効かなくなって一度に100錠摂取も…歌舞伎町トー横界隈で「オーバードーズ」が大流行しているワケ | FRIDAYデジタル

効かなくなって一度に100錠摂取も…歌舞伎町トー横界隈で「オーバードーズ」が大流行しているワケ

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和5年、歌舞伎町はいま……第51回

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3月25日夜から26日早朝にかけ、歌舞伎町「トー横」で警察による一斉補導が行われた。私服警官ら約100人が未成年の若者に声をかけ、30人の少年少女が補導された。

警察が警戒を強めているのは、最近、トー横キッズの間で流行している薬物の過剰摂取「オーバードーズ(OD)」だという。トー横では路上ODが横行しており、泡を吹きながら倒れ込んだ少年少女が担架で運ばれ、その様子を周りが笑いながら動画に撮ってSNSにあげるという光景をよく見かける。

SNSでは「OD動画」が多数拡散。この動画では痙攣を起こす少女が映されている
SNSでは「OD動画」が多数拡散。この動画では痙攣を起こす少女が映されている

トー横に出入りしているマサキ(仮名・20)が言う。

「トー横、結構ヤバいですよ。市販の風邪薬や精神科で処方された薬を大量に飲んでパキってる(ODをして薬がキマっている状態)奴が大勢いる。最初は20〜30錠とかなんですが、効かなくなってくると100錠くらい一気に飲むこともあるらしいです」

ODが増えてきた理由としては、″治安″を守ってきたボランティア団体「歌舞伎町卍会」が消滅したことなどが報じられている。ただ、昔から歌舞伎町住人の間でODは盛んに行われていただけに、トー横キッズが認知度を増すにつれ、ようやく取り沙汰されるようになったというほうが正しいかもしれない。

なぜ、彼ら彼女らはODをやってしまうのか。歌舞伎町のソープランドで働くカナ(仮名・19)があっけらかんと語る。

「出勤中に暇なときに、よくODしちゃいますね。ソープランドの個室って、監獄みたいな感じなんですよ。お客さんがいない間も部屋で待機するんですけど、外界から完全にシャットアウトされている。お客さんが来なくて稼げない不安とか、そもそもなんでこんなところで身体売ってるんだろうとか。暇だと色々考えちゃって。そういう思考を止めるために、薬を大量に飲んでフワフワした気持ちになって紛らわせる」

カナが飲んでいる薬は、精神科で処方されたものだという。一度に大量に飲み、それでも不安が収まらないときは待機中にリストカットしてしまったこともある。

「パキって接客すると、頭がボーッとしてすべてがどうでもよくなる。目の前のお客さんのことをあんまり考えなくていいから楽ですね。漫画でシャブ漬けの風俗嬢がパキって接客しているのを読んで、私みたいって思いました」

風俗嬢やトー横キッズのなかには、身体を売って稼いだカネでホストクラブに通う子も少なくない。ホストのカイト(仮名・25)はこんな衝撃的なエピソードを明かす。

「客の女の子とちょっと口論になったら、ババッて大量の薬を鞄から出して、ボリボリ食べだしたんです。怖かったですよ……。OD常習者の客のなかには、指名したホストの酒に薬を混ぜてくる客もいる。酒と薬は飲み合わせ最悪なんで、記憶が完全に飛んだりする。うちの店で薬をホストに盛った女の子はすぐに出禁になりました」

前出のトー横に出入りしているマサキによると、市販薬でODしているうちは「まだマシ」だという。

「トー横には、MDMAや覚醒剤で逮捕された奴もいる。自分でやるだけでなく、売人になる子まで出てきている」

筆者の周りでもOD常習者は多く、深夜に大量のLINEと電話が来て心配していたら、翌日ケロリと「ごめん昨日パキってた」と連絡が来たりする。早急な規制が必要だろう。

佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

FRIDAY2023年4月14日号より

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