<figure id="attachment_311836" aria-describedby="caption-attachment-311836" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dc030d4e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/2023051606804.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-311836" class="wp-caption-text">国会において、立憲民主党のヒアリングに出席した元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏（右）と橋田康氏</figcaption></figure>
３月の英BBCによる放送から社会問題化した、ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏（’19年没、享年87）の未成年者への性加害疑惑。５月14日夜には、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が公式サイトに謝罪する動画を掲載し、各方面からの質問に回答する文書を発表した。
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そんな中、16日には国会で元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏と橋田康氏が立憲民主党のヒアリングを受けた。参加した議員、法務省、警察庁、こども家庭庁の官僚の前でカウアン氏は、
「親以外だと（児童虐待に）当たらないということですよね。単純に怖いですよね。理解のない子どもが親以外の方に（性被害を）されたら守れないですよね」
と、児童虐待防止法で規制される「児童虐待」が「保護者（親など）が監護する児童」を対象としていることに疑問を呈した。
過去にも、国会でジャニー氏の性加害が議論の対象になったことがある。
’99年、週刊文春が元ジャニーズJr.の証言などに基づき、ジャニー氏の性加害疑惑を十数回にわたって報じた。ジャニーズ事務所は事実無根として名誉棄損で訴えたが’02年５月、東京高裁は法廷で証言した２人の少年の陳述は具体的でありおおむね一致するもので信用できると認定。ジャニーズは上告したが、’04年に最高裁は上告を棄却して高裁判決は確定した。
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そんな中、’00年４月に国会の青少年問題に関する特別委員会で、ジャニー氏の性的虐待疑惑が取り上げられた。国会で与党議員の阪上善秀議員が児童虐待ではないかと質問をしたが、
「児童虐待の定義は親または親に代わる保護者などによって行われる虐待」
で、ジャニー氏は
「親または親に代わる保護者に該当しない」
ので〝児童虐待には当たらない〟といった答弁がされた。さらに阪上議員は
「児童買春、児童ポルノ禁止法には抵触しませんか？」
と質問したが
「個別具体的な事案にかかわる捜査なので答弁は差し控えるが、一般論としてはこれに違反するような行為があれば厳正に対処する」
といった内容の回答だった。また
「12歳以下の少年にわいせつな行為をしたものは強制わいせつ罪にも問われるのではないか」
との質問にも
「一般論としては13歳未満にわいせつな行為をしたときには強制わいせつ罪が成立する」
といった回答で、具体的にジャニー氏の性的虐待疑惑にどう対応するかという回答はなかった。
<div data-friday-nextpage-lead="「児童虐待」には法の抜け穴が…"></div>
<figure id="attachment_311838" aria-describedby="caption-attachment-311838" style="width: 2069px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f93851fc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/f5102eac356e4ad9eeb8081844be9dd7-2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-311838" class="wp-caption-text">謝罪する藤島ジュリー社長（ジャニーズ事務所オフィシャルHPより）</figcaption></figure>
これにニューヨーク・タイムズは、
《多くの質問の答えが回避された》
と指摘。AP通信もこの国会での質疑応答を報道した上で、日本の主要なメディアは、ほぼすべてがこの疑惑を無視していると非難した。
国会で取り上げられたことは画期的なことだと思ったが、改めて当時の報道などを見返してみると、定義上《児童虐待には当たらない》との答弁や一般論の回答に終始したことが、真相究明にブレーキをかけた可能性は否定できない。
政治や警察が介入して止める好機だったはずだが、そうはならなかった。
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「ジャニーズ帝国」の有形無形の圧力が真相究明を阻み、芸能メディアは忖度しスルーしたことが、新たな被害者を出し続けていた。それが、高裁判決から20年後にBBCに報道され明るみに出た。
デビューを待つジャニーズJr.たちは
「がまんしないとタレントとしての地位が不利になる」（オカモト氏）
と考えて耐えていたという。ちなみに、
「断ればステージの立ち位置が悪くなったり、デビューできなくなると考えた」
ことは当時の高裁判決でも認定されていた。
麻薬事件や違法行為でもない不倫でも長期間謹慎に追い込まれたり、事務所を解雇されたりする芸能人も数多くいる中で、あまりにも不公平ではないだろうか……。
ジャニー氏がショービズ界に数々の人気グループを送りだし、残した功績とは別の問題であり、生前に決着をつけるのが望ましかった。
当時、記者だった私は’88年に元『フォーリーブス』の北公次が『光GENJIへ』を出版したことを記事にし、芸能面トップになったのを覚えている。’00年に、ニューヨーク・タイムズが国会の質疑応答を記事にしたことや、週刊文春をジャニーズが訴えた裁判の高裁判決も「文春側の実質的勝訴」と記事にした。
だが、テレビや全国紙はそれらを報じることなく、大きなムーブメントは起きなかった。
いずれにしても、今活躍している所属タレントや元所属タレントたちのためにも、ジャニーズ事務所は適切に総括して事実を明らかにしてほしいものだ――。

『東京スポーツ新聞社』元・文化社会部部長。退職後、Webマガジン『PlusαToday』を始め、映画、ハリウッド情報などの記事を執筆。日本映画ペンクラブ会員

阪本良

共同

いまだ波紋を広げているジャニー喜多川氏の「性加害問題」。ついには国会において、元ジャニーズJr．の２人が呼ばれヒアリングが行われた。23年前にも国会でこの問題が取り上げられたことがあったのだが……


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