<h3><span class="strongInContent">日経平均・３月末までに底値を固めて、その後は上がっていく可能性が…</span></h3>
<p>日本の株価が上昇し、’89年バブル期の最高値に迫っている。どんな背景があり、今後はどうなるのか、さらに個人投資家はどうするのがいいか、専門家に話を聞いた。</p>
<p>日経平均株価は昨年から好調に推移し、今年に入って一段と上昇している。１月23日には一時、３万6984円まで上昇した。’89年の年末につけた最高値３万8915円に迫る勢いとなっている。</p>
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<p>一般の個人投資家が株式投資を考える際には<span class="strongInContent">「長期、分散、積み立て、低コスト、節税投資」</span>の５つを念頭にとアドバイスするのは、香川睦・楽天証券チーフグローバルストラテジスト。香川さんは今後の日経平均株価について<span class="strongInContent">「今年は３万</span><span class="strongInContent">8000</span><span class="strongInContent">円を超えてもおかしくない</span><span class="strongInContent">。来年は４万円の水準も状況次第で考えられる」</span>とみている。</p>
<p>一方、足元の株価は<span class="strongInContent">「上昇ペースが速すぎたので、もみ合っている」</span>と香川さんはみている。３月末までに底値を固めて、その後は上がっていく可能性があるという。</p>
<figure id="attachment_357699" aria-describedby="caption-attachment-357699" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4a1a0ced"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/02/8c13118f0d32746c67997c0775591a2b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-357699" class="wp-caption-text">日経平均は、バブル後の最高値を更新した（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">日本株上昇のワケ…東京市場の売買高「約７割」を占める外国人投資家の存在</span></h3>
<p>そもそも、日本の株価が上昇してきているのは、なぜなのだろうか。香川さんは、外国人投資家と個人投資家の動向に注目している。特に東京市場の売買高で７割くらいを占めるのが外国人投資家と指摘する。</p>
<p>まず、<span class="strongInContent">「外国人投資家が日本株を見直して買っている」</span>と香川さんは話す。最近の物価上昇もあり、長く続いたデフレ経済から日本が脱却しつつあり、物価が上がると預金中心の個人や企業も預金の資産価値の目減り対策から投資に動き出すだろうと、海外の人たちはみているという。</p>
<p>さらに、東京証券取引所が企業に株価是正の対策を要請した効果もあるとみている。具体的には、株価を１株当たり純資産（PBR）と比較して改善すること。PBRが１倍にも満たない企業は、解散して資産を売却した金額にも達していないことを意味する。これは異常でないかというわけだ。企業側は株価対策として、自社株買いや配当金の充実、収益拡大につながる中期経営計画などを打ち出してきた。こうしたこともあり、香川さんは企業収益が今後も増益基調にあるとみている。</p>
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<p>もう一つは、アジア市場で日本の位置づけが再認識されたという。中国経済は不動産バブル崩壊による調整が進みつつあり、株価も下落が続いている。香川さんは<span class="strongInContent">「海外投資家が中国投資を直接、間接とも減らし始めている」</span>と指摘する。工場建設などの直接投資だけでなく、株式購入など間接投資も減らし、それに代わって、安定感のある日本や、インドに投資先を移してきている。</p>
<p>日本は直接投資の対象としても、見直されている。台湾の半導体大手メーカーが熊本県に工場をつくる動きも出ている。政治的なリスクなどで、日本の安定性が評価されているという。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「プロにはかないません」"></div>
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<h3><span class="strongInContent">「個別株の売買は、プロにはかないません」</span></h3>
<p>国内の個人投資家にも、バブルやその崩壊の痛手を経験していない世代が増えて、米国株投資などで成功した人も少なくないとみている。そんな個人投資家の資金が、日本の株式市場にも入っているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「楽天証券では若い人や女性の口座が増えています。ネットに対する抵抗感が若い人たちにはありません」</span></p>
<p>香川さんはこう話し、楽天証券などのネット系証券が取引手数料をゼロにするなどで口座開設が増えていると指摘する。</p>
<p>こうした動きが、最近の日本株上昇の背景にある。今後も日本株が堅調に推移する場合、一般の個人投資家にとって、どんな投資行動が考えられるのだろうか。</p>
