<h3><span class="strongInContent">日本では「かつ丼」、韓国では《チャジャンミョン》…</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>〈日本の刑事ドラマの尋問シーンでの必須アイテム「かつ丼」のように、韓国でも映画やドラマに欠かせないメニューがある。それが、韓国風ジャージャー麵と呼ばれる<span class="strongInContent">《チャジャンミョン》</span>。このチャジャンミョン、韓国の“町中華”の定番メニューの一つだと言うが、韓国で独自に進化を遂げたもので、本場中国や日本で食されているジャージャー麵とは全くの別モノらしい。ほかにも、<span class="strongInContent">《チャンポン》《オムライス》</span>…など、謎なメニューが並ぶ韓国の町中華。</p>
<p>最近は韓流ドラマの影響で日本でも有名になり、新大久保や大阪・鶴橋に専門店が登場し人気だとか。</p>
<p>日本人観光客が今までスルーしていた奥深くて不思議いっぱいの「韓流中華」の世界…ソウル在住のグルメライター・大瀬留美子さんにレポートしてもらった。〉</p>
<figure id="attachment_299072" aria-describedby="caption-attachment-299072" style="width: 2988px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="af2cf78b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299072" class="wp-caption-text">こちらが、韓流中華の三大メニュー、チャジャンミョン（写真右）、チャンポン（同上）、タンスユク（同左）（PHOTO：Lee Seungyeon）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">デリバリーでも超定番！　国民的人気の3大中華メニューは《チャジャンミョン》《チャンポン》《タンスユク》</span></h3>
<p>一昔前の作品になるが、ドラマ『応答せよ1994（2013）』のコ・アラ、映画『犯罪との戦争（2012）』のハ・ジョンウや 『殺人の記憶2（2003）』のソン・ガンホに共通するのは、箸で持ち上げて一気にすすり上げる《チャジャンミョン》の豪快な食べっぷりだ。</p>
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<p>チャジャンミョンとは、粗く刻んだ玉ねぎやじゃがいも、豚肉をよく炒め春醤（チュンジャン）と呼ばれる黒い味噌で味つけた甘いソースを中華麺にかけた料理で、韓流中華の代表的なメニューのひとつ。</p>
<p>19世紀の後半、中国の山東省から仁川（インチョン）へ多くの中国人労働者がやってきたが、彼らの食事である麺料理が韓国化したものと言われている。現在のように黒いソースになったのは、1950年以降。韓国では老若男女に愛される外食メニューで、出前で食べることが多い。</p>
<p><span class="strongInContent">《チャンポン》</span>というメニューを注文すると、出てくるのは見るからに辛そうな赤いスープの麺料理。白いスープのチャンポンもあるがどちらも辛い。長崎ちゃんぽんの味が定着したという説と中国から伝わった炒碼麺（チョマミョン）がローカライズしたものという説がある。</p>
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<p>そして、チャジャンミョンやチャンポンと共によく食べる一品料理が<span class="strongInContent">《タンスユク》</span>。細く切った豚肉に衣をつけて揚げたものに、にんじんやきゅうり、たまねぎなどの野菜が入った甘酢あんをかけていただく。あんは別で出てくるところも多く、あんをかけるかかけないかの選択も可能だ。味は日本の酢豚に似ている。ソウル市内でも、チャジャンミョン、チャンポン、タンスユクの３種類のメニューに特化した専門店も街のあちこちで見かける。</p>
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<p>このチャジャンミョンは、その派生形メニューもバラエティ豊かで、<span class="strongInContent">《イェンナルチャジャン》</span>は材料を炒め水とでんぷんで作ったソースが特徴、<span class="strongInContent">《カンチャジャン》</span>は材料を春醤だけで炒めたもの、<span class="strongInContent">《ユニチャジャン》</span>のユニは肉泥と書き、細かくした豚肉と玉ねぎを炒めて作ったソースでまろやかな口当たりだ。<span class="strongInContent">《チェンバンチャジャン》</span>は、大皿にソースと麺を炒めたものを盛り付けたスタイルのもの。この他にも黒くないチャジャンミョンや海産物、唐辛子を加えたものなどがある。</p>
<figure id="attachment_299073" aria-describedby="caption-attachment-299073" style="width: 800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a180113e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/2-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299073" class="wp-caption-text">イェンナルチャジャン（写真左上）、カンチャジャン（同右上）、ユニチャジャン（同左下）、チェンバンチャジャン（同右下）</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_299074" aria-describedby="caption-attachment-299074" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="72a5fc86"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299074" class="wp-caption-text">韓国の町中華の定番、箸休めに出てくるたくあんと玉ねぎ。通は口の中をさっぱりとさせるために、お酢をかけて食べる</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="《オムライス》《うどん》《天ぷら》が…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">《オムライス》《うどん》《天ぷら》は、韓国では「町中華メニュー」！？</span></h3>
