フリーアナウンサー神田愛花　若々しく見える「ツヤ肌」メイクで大失敗した過去

女性のメイクで、10年ほど前から”ツヤ肌”というのが流行っていることをご存知でしょうか？　うるおいや透明感を感じさせるツヤッとした肌のことで、専用のファンデーションで作り、若々しい印象を与えられるメイクだと言われています。因(ちな)みに”ツヤ肌”の逆は”マット肌”。ツヤのないサラサラした印象に作った肌のことです。若々しい印象……ねぇ。今回はこの”ツヤ肌”について文句を言わせていただきます！

女性の多くは幾つになっても実年齢より若く見られたいと思う生き物です。そのためにお仕事を頑張ったり、そのために食生活を整えたり、若く見られたいという欲望は様々なことへの原動力として大切な存在で、堂々と露(あらわ)にしていいものだと思います。ただ、これをすれば若く見える！　と言われていることすべてが、自分にも当てはまるかというとそうではない。その代表が、前述のツヤ肌だと感じています。

仕事の時はできる限りいつも同じメイクさんにお願いしている私。もともと人見知りの傾向がありますし、慣れない方が顔面に触れる距離にいると気を遣ってしまい、盛り上げなきゃ！　とペラペラ喋って本番前に疲れてしまうからです。

ただいつものメイクさんにも他のお仕事や予定があってお願いできない時も。そんな時はマネージャーさんが別のメイクさんに依頼をしてくれます。同じ事務所の別のフリーアナウンサーを担当しているメイクさんの中から、予定が合う方に来ていただいているようです。同じ事務所の別のフリーアナウンサーを担当している……ということが今回のポイント。

いま、私は42歳。同じ事務所でお仕事を頑張っている人たちはほぼ、私より若い女性たちです。彼女たちは当然、流行のツヤ肌メイクをしてもらっていて、メイクさん本人もそれが良いと信じてやまず。私のメイクを急遽担当することになった時も迷わず、ツヤ肌メイクをします。少し前、人生初のツヤ肌メイクをしてもらった私の顔はテッカテカで、慣れないからか数時間焼き肉屋さんで過ごして喋りまくった後のように感じました。

「愛花のお顔どうしたの？」

若々しく見えると期待していたのに何か違う。やり直す時間もないのでそのまま収録をし、終えて楽屋に戻った時に再度自分の顔を見て、驚愕！　目の下にシワが３本も深くくっきりと出ていて、アイラインは溶けてしまったのか目尻に溜まって真っ黒に、アイシャドウはまぶたのシワに入り込んで色が変わり、おでこや鼻先は油に顔を突っ込んだのかと思うくらいデロリと光っていました。顔色も悪く見え、もう妖怪のようでした。

こんなこと初めて……と悲しくなりましたが、メイクさんもプロ。きっと映りは若々しくなっているに違いない！　とオンエアを見てみると……やっぱり肉眼で見た自分そのままで、シワくっきりでデロリと光り、顔色悪し。流石(さすが)にこの時は母からも「愛花のお顔どうしたの？」とメールが送られてきたほどでした。

それ以降、何がツヤ肌だ！　もう絶対にしない！　と決心。いつもと違うメイクさんが担当して下さる時は自分のマット肌用ファンデーションを持参し、それを使ってメイクをしてもらうようになりました。正直言いますと、テレビを拝見していてツヤ肌メイクによってより老けた印象に見えてしまっている方、清潔感がなくなってしまっている方、お肌の色が本来よりもくすんで見えてしまっている方をお見かけします。大抵皆さん私と年齢が近いかそれ以上の方々です。

年齢と共に低下する肌の水分量のせいなのか？　年齢と共に増える深いシワのせいなのか？　原因が何なのか私にはわかりませんが、女性誌のメイク特集やメイク雑誌で是非、本当のことを伝えていただきたい。ツヤ肌はある年齢以上の方がすると逆に老ける！　やっちゃダメだ！　と。

化粧品メーカーから新しく発売されるファンデーションは”ツヤ肌”用の物が多いと聞きます。購買意欲が旺盛な年齢層に商品開発の焦点を合わせているのでしょう。新商品を売りたいメーカー、新しい物で誌面を埋めたい出版社、双方の気持ちはわかります。が、どうか、どうか、どの年齢層の「若く見られたい」という気持ちにも誠実に応えてほしい。そして、流行に左右されず自分を信じる女性でいたいと思う、今日この頃です。

1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』（フジテレビ系）にメインMCとしてレギュラー出演中　©下村一喜

『FRIDAY』2023年3月17日号より