船がソープで車がデリヘル…!歌舞伎町で使われる「風俗や違法行為の隠語絵文字」深すぎる意味 | FRIDAYデジタル

船がソープで車がデリヘル…!歌舞伎町で使われる「風俗や違法行為の隠語絵文字」深すぎる意味

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和4年、歌舞伎町はいま……第67回

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「〈象・木・手を振る絵文字〉に興味ある人いますか?」そんな投稿がSNSで出回った夏の新宿歌舞伎町界隈。ネットでの検索に引っかからないよう、性風俗や違法行為はこういった隠語絵文字に変換され、人々の間に広まっていく。こちらの隠語は何のことかおわかりになるだろうか。ゾウ、木、バイバイと手を振る絵文字……。そう、正解は「臓器売買」。臓器売買をこのようなポップな絵文字で勧誘しないでほしいものだが、こうした隠語文化は歌舞伎町ではポピュラーだ。

’22年の本連載第2回にて、パパ活などでの「大人」(性行為)を〈ハンマーを交差させた絵文字〉で表すと紹介した。他にも、食事のみの場合は〈ディナー〉、カフェなどでの顔合わせは〈湯呑み〉の絵文字で表現される。こうした絵文字隠語は、いまやかなり多様化している。

とある歌舞伎町女子のプロフィール欄。文章の半分以上が〝隠語絵文字〟だ
とある歌舞伎町女子のプロフィール欄。文章の半分以上が〝隠語絵文字〟だ

【初級編】

基本的な例を挙げると〈バスタブ〉と〈車〉、それぞれソープランド、デリヘルの意味で使われている絵文字隠語だ。

「『〈車〉嬢』『〈バスタブ〉〈車〉掛け持ち』とか、SNS上でプロフィール欄に自分の仕事を書くときに使うことが多いですね。便利だし、わかる人にだけ伝わればいいから使っています。別の隠語と組み合わせて、『〈ホテル〉〈車〉』でホテルに行くデリヘル。『〈ホテル〉〈歩く人〉』『〈ホテル〉』とかもあって、これはホテヘル嬢のことです」(アカリ・仮名・20)

デリヘルが広範囲に派遣され、主に車移動なのに対し、ホテヘルは近隣に嬢自身が歩いていくため、こうした絵文字が使われているという。一方で、数少ない箱ヘル(本番なしの店舗型のヘルス)の隠語は、箱の絵文字にして〈段ボール〉と表記されるのだという。

風俗がさまざまな隠語絵文字で詳細に表記されるのに対し、〈シャンパングラス〉や〈シャンパン〉など水商売全般は、シャンパンの絵文字で大まかに表現されるという。

「ラウンジやギャラ飲み、キャバクラなどは大きな違いがないし、別に違法営業しなくていいから、普通に『キャバ』とかって言えばいい。別に隠語にこだわる必要がないかな」(レナ・仮名・23)

【中級編】

違法行為の多い業界ほど隠語絵文字が発達しており、とくに風俗嬢の間では隠語絵文字が爆発的な広がりを見せている。

「ネイティブじゃないと見分けが難しいのが『〈ラーメン〉〈エステ〉♀』『〈風船〉〈エステ〉♀』。それぞれメンズエステ(嬢)、風俗エステ(嬢)のことです。双方の違いはほぼないんですけど『〈風船〉〈エステ〉♀』のほうが抜きアリ前提のニュアンスを含んでいますね。とはいえ、どんな表記でも違法店はあるんで、完全健全店舗の場合は『健全〈ラーメン〉』って書いたりします」(前出・アカリ)

嬢の中には「油塗りやさん」と可愛く表現する者も。やることはオジサンの肌にオイルを塗り込むことなのだが……。

また最近よく目にするのが〈飛行機〉の絵文字だ。海外出稼ぎを隠語にしたもので、〈飛行機〉の脇には、出稼ぎで行ったことのある国の国旗の絵文字が。国旗が並ぶSNSのプロフィールだけを見れば、旅行好きのインスタ女子にも見えるのだが、やっていることはまったくの別物である。

【上級編】

さて、こうした隠語をすべて盛り込んだプロフィールが上の画像となる。

まず気になる名前の「幹部補佐」とはホストの役職。指名している担当の役職を自分のプロフィールにも入れており、彼女はホスト狂なことがうかがえる。その横の(完/5)(3/7)は出稼ぎのスケジュールであり、5日間の出稼ぎを終え、現在7日間の出稼ぎの3日目という意味だ。歌舞伎町初心者を自称しつつ、メンズエステとパパ活交際クラブの掛け持ち、時々デリヘルの出稼ぎに行っている猛者であることがわかる。さらには20歳以上で本業は学生……ということが、書かれているのだ。

こういった隠語を駆使して、SNS上で日々の愚痴を吐き出したり、同業同士の情報交換を行ったり、はたまた客とのやり取りを行う歌舞伎町の住民たち。「わざわざ隠語で話すくらいならSNSをしなければいいのに……」とも思うが、日々のうっぷんを晴らしたい彼女らにとっては必要不可欠な営みなのだ。

佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

FRIDAY20239月8日号より

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