「洗脳されている…」BBC制作『ジャニー喜多川氏ドキュメンタリー』取材班が驚愕した「2つの現実」
日本時間3月8日早朝に放送された、イギリス公共放送「BBC Two」制作のドキュメンタリー『Predator:The Secret Scandal of J-Pop(捕食者:Jポップの秘密のスキャンダル)』が大きな反響を呼んでいる。
同番組はジャニーズ事務所の初代社長であるジャニー喜多川氏(享年87)の性加害疑惑について切り込んだドキュメンタリーだ。1999年に「週刊文春」が報じた、喜多川氏の性加害疑惑を掘り下げ、複数の元ジャニーズJr.や記者たちに取材を行っている。
その中でもBBC記者が「洗脳されているのか」と強い言葉で違和感を示した部分が2ヵ所あった。一つ目は番組中盤、記者が都内のアイドルグッズ店を訪れたところだ。ジャニーズタレントのブロマイドなどが並ぶ店で、記者はファンへの取材を行おうとした。もちろんプライバシーなどへの配慮は十分に行った上である。しかし、取材に応じたファンは0人だったという。そのことについてBBC記者は、
「誰もインタビューに応じようとしない。ジャニーズ事務所はファンまでコントロールしているように見えた」
と強い違和感を口にしている。
もう一つのポイントが取材した元ジャニーズJr.たちへの違和感である。取材中、言葉を詰まらせ、証言できなくなってしまう被害者がいる一方で、大半は「今でもジャニーさんのことは嫌いではない」というスタンスだった。実際に番組後半に登場する元ジャニーズJr.は、BBC記者の「なぜ喜多川氏がやっていることを悪いと言わないのか」という問いかけに対し、「ジャニーさんのことが嫌いじゃない。むしろ好きなんで僕は。今でも大好きですよ」と答えている。
BBC記者は「全く理解できない」と困惑した表情を浮かべた上で、こう語っている。
「さっきの取材対象者は喜多川氏のことをLoveという言葉を使い、“今でも好き”と言った。喜多川氏はそこまでのレベルで支配をしているということだ」
番組の終盤では、日本人の心理学に詳しい研究者にまで取材を行い、その秘密を解き明かそうとしている。そこで、「性的虐待は特別の絆を作る。それが教祖というものである」という説明を受け、BBC記者は渋々ながら納得した表情を見せた。
世界中で大きな反響を呼んでいる今回のドキュメンタリー番組。BBCの取材に対して、ジャニーズ事務所は「時代や新しい環境に即して、経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス遵守の徹底、また偏りのない中立な専門家の協力を得てのガバナンス体制の強化」を行うと回答した。その真価が今、問われようとしている。
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