フリーアナウンサー・神田愛花「最愛のワキ汗パッド様はいずこ♡」

「服に貼るタイプですか？　それとも肌に直接貼るタイプですか？　ちなみに私は肌に直接貼るタイプを使ってるんですけど……良いものがあったら教えてほしいです！」。こんな会話を、女性タレントさんや女優さんと交わしたいのだが、一度もできたためしがない。何がって？　ワキ汗パッドのことです。

ワキに汗をかいていることがバレないようにするためのアイテム。このとてつもなく暑い季節の必需品だ。収録の際、下着が透けないよう、私は衣装の下に、上半身下半身ともにインナーを２枚ずつ重ね着し、下半身はさらにストッキングも穿いている。その上、腰には厚手のベルトをキュッと巻き、そこに横６cm×縦９cm×厚み３cmのピンマイクの送受信機を引っ掛ける。これが本番中に結構な熱を帯び、まるでカイロのような役割を果たすのだ。そしてトドメは緊張による発汗。冷房が効いていても、やっぱりそれなりにワキ汗をかいてしまう。

ひと昔前までは洋服の内側に貼るタイプしかなく、夏服の薄い生地に貼るのがとても大変だった。平らなパッドを洋服の形に合わせて曲げながら貼るのだが、たいていグシャッとなり、外側から見て「貼ってるねぇ！」という感じになってしまうのだ。しかも粘着力が異常にヨワヨワで、数回腕を上下に動かしたら剥がれ始める始末。繁華街でクシャクシャになったワキ汗パッドが地面に落ちているのをよく見かけた。

そんななか、10年ほど前に画期的な商品が登場した。肌に直接シールのように貼り付けるワキ汗パッドだ。最初は、ホントに?　と信じられなかった。肌に直接貼ることに抵抗があったし、汗腺に蓋をすると不健康な状態になってしまうのではないかという不安もあった。だがもう服に貼る作業にはウンザリしていたので、思い切って使ってみることにした。

運命の出会いを求めて

見た目は薄いベージュ色のテーピング。ちょうどワキ全体を覆う大きさの楕円形にカットされ、貼りやすそうなのだが……どう見てもこのペラペラのテープに吸水能力があるとは思えなかった。不安を抱えながら貼り、衣装を着てみる。（おぉ良いね）。服には何の影響も出ず、「貼ってるねぇ」感もなければ、「肌に貼ってます？」感もない。腕を上下に動かしても剥がれてこなかった。

本番が始まって１時間経過……モニターで確認してみる。（うんうん、ワキ汗はかいているけれど衣装の色は変わってないぞ）。２時間経過……（お？　変化なし。良いぞ！）。３時間の収録後、楽屋で衣装を脱いでみると、しっかり汗を吸って濃いベージュ色に変化したワキ汗パッドは、半分剥がれ、かろうじてぶら下がっている状態だった。（おぉ！　ギリギリセーフ！）……気に入った。何をどうやってこの薄いテープが汗を吸収しているのかはわからないし、不健康なのかどうかもわからない。でもそんなことはもうどうでもいい。とにかくストレスなく汗染みを防げたので、それ以来、ワキに直接貼るタイプを使ってきた。

だがやはりトラブルはある。３泊４日のロケでは、連日貼ったり剥がしたりしたことで肌がかぶれ、薄くなった皮膚がシールに持っていかれてしまった。とても痛かったし、皮膚が再生するまでノースリーブは着られなくなった。今でもその傷痕が残っている。

『ぽかぽか』の生放送中にすごく汗をかいて、パッドが完全に剥がれたこともあった。確実にワキにはないのに、”ブツ”が見当たらず、コマーシャル中に目の前の観覧のお客さんたちに「貼っていたワキ汗パッドが剥がれてどこかにいっちゃいました！　本番中にポロンッと袖から落ちてきちゃうかもしれませんが、ビックリしないでくださいね〜！」と笑顔で伝えた。

服に貼るタイプより格段に便利ではあるが、トラブルは絶えない。以前よりも種類が多くなり、新しい商品を試してみるが、残念ながら「完璧♡」と言い切れる代物にまだ出会えていない。

みんなどうしているんだろう？　バラエティ番組で活躍している女性タレントさんや女優さんなら、肌を傷めずかつ剥がれにくい、優秀なワキ汗パッドをご存じなんじゃないかと思うのだ。誰か私とワキ汗パッドの情報交換をしてくれないだろうか。お願いします。

1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』（フジテレビ系）にメインMCとしてレギュラー出演中

『FRIDAY』2023年8月18・25日号より