<h3><span class="strongInContent">まずNISAか？ それともiDeCoか？</span></h3>
<p>先日、大阪市内で行われた30代向けのマネーセミナーの会場で、よく耳にしたのがこんなコメントだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「投資？ やってますよ。老後の生活が不安でNISAをね。節税効果も高いって言うし」（35歳・男性・会社員）</span></p>
<p><span class="strongInContent">「投資？ とりあえずNISA始めました。将来のお金を殖やすにはこれが一番なんですよね」（37歳・女性・会社員）</span></p>
<p>「何か、間違ってます？」と聞かれれば、「間違ってはいない」という答えになる。なぜなら、投資の正解は、結果が出ないとわからないからだ。だが、確かに“違和感”がある。</p>
<figure id="attachment_323931" aria-describedby="caption-attachment-323931" style="width: 5760px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="61244683"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/53f00b9405a567f72066e587a59a36d9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323931" class="wp-caption-text">「老後の生活が不安でNISAを」…ファイナンシャルプランナーが指摘する「あるある勘違い」とは（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">「老後の生活資金」が目的なら…</span></h3>
<p><span class="strongInContent">老後を65歳以降と考えると、老後の生活資金を効率的に増やすには、NISAよりもiDeCoが適している。拠出金が全額所得控除となるiDeCoの方が、節税効果が高い。</span></p>
<p>例えば、毎月22000円を拠出する場合、所得税率20％だと、単純計算で毎月の節税効果は4400円となる。iDeCo（個人型確定拠出年金）は年金であり、60歳になるまで取り崩しができない仕組みだ。老後の生活資金の準備という目的に適っている。</p>
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<p>老後の生活資金を一般NISAやつみたてNISAで準備することも、もちろんOKだ。が、優先したいのはiDeCoだろう。投資は手段。目的や目標を達成するために最適な手段を選ぶことが大切だ。世間が声高にNISAと言うためか、目的を意識せず、「とりあえずNISA」という30代に出会うことも多い。</p>
<h3><span class="strongInContent">現行NISAでは「放ったらかし」はできない</span></h3>
<p>第一が「目的」ならば、第二ポイントは、「運用期間」だ。</p>
<p>35歳であれば65歳までは30年。現行の一般NISAの非課税期間は5年、つみたてNISAは同20年。話を聞いていると、「一度買ったら安心」、「放ったらかしでも効果あり」と考えている気配を感じる。どのような商品を選んでいるかにもよるが、非課税期間に期限がある現行NISAでは､放ったらかしにはできない。ちなみに、お金が必要となる時期までを運用期間と考えるとわかりやすい。</p>
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<p><span class="strongInContent">「将来」、「老後」と言えば、具体的だと思っているかもしれないが、それは勘違い。5年後なのか、30年後なのか、数字で示すことで、試算が可能となる。</span></p>
<p>目的が不明確ゆえ、結果的に目標時期があいまいとなっているケースも多々ある。最適な手段の選択が出来なくなるのはもったいない。なお、’24年１月スタートの新NISAでは、非課税期間が無期限化される。使い道が拡がるのは有難い。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="目標は、月に５～６万円！？"></div>
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<h3><span class="strongInContent">「目標は、月に５～６万円」！？…イメージを勝手に膨らまして勘違い</span></h3>
<p>第三のポイントは、目標額の設定。</p>
<p>「iDeCoは投資だから」とハードルを上げ過ぎるのはよくない。「投資デビューを果たしたいがなかなか」というケースでは、「投資をするお金がない」という理由をよく聞かされる。で、「どれくらいの投資額を想定している？」と尋ねると、「５～６万円」という答えが返ってくる。</p>
<p>iDeCoは5000円から拠出できること、勤め先に企業年金制度が無ければ、毎月の拠出額の上限が23000円になることを告げると、「思ったよりハードルが低い」と驚かれ、「それならばできそうだ」と俄然前向きになる。</p>
<p><span class="strongInContent">投資に対するイメージを自分で勝手に膨らまして勘違いし、それがブレーキとなっている良い例だ。</span>投資においては、自分を知り、相手を知ることが重要となる。自分とは目的・目標・リスク許容度等であり、相手とは金融商品や制度内容だ。</p>
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<figure id="attachment_323932" aria-describedby="caption-attachment-323932" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7813cf9f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/33d4119848c21719505c112c748ccb08.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323932" class="wp-caption-text">iDeCoは5000円から拠出でき、勤め先に企業年金制度が無ければ、毎月の拠出額の上限は23000円</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">65歳定年までに2000万円…iDeCoだけだと「ちょっと足りない」</span></h3>
<p>35歳から毎月23000円を30年間積み立てると、元本部分は828万円。３％複利で運用すると1331万円。65歳時に1000万円の資産保有が目標であれば十分だが、目標が2000万円であれば、未達となる。目標達成には、iDeCoに加えNISAなど他の手段を併用したり、運用利回りを上げたり、ということが必要となる。</p>
<p>目的、目標に応じて試算し、最適な手段を選ぶことが重要だ。さらに、物価上昇率以上の運用をしておかなければ、実質目減りとなるため留意したい。</p>
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<p>’24年スタートの新NISAは、１金融機関・１口座。生涯投資枠は1800万円。顧客の獲得競争が繰り広げられるのは無理もない。節税効果を得ながら将来のお金を準備するには、iDeCo、NISA以外にも、条件と環境が整えば、企業DCのマッチング拠出や小規模共済などもある。自分が使える手段を把握し、目的、目標に応じて使い分けよう。</p>
<p><span class="strongInContent">投資の３ポイントは、何のために（目的）、いつ（必要時期）、いくら（目標額）。思い込みや表面的な宣伝文句に惑わされず、自分の場合はどうかを意識し、比較検討して行動しよう。</span><span class="strongInContent"> </span></p>


NPO法人日本FP協会認定上級ファイナンシャルプランナー CFPⓇ。キャリアコンサルタント。大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。約15年勤務の後、’01年にFP事務所を設立。老若男女を対象に身近な新聞をつかった経済教育、キャリアデザイン、資産形成などの講座や研修を大学、企業へ展開。個人向けには、客観的なファイナンシャルプランニング、ライフ・キャリアプランニングを提供している。金融リテラシーの普及活動が評価され、金融庁と日本銀行から2014年度金融知識普及功績者として評される。

大石　泉

まずNISAか？ それともiDeCoか？ 先日、大阪市内で行われた30代向けのマネーセミナーの会場で、よく耳にしたのがこんなコメントだ。 「投資？ やってますよ。老後の生活が不安でNISAをね。節税効

「30代後半・月収は手取28万円」将来のために始めたNISAだったけど…3つの「あるある勘違い」

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