<p>映画『別れる決心（2022）』が話題のパク・チャヌク監督の初期作品である『オールド・ボーイ（2003）』 で、主人公のチェ・ミンシクが誘拐・監禁されていた15年間、毎日食べさせられていたのは<span class="strongInContent">《クンマンドゥ（餃子）》</span>だ。このクンマンドゥは韓国語で焼き餃子（구운 만두）という意味。たまに日本語の「ヤキマンドゥ（야끼만두）」というメニューも見かけるものの、韓国の焼き餃子は“焼く”のではなく“揚げ”てある。</p>
<p>以前は明確に分かれていたそうだが、揚げたほうが調理時間が断然早いため、焼き餃子はいつの間にか揚げ餃子へと変わっていったようだ。なお、価格を抑えるのとボリュームを出すためにタンミョン（さつまいも澱粉の春雨）が入っている場合がある。デリバリーで頼むと無料でついてくるクンマンドゥの大部分がこのタイプ（トッポッキのオプションとして入ることもある）。</p>
<p>クンマンドゥの他に日本でお馴染みのメニューを韓国中華店では見つけることができる。その一つが日本発祥の洋食<span class="strongInContent">《オムライス》</span>。キンパッ（海苔巻き）やトッポッキなどが食べられる粉食店（軽食店）にもあるメニューだが、韓流中華料理のお店でも（とびきりおいしいというわけではないものの）隠れた人気メニューだ。片栗粉でとろみをつけて作ったケチャップソースをたっぷりかけたオムライスに出会うと、韓国に来てここまで変化していったのかとしみじみと感じ入るものがある。</p>
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<p><span class="strongInContent">《ウドン》</span>と呼ばれるオリジナルの長崎ちゃんぽんに一番近いのではないかと思うメニューや、<span class="strongInContent">《テンプラ》</span>も町中華の人気定番メニューだ。</p>
<p>テンプラは韓国語でコギティギム（肉の天ぷら）と表記する店も多いが、前出のタンスユクのソースなしという、なかなか奥の深いメニューだ。豚肉と衣のみというシンプルにして、最もその店の“揚げの技術”を見せてくれる。このメニューがおいしければ、どの揚げ物メニューもおいしいとも言われている。日本での「鶏のから揚げ」のような存在で、「韓国肉てんぷらの会」という愛好会もある。こちらは、できれば塩とこしょうのみで、そしてビールや中国の二鍋頭酒や煙台古酿といった白酒を合わせていただくことをおすすめしたい。</p>
<figure id="attachment_299075" aria-describedby="caption-attachment-299075" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9220e87e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/4-1_IMG_9108.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299075" class="wp-caption-text">韓国の《クンマンドゥ（餃子）》は、揚げ餃子が主流</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299076" aria-describedby="caption-attachment-299076" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="13f6bcb0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/4-2__IMG_0074.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299076" class="wp-caption-text">韓流中華料理の隠れ人気メニュー《オムライス》。片栗粉でとろみをつけて作ったケチャップソースがかかっている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299077" aria-describedby="caption-attachment-299077" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="469601b0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/4-3_IMG_0528.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299077" class="wp-caption-text">”うどん”というより日本の長崎ちゃんぽんに一番近い《ウドン》</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299079" aria-describedby="caption-attachment-299079" style="width: 3860px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b5c37cc3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/4-4_IMG_0515.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299079" class="wp-caption-text">日本での「鶏のから揚げ」的な存在の《テンプラ》は、豚肉のから揚げ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299080" aria-describedby="caption-attachment-299080" style="width: 3024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ef6867fe"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/5-rotated.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299080" class="wp-caption-text">カリカリの肉天ぷらと白酒の相性は最高！</figcaption></figure>
