”勝つこと”特化の若手も増え…「お笑い賞レース重視」の起用はテレビ業界の怠慢だ | FRIDAYデジタル

”勝つこと”特化の若手も増え…「お笑い賞レース重視」の起用はテレビ業界の怠慢だ

スタッフは見た!週刊テレビのウラ側

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
昨年比135本増で『2023上半期テレビ番組出演本数ランキング』の2位に輝いた『ウエストランド』の井口浩之(40・左)と河本太(39・右)
昨年比135本増で『2023上半期テレビ番組出演本数ランキング』の2位に輝いた『ウエストランド』の井口浩之(40・左)と河本太(39・右)

7月8日に開催された『ツギクル芸人グランプリ2023』(フジテレビ系)で「ナイチンゲールダンス」が優勝。7月9日開催の『ABCお笑いグランプリ』(朝日放送)は「ダブルヒガシ」が制した。今年もお笑い賞レースが続々とスタートしている。

「5月に行われた結成16年以上の芸人による『THE SECOND』(フジテレビ系)のインパクトが思いのほか、大きかったですね。優勝した『ギャロップ』はもちろん、準優勝の『マシンガンズ』も地上波の露出が明らかに増えています」(制作会社ディレクター)

近年、賞レースで話題を集めることが芸人のブレイクの条件になっている。

「一方で、賞レースに参加しないことを宣言した『ニューヨーク』は仕事を減らしています。現在もコンビのテレビレギュラーは5本ありますが、2本あった冠番組は今春でゼロになりました。賞レースで結果を出さなければ、どんな売れっ子でも既視感が出てしまう、という局の判断でしょう」(放送作家)

たしかに賞レースに出続けることで、新しい魅力が生み出されることはあるが、そこまでテレビマンがこだわる理由は何なのか。放送作家が続ける。

「『エンタの神様』(日本テレビ系)ブームのころは、新しい才能を発掘するため、スタッフがマメに劇場に足を運んでスカウティングしていました。『ジョイマン』なんて、テレビに出るまで吉本の芸人もスタッフも、ほとんどその存在を知らなかったそうです。しかし、テレビ不況を受けて番組スタッフの数は激減。コロナ禍で有観客ライブが中止になったことも相まって、賞レースの結果やYouTube、ショート動画などの再生回数が重要視されるようになりました」

実際、今後のブレイクが有力視されている若手は、いずれも賞レースで爪痕を残したコンビ2組だという。

「『ダンビラムーチョ』は昨年の『M-1グランプリ』敗者復活戦で、森山直太朗(47)の『生きとし生ける物へ』を熱唱するだけという斬新なネタでインパクトを残しました。〝野球部あるある〟ネタがYouTubeでバズったこともあるし、今年決勝に進出できれば一気に露出が増えそう。昨年のファイナリスト『キュウ』は所属するタイタンが、『ウエストランド』に続けと猛プッシュしています」(前出・制作会社ディレクター)

もちろん、賞レース至上主義に危機感を持つバラエティスタッフもいる。

「競技化が進んでいて〝勝つこと〟に特化した若手が増えているんです。ただ、漫才やコントの技術と、バラエティ番組を盛り上げる技術は必ずしも同じではない。今年の『上半期ブレイク芸人ランキング』1位に輝いたのが元自衛官芸人のやす子(24)だったように、バラエティで求められるのはリアクションやロケでの対応力。

いま、バラエティ向きの若手を発掘しているのは、『世界の果てまでイッテQ!』や『ぐるナイ おもしろ荘』を放送する日本テレビぐらい。どの局も若い視聴者を獲得するのが課題なのに、番組で見かけるのは『パンサー』尾形貴弘(46)やクロちゃん(46)ら40代ばかり。このままだと先はない」(前出・放送作家)

賞レースブームの裏に、テレビ局の怠慢が見え隠れする……。

『FRIDAY』2023年8月11日号より

  • PHOTO結束武郎

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事