「あの時のことは忘れられない……」フリーアナウンサー神田愛花が打ち明けた「ファーストキスの後悔」 | FRIDAYデジタル

「あの時のことは忘れられない……」フリーアナウンサー神田愛花が打ち明けた「ファーストキスの後悔」

【連載第25回】わたしとピンクと、時々NY

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神田さんが描いたイラスト

″ファーストキス″は人生でたった一度しかなく、二度目以降は″通常のキス″になる。ファーストキスなんてただの通過点。若い頃はそう思っていた。

中高一貫の女子校に通っていた私。中学3年生になった時、衝撃的なことが起きた。誰かが、男女の交わりや、生々しい性の悩み事を紹介している女性向けの月刊誌を学校に持ってきたのだ。大人の世界への興味と不安でドキドキしながら大人数で本を囲み、震える手でページをめくった。「彼に″気持ちいい″と言わせたい!」という見出しが目に飛び込んできて、「おぉぉぉ〜!!」。それ以来、私たちの異性への興味はマシマシになり、必死になって毎月回し読みをした。

高校に進学した時にはスーパー頭でっかちになっていた私たち。何人かに彼氏ができ、ついに「……昨日、彼とキスした」と言う子が現れたのだ。「えー!!」。みんなパニック。どこで? どっちから? 目はつぶった? 息は止めた? 経験者から生の声を聞きたかったのに、その子は「恥ずかしいから言いたくない」と、急になにも話してくれなくなった。(知りたーい!!)。それからは早かった。ドミノ倒しのように、数ヵ月で周りがどんどんファーストキスを済ませていった。そして、旬の話題は初めての性行為へと進んでいき、私は完全に乗り遅れた。(キスぐらい、いい加減済ませなきゃ……私は一体、誰とすればいいの?)。

周りは想像を超えた相手と済ませている子ばかり。ダントツで大人っぽく女子大生くらいに見える友達は、電車の中で声を掛けてきた商社マンと。セクシーで日本人離れした友達は、クラブで出会ったアメリカ人と。遅れを取っている私は、より「いいなぁ!」と言われる相手としなければ、と焦った。そして辿り着いたのが″慶應ボーイ″。彼氏が通う学校として人気が高い慶應の子ならば、ある程度、羨望の声があがるに違いない。

作戦実行の時が来た!

高校2年生の秋。生徒会会長という立場を利用して慶應高校の学園祭へ行った。数人に電話番号を聞かれ、デートに誘われた。(よぉし、計画どーり)。その中にラグビー部の男の子がいた。慶應ラグビー部は、将来超有名な商社に就職する人が多いという情報を得ている。もしキス後に本気で好きになったとしても、問題ないだろう。(この人に決めた!)。1回目は、マクドナルドで2対2で会った。2回目はみなとみらいで二人きりで会うことに。好きでもない人と何度もデートするのはキツかったから、このデートにすべてを懸けた。

並々ならぬ決意で一緒にお昼ご飯を食べた後、少し外を歩いて、人気(ひとけ)のない港のベンチに座った。(順調だ!)。距離も近く、まさに″男の人がキスをしてくるシチュエーション″だ! 勇気を出して彼のほうに顔を向け、目を合わせた。数秒間、静かに時が止まったかのように感じた。彼が目をつぶって顔を近づけてきた。(よっしゃ!)。初めての瞬間を見届けるため、私は目を開けておくことにした。そして鼻と鼻がぶつかり……少しずらして……ついに唇と唇がしっかりと触れ合った。

今でもしっかり覚えている。ドキドキもなければ、恥ずかしくもない。もちろん興奮なんてしなかったし、もっとして! なんて1ミリも思わなかった。すぐに立ち上がってお手洗いに行き、必死に口をすすぎ、擦るようにして唇を洗った。(気持ちが悪いよぉ!)。なんでこんなことしちゃったんだろう。後悔が襲ってきて、(時間よ巻き戻って)と何度も念じた。結局その日はベンチに戻っても会話をせず、目も合わせないまま帰宅した。

翌日友達に報告すると、みんな「慶應ボーイ!? 紹介してよー!」と言ってくれたけれど、もうその会話さえ嫌だった。

30年近く経った今でもあの時のことは忘れられない。ファーストキスはどれだけ自慢できる相手としたかが重要……なんて絶対に違う。一生の思い出に残る大切な存在なのだ。これから経験する人に私の思いが伝わってほしい。大人になったら、ファーストキスが何歳かなんてどうでもいいよ! 周りのペースに振り回されないで、絶対、好きな人として!

と、ここまで書いて気がついた。FRIDAYの読者ってオジサンばっかりじゃない!? もうファーストキスは遠い思い出の人たちばかりだったな(笑)。

©下村一喜

かんだ・あいか/1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)にメインMCとしてレギュラー出演中

『FRIDAY』2023年9月29日号より

  • 文・イラスト神田愛花

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