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<p><a href="https://www.instagram.com/nikutenkatsu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span class="strongInContent">■韓国「韓国肉てんぷらの会」</span>のinstagramはコチラ</a></p>
<h3><span class="strongInContent">韓国「町中華」で人気の「一品料理」を深掘り！</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>最後に、韓流中華の店でよく見られる一品料理を紹介しよう。</p>
<p><span class="strongInContent">《パルポチェ（八宝菜）》</span>は日本のものとほぼ同じ。うずらの卵を確保しておこうと習慣的に探すが、入っていない店がほとんど。<span class="strongInContent">《ナンジャワンス（南煎丸子）》</span>は肉団子のあんかけで、中華風ミニハンバーグといったところ。<span class="strongInContent">《オヒャンジャンユク（五香醤肉）》</span>は八角などの香辛料と醤油で豚肉を煮込んだ料理で、ねぎやニラ、おろしニンニク、煮こごりなどと一緒にいただく。</p>
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<p><span class="strongInContent">《カンプンギ》</span>は語感から一体何の料理か想像しにくいが漢字では“乾烹鶏”と書き、揚げたぶつ切りの鶏肉をピリ辛の甘酢ソースで炒めたもの。そのほか、鶏肉料理では<span class="strongInContent">《ラジョギ（辣椒鶏）》</span>、<span class="strongInContent">《ユリンギ（日本でも知られている油林鶏のこと）》</span>などがあり、韓流中華店では「ギ」がつくと鶏肉料理、「ユク（肉）」がつくと一般的に豚肉料理を指す。</p>
<figure id="attachment_299081" aria-describedby="caption-attachment-299081" style="width: 800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5b4de6bc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299081" class="wp-caption-text">パルポチェ（写真左上）、ナンジャワンス（同右上）、オヒャンジャンユク（同左下）、カンプンギ（同右下）</figcaption></figure>
<p>このほかにも、八宝菜をのせたごはん<span class="strongInContent">《広東飯》</span>、辛いチャンポンの具と目玉焼きをごはんにのせた<span class="strongInContent">《中華ピビンパッ》</span>など、独自の変化を遂げたメニューも人気だ。メニュー表にあったらぜひチャレンジしてほしい。</p>
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<figure id="attachment_299082" aria-describedby="caption-attachment-299082" style="width: 1400px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d41e4075"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299082" class="wp-caption-text">広くてきれいなお店が多いソウルの中華屋さん</figcaption></figure>
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<p><a href="https://www.youtube.com/channel/UCn_3lR1hnAumfLXTkeA5KhA" target="_blank" rel="noopener noreferrer">■大瀬留美子さんのYouTubeチャンネル<span class="strongInContent">「りうめい in Korea」</span>はコチラ</a></p>
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ライター。神奈川県横浜市生まれ。著書に『ソウル、おとなの社会見学（亜紀書房）』『京城のアパート』（チッ図書出版）、『中くらいの友だち　韓くに手帖』（皓星社）でエッセイ、韓国では雑誌に日本の出版事情関連のレポートを連載中。韓国語への訳書に『世界をたべよう! 旅ごはん』（杉浦さやか著、ペーパーストーリー、共訳）がある。

大瀬留美子／Ose Rumiko　

Lee Seungyeon

日本の刑事ドラマに欠かせない「かつ丼」のように、韓国でも映画に欠かせないメニューが、韓国風ジャージャー麵《チャジャンミョン》。チャンポン、オムライスなど、謎なメニューが並ぶ韓国の町中華の世界。

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