「お姉さん時間ある?」…月に数百万円荒稼ぎ!若い女性が「バイト代もらってホストへ行く」驚きのワケ | FRIDAYデジタル
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「お姉さん時間ある?」…月に数百万円荒稼ぎ!若い女性が「バイト代もらってホストへ行く」驚きのワケ

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和5年、歌舞伎町はいま…… 第59回

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歌舞伎町を歩いていると、見知らぬ女性から声をかけられる。

「お姉さん、ちょっとだけお時間ありますか? 『本数協力』してほしくて……」

指名本数を稼ぐため、女性を店に呼んで自ら代金を立て替えるホストもいるという
指名本数を稼ぐため、女性を店に呼んで自ら代金を立て替えるホストもいるという

近年、好きなホストの「指名本数」を稼ぐべく、ホス狂たちが道行く女性に声をかけている。「指名本数」とは、1ヵ月間でそのホストを目当てに訪れた客の数で、売上金額とは別に、店側がホストを評価する数字となっている。

「担当が本数ノルマ上げたいって言うんで、友達に頼んで協力してもらいました」

ホス狂のマユ(仮名・21)も担当ホストのために本数稼ぎをする客の一人だ。

「友達にキャッシャー会計(店に入らずレジで最低料金を支払うこと)してもらって、店には本数にカウントしてもらう。そのお金は私が出します。『奢(おご)り本数』ってやつです。私が一人で5万円使っても1本にしかならないけど、一人に1万円ずつ渡して5人で行けば5本になります」

今、歌舞伎町では「奢り本数」が常套(じょうとう)手段となっている。歌舞伎町周辺を走るホストクラブの宣伝トラックには、「売り上げ1000万over 指名本数100本over」といった数字が並ぶ。一日平均4人を集客すれば、こういった売り文句となる記録を達成できる計算だ。

「指名本数の締日直前になると、ホス狂たちはTwitterなどで『本数協力』を呼びかけます。とあるホス狂の担当ホストの本数をつけに行ってあげたんですが、異様な光景でしたよ。ホス狂女子が10人ほどVIPルームに押し込まれ、スマホにかじりついて本数協力のやり取りをしていました。そこまでして記録って欲しいんですかね」(カナ、仮名・23)

「奢り本数」を稼ぐホス狂の中には、アマゾンギフトやPayPayを使って、協力してくれた相手に1000円ほどのバイト代を渡している者もいる。

「協力する側にはデメリットもあります。ホストクラブに身分証を見せて、店によってはコピーを取られます。また、多くの店が永久指名制なので、そのお店に他のホスト指名で入店できなくなる。協力者を集めるホス狂には、カリスマ性か謝礼金のどちらかが必要だと思います。SNSでフォロワーが多い子だと、ファンの女の子が協力してくれます」(同前)

近年、指名本数のインフレが進んでいる。以前は、ごく一部のトップでも月間200本が限度だったが、今は月間1000本という記録も耳にする。月間1000本ともなると、一日で30人以上の客を相手にしている計算だ。こうしたありえない記録も、奢り本数とSNSが組み合わさることによって可能となった。歌舞伎町ホスト3年目のマコト(仮名・24)は、本数バブルによって、ホスト沼にハマっていく女性客を見てきた。

「もとは、ホストに対して売り上げ以外の評価軸を作るのが目的でしたが、『奢り本数』によって形骸化してしまった。ただ、女の子にとってはいいシステムですよ。月数回来て使ったお金が25万円だと細客だけど、毎日1万円で25日来ればその女の子は本数を一番稼ぐ″本数エース″になれる。

多額のお金を使えない子でも、担当ホストに貢献できている実感が得られるので、一所懸命「奢り本数」を稼ぎにいきます。″本数エース″は、お金をかけないでホストに相手にされるので、ホストに月数百万円を貢(みつ)ぐ″売り上げエース″の子には、目の敵(かたき)にされていますけどね(笑)」

ホストの本数競争に巻き込まれた女性たち。彼女らの強い使命感によって今宵も熾烈(しれつ)な争いが繰り広げられている。

佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

『FRIDAY』2023年6月30日号より

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