドラ『生田家の朝』でコンビを組んだ後、『住住』シリーズ、『ノンレムの窓』などでもタッグを組んでいる。

「小田Pはバカリズムを『今まで誰もそこを描いてなかったけど、みんな必ず一度は思ったよね、みたいなことをドラマにする天才』と評しています。

若い頃、映画やドラマをあまり見てこなかったというバカリズム。情報・バラエティ番組を経験してきた小田P。この2人がタッグを組むことでドラマがこれまで見落としてきた鉱脈を見つけることができたのかもしれません」(前出・プロデューサー)

お笑いやバラエティ番組で研鑽を積んで名を成した脚本家といえば、三谷幸喜と宮藤官九郎の名前が浮かぶ。バカリズムも、この2人に肩を並べる日がやって来るのか。『ブラッシュアップライフ』が、そんな予感を感じさせる作品であることは間違いない――。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

  • 写真Motoo Naka/アフロ

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