<figure id="attachment_349101" aria-describedby="caption-attachment-349101" style="width: 2045px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="23815732"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/ba8d37c0e983b211db8396d41f34591d.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-349101" class="wp-caption-text">トロントからインタビューに応じる周庭さん</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「出国に際して警察との交渉を迫られ、’23年は私にとってすごく苦しい一年でしたが、その中でずっと考えていたのが『どうやったら自由に向かうことができるのか』でした。この３年間、私には自由がなかった。その中で、アニメ『進撃の巨人』に出会い、自分の“影”を重ねていました。主人公たちは物語の中で、壁の外に出るために戦い続けます」</span></p>
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<p>『FRIDAY』（’23年12月26日号）の独占インタビューにこのように答え、香港に戻らないことを表明していた香港の民主活動家・周庭（アグネス・チョウ　27）さんに12月14日、香港警察から出頭命令が出された。</p>
<p>香港警察の国家安全部門は14日の記者会見で、周さんに対し、「まだ罪を犯していない」と指摘した上で、</p>
<p><span class="strongInContent">「（香港警察に期日通り）出頭しなければ逃亡犯になる。そうなれば指名手配する」</span></p>
<p>と述べ、香港に戻るよう要求したのだ。</p>
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<p>「香港のジャンヌ・ダルク」「民主の女神」と呼ばれ、SNSを通じて流暢な日本語で発信するなどして、日本でも知られていた周さん。３年前、香港で無許可集会を扇動した罪に問われ、実刑判決を受けた。約７ヵ月にわたって刑務所に収監され’21年６月に出所。</p>
<p>およそ２年ぶりに更新された彼女のインスタグラムでは、今年の９月にカナダへの留学許可を得て香港を離れ、現在はカナダのトロントに滞在していることを明らかにしていた。そのうえで、</p>
<p><span class="strongInContent">《当初は12月に香港に戻り、警察に行く予定だったが、香港の情勢や自分自身の身の安全、心身の健康状態などを考慮した結果、香港には戻らないと決めた。おそらく一生戻ることはないだろう》</span></p>
<p>と投稿。事実上の亡命宣言をしていたのだが……。要求通り、香港に戻った場合、周さんにはどんな運命が待ち受けているのだろうか。</p>
<p>そこで、思い出されるのが、テレサ・テンの存在だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「彼女は台湾出身の歌手ですが、『天安門事件』をきっかけに中国の民主化を叫ぶようになります。すぐに当局から目をつけられ、ついには在住していた香港で暮らすことができなくなり、身の安全を確保するためパリに移住しました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">しかし、そのパリでも中国政府による“暗殺説”が常に囁かれていました。テレサと周さんのここまでの過程が非常によく似ており、周さんが香港に戻ることをとても危惧しています」（当時を知る新聞社記者）</span></p>
<p>テレサは元々台湾出身の歌手であったが、’70年代初めに日本でデビューすると、数々のヒット曲を出して大人気となり、トップスターの仲間入りを果たした。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="テレサ・テンに囁かれた”暗殺説”その結末は......"></div>
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<p><span class="strongInContent">「’80年代の初めには、中国本土、つまり中華人民共和国でも人気となり、コピーされた彼女のカセットテープが出回るようになりました。’83年には香港でデビュー15周年を記念したコンサートも行われ、10万人を動員しました。まぎれもないアジアの歌姫です。ただその影響力を恐れた中国共産党は彼女の歌を放送禁止にしたのです」（レコード会社社員）</span></p>
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<p>その後、改革開放路線を進める中華人民共和国がテレサの歌を事実上解禁したことで人気が再燃、中国からのコンサートのオファーも来るようになった。しかし、</p>
<p><span class="strongInContent">「中国国内で高まりつつあった民主化要求を支援するコンサートが香港で開催されたとき、テレサも参加しています。直後に『天安門事件』が起きて、予定されていた中国本土でのコンサートが中止となり、彼女は香港で行われた民主化デモ弾圧に対する抗議集会にも参加しています。</span></p>
<p><span class="strongInContent">民衆の前で歌を披露し、中華人民共和国の民主化実現を訴えたりもしていました。また亡命した民主活動家と交流があって、当局から目をつけられることになりました。それで中国に返還される香港に住み続けることに不安を感じて、単身パリに渡ったのです」（前出・記者）</span></p>
<p>だが、パリに移り住んだ直後からメディアに姿を現すことがなくなり、まことしやかに“暗殺説”が流れ始めた。そんな時、『FRIDAY』はパリ在住のテレサの姿を掲載（フライデースペシャル’91年１月号）している。</p>
<p>結局、暗殺説はデマだとわかったが、４年後の’95年、タイ・チェンマイのホテルで喘息の発作を起こし、搬送された病院で死亡が確認された。それでも、その後も数年にわたって、暗殺説は囁かれ続けたのである。</p>
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<p>翻って周庭さんだが、香港に戻ろうとしない彼女に対し、警察当局は、</p>
<p><span class="strongInContent">「法に公然と反する無責任な行為を、厳しく非難する」</span></p>
<p>との声明を出し、今月末までに香港に戻って出頭するよう呼びかけた。さらに香港政府トップの李家超行政長官は、</p>
<p><span class="strongInContent">「『逃亡犯』は、誠の心を売り払い、同情を得るための言い訳をでっちあげ、自分を正義にみせようとして、恥ずべき行為をした。特区政府は全力で国家安全に危害を加えるいかなる逃亡犯をも追跡逮捕する」</span></p>
<p>と発言。その声明を受けて中国外務省の汪文斌報道官は４日の記者会見で、</p>
<p><span class="strongInContent">「いかなる人にも法がおよばない特権はなく、いかなる違法な犯罪行為も必ず法によって処罰されることを強調したい」</span></p>
<p>と述べた。その会見を受けての周さんへの出頭命令だと考えられる。</p>
<p>これまでもソビエトやロシア、北朝鮮で反体制を叫ぶ者や邪魔者はことごとく暗殺されている。亡命したとしても身の安全を確保するのは極めて困難で、安心はできない。</p>
<p>香港警察はすでに指名手配となっている海外に住む民主活動家ら５人に対しては日本円で１人当たり約1800万円の懸賞金までかけている。周さんも指名手配となればその対象となるのは間違いない。そうなればどこにいても安全ではない。密告者に怯える日々が続くことになる。</p>
<p>はたして彼