「めっちゃうれしい…」3失点炎上のダルビッシュをバットで救った近藤健介の「公私のやさしさ」 | FRIDAYデジタル

「めっちゃうれしい…」3失点炎上のダルビッシュをバットで救った近藤健介の「公私のやさしさ」

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五回、2点差に広げる本塁打を打った近藤健介(写真:アフロ)
五回、2点差に広げる本塁打を打った近藤健介(写真:アフロ)

野球の世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)で2009年以来の優勝を目指す日本代表は10日、韓国代表と対戦。三回に3点のリードを許す苦しい展開だったが、13⁻4と逆転で下し、2連勝とした。

前日9日の開幕戦で中国代表を8-1で下した日本代表は先発マウンドにパドレスのダルビッシュ有があがった。東京ドームのマウンドは日本ハムに在籍していた2011年10月以来、約11年ぶり。前日の開幕戦の試合前セレモニーでコールされて姿を見せただけで大歓声を受けたが、日本に来てから実戦登板がないままのぶっつけ登板。この日は期待を裏切るマウンドとなった。

3月1日に公開した音声配信『ダルビッシュの言いたい放題 ライブ』の中で、ダルビッシュは大会前に登板できない不安な気持ちを吐露していた。

<登板できないのは仕方がない。登板する試合でその時のベストを見せるしかない。WBCにはベストを持ってこられない>

0-0で迎えた三回、ダルビッシュは韓国代表の姜白虎(カン・ベクホ)に左中間への二塁打を許すと、続く梁義智(ヤン・ウィジ)にレフトスタンドへの特大の2ランを浴びる。さらに村上宗隆のエラーから、3番の李政厚(イ・ジョンフ)にライト前のタイムリーを許し、この回に3点を奪われた。

流れが傾いた直後の三回裏、日本代表は相手の先発金広鉉(キム・グァンヒョン)を打ち崩した。金は‘08年の北京五輪の準決勝で日本戦に好投し、「日本キラー」と呼ばれた左腕。二回までは変化球をとらえられず、5三振を奪われていたが、ラーズ・ヌートバー、近藤健介のタイムリーで1点差に迫り、吉田正尚の2点タイムリーで逆転に成功した。さらに五回には近藤のソロ本塁打と吉田の犠飛で加点し、6―3にリードを広げて流れを完全に引き寄せた。

2012年からメジャーに行ったダルビッシュと、その年に横浜高から日本ハムに入団した近藤。ちょうど入れ替わりで一緒にプレーはしていないが、ダルビッシュはWBCを迎える直前、日ハムの“後輩”にあたる近藤に優しさに感激していた。前出の音声配信の中で、ダルビッシュはこんなエピソードを紹介している。

<今日、珍しく目がかすんでいたんです。バスに乗って遠くを見ても全然ピントがあわなくてどうしたんだろうと思って、目が疲れているのかな、と思って(中略)>

そこでダルビッシュは、2016年から球団から紹介された臨床心理士について動体視力や脳の反応を鍛え続けている近藤に相談したという。

<目がかすんでいるときどうするの、と聞いたら(近藤から)『こういうエクセサイズがあります』『それ専用の紙があるんですが、使われますか?』といってきてくれて……。ちょっとめっちゃうれしい>

3点リードされた直後に、近藤は1点差に迫るタイムリーを打ち、さらに五回にはリードを2点に広げる本塁打を放つなど3打点の活躍。WBCの開幕前、メジャーで活躍する大先輩にさりげない優しさを見せた近藤はこの日、バットで“ダルビッシュ炎上”のショックを振り払った。

近藤だけでなく、5番・レフトで先発した吉田正尚の3打数3安打5打点の活躍もあり、7回までに13得点を奪った。

前日9日の中国代表戦に勝利後、栗山英樹監督はこう明かしていた。

「国際大会は思ったようにはいかないと見てきて思ったが、本当に難しいな、と。まずは勝って良かった」

格下の中国代表に対しても、六回まで2点差だった。この日は先発したダルビッシュが打たれ、3点ビハインドの状況になった。しかし東京ドームに漂った重苦しい空気は、いつのまにか消えた。崩れた大黒柱を全員でカバーして宿敵を撃破した勢いは、世界一まで続くだろうか。

ピンチにマウンドに集まる侍ジャパンの選手たち。ダルビッシュの表情はさえなかった(写真:産経新聞社)
ピンチにマウンドに集まる侍ジャパンの選手たち。ダルビッシュの表情はさえなかった(写真:産経新聞社)

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