「悪いことをしている自覚はまったくなかった」…「ぼったくりバーで働く女」が語る驚きの実情 | FRIDAYデジタル

「悪いことをしている自覚はまったくなかった」…「ぼったくりバーで働く女」が語る驚きの実情

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和5年、歌舞伎町はいま……第54回

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4月上旬に逮捕された、「ぼったくりバー」の勧誘役とされる女
4月上旬に逮捕された、「ぼったくりバー」の勧誘役とされる女

歌舞伎町では最近、マッチングアプリを使った「ぼったくりバー」の摘発が相次いでいる。4月上旬には、歌舞伎町最大規模のぼったくりグループのメンバー16人が逮捕。同月9日には、リーダー格だった男も逮捕された。

マッチングアプリで釣った男性客を女性従業員が「行きたかった店がある」などと誘い、1杯3000円のショットグラスを注文しまくるのがこのグループの手口だったという。客によっては、80杯も頼まされることがあったようだ。

このグループがどうだったかはわからないが、実は、ぼったくりをしている女のコには犯罪に加担している自覚がないケースも多い。

「働いているときは、ぜんぜんぼったくりバーだとは思っていなかったですね」

そうあっけらかんと語るのは、現在、歌舞伎町のソープで働いているアミ(仮名・19)だ。トー横キッズだった彼女は、ホストクラブに通うカネ欲しさにぼったくりバーを手伝うようになったという。

「売掛(ホストクラブへの借金)に困ってるときに、トー横で知り合った人から『うちのバーで働いたら? 報酬は売り上げの4割出すよ』って言われたんです。メッチャおいしい! って思って飛びつきました(笑)」

アミは歌舞伎町のクラブで声をかけてきた男や、マッチングアプリで出会った男を次々と指定された店に連れて行った。

「飲み放題5000円と言って誘って、店では飲み放題料金に含まれていないテキーラとかのショットを頼ませる。『負けたら一気飲み』とかのゲームもしょっちゅうやっていましたね。『売り上げの4割が報酬』だから、いっぱい頼ませようとこっちも必死ですよ。悪いことをしているという自覚はまったくなかったですね」

1人の客に20万円近い金額を請求することもあったという。アミが続ける。

「確かに煽って飲ませたのは事実ですけど、客も断らなかったので。テキーラのショットが3000円は歌舞伎町では珍しくないし、キャバクラだって同じようなもんでしょって、思ってました。

ただ、私が働いていたバーはそこまで悪質な店じゃなかったので、相手の懐を見て、ATMで無理やりお金を下ろさせるような煽り方はしてませんでした。だから稼げないときは、時給1000円くらいにしかならない日もフツーにありましたね。

今回、逮捕されたグループは客を脅したり、金額をふっかけすぎたんだと思います。グレーなやり方で稼いでいる店は、歌舞伎町にたくさんありますよ」

「ぼったくり」と聞くと、男性客ばかりが被害者だと思われがちだが、歌舞伎町では女性も同じような被害に遭うことがある。歌舞伎町のキャバクラで働くマユカ(仮名・23)が言う。

「ボーイズバーとかコンカフェは、危ない店も多いですね。そういうところで働いている男のコたちも、マッチングアプリで女のコを釣って店に連れてきて、高額なお酒とかを頼ませるんです。店への売掛が払えなくなって、風俗とかキャバで働き出すケースも結構ありますよ。

悪質な店だと、未成年の女のコ相手にそれをやりますからね。知り合いのコンカフェ店員は、マッチングアプリで捕まえた16歳の女のコにウリ(売春)をやらせて、ツケを払わせていました」

良心的な店からすれば、歌舞伎町における「ぼったくり」の増加は迷惑でしかない。とにかく、男も女も、マッチングアプリで出会った相手に店を指定されたときは要注意である。

『FRIDAY』2023年5月12・19日合併号より

  • 取材・文佐々木チワワ

    ’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

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