<p><span class="strongInContent">「個人投資家は個別株を選んで投資する時間がないかもしれません。個別株の売買で、プロにはかないません」</span></p>
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<p>そう話す香川さんは、冒頭で紹介したように、５つのキーワードでアドバイスする。まずは長期投資。インフレで預金の資産価値が目減りしても、たとえば米国株投資ではインフレを上回る成績になっているという。短期投資は株価変動の影響を受けやすいが、長期でみれば上昇を期待しやすくなる。</p>
<p>分散投資も重要だ。香川さんは<span class="strongInContent">「個別銘柄では当たるとは限らない」</span>と話す。具体的には、株式市場の代表的な指数に連動したインデックスファンドへの投資もいいとみている。</p>
<p>積み立て投資は、毎月や隔月など少額から、こつこつ投資するもの。積み上げていくだけ、複利で資産拡大が期待できる。<span class="strongInContent">「楽天証券では月３万円ずつとか、多い人で月10万円くらいを投資しているかたもいる。途中で株価は上下変動するが、最後に資産全体が増えていればいい」</span>と香川さんは話す。</p>
<p>低コストも見落とせない。証券会社や銀行などが対面の窓口で接客する場合、その人材や店舗のコストが取引手数料などに反映される。一方、ネット系なら、そうしたコストがかからない。香川さんは<span class="strongInContent">「できるだけ安いコストのインデックスファンドなどへの投資を考えてみるのもいい。正味のリターンをできるだけ落とさないようにするのも重要です」</span>という。</p>
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<p>最後は節税対策。株式や投資信託などの金融商品に投資すると、受け取る配当金や、売却で得た利益に約20％の税金がかかるが、この税金を一定限度で非課税にする制度を政府が用意している。’14年に始まったNISAや、今年開始された新NISAだ 。これを活用するのがお得になる。</p>
<p>個人の投資家は、コアとなる資産を新NISAなどで運用し、それでも将来の老後資金などが不足するとみているのであれば、<span class="strongInContent">「その他のサテライト資産をインドのインデックスファンドで運用するのも考えてみてもいいかもしれない」</span>と香川さんは話す。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="長期的に考えたら…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">「オルカン」などの代表的な世界株価指数のインデックスファンドは、６割以上が米国株</span></h3>
<p>個人の投資家には、資産をどのように分散して投資すればいいのか、わからない人も少なくないかもしれない。</p>
<p>たとえば、公的年金基金は運用資金の約半分を株式に投資し、株式投資のうち国内と海外でほぼ半々、海外株投資のうち９割くらいを米国株に投資していると、香川さんは聞いているという。</p>
<p>また、代表的な世界株価指数のインデックスファンドの６割以上が米国株になっているとも。</p>
<p>そうしたプロの世界の投資先の配分も参考になるかもしれない。</p>
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<h3><span class="strongInContent">好調続く日本株だけど…長期的に考えたら、やっぱり「アメリカ株」？</span></h3>
<p>米国株が人気を集める背景について、香川さんは<span class="strongInContent">「米国が人口も増えており、技術革新も進んでいる」</span>と指摘する。</p>
<p>日本株の投資に死角はないのだろうか。<span class="strongInContent">「日本株のリスク要因は円高。円高がどんどん進むと、自動車会社のような輸出企業の業績は苦しくなる」</span>と香川さんはみている。</p>
<p>外国為替相場に影響が大きいのは金利の動向。お金は金利の高い国に流れていく。米国はインフレリスクの高まりを受けて、利上げを繰り返してきた。一方、日本は超低金利を続けている。日米金利差の拡大で、ドル高・円安が進んできた。</p>
<p>最近の米国はインフレリスクが落ち着いてきて、さらなる利上げの可能性が後退している。一方、日本は賃上げが続けば、超低金利の金融政策が見直される可能性が高まっている。日米金利差が縮小すると、円高・ドル安になりやすい。</p>
<p>香川さんは「デジタル収支」にも注目している。日本ではマイクロソフトやグーグル、アマゾンなど米国のIT（情報技術）サービスを利用すればするほど、米国側にお金が落ちる。これが、ドル高・円安の要因になる。米国ITサービス利用が年間７兆～８兆円になるのではとの試算も出ているという。</p>
<p>最近の日本株上昇が気になる人は、香川さんがアドバイスする５つのキーワードを参考に考えてみるのもいいかもしれない。</p>
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浅井秀樹

日本の株価が上昇し、’89年バブル期の最高値に迫っている。どんな背景があり、今後はどうなるのか、さらに個人投資家はどうするのがいいか、専門家に話を聞いた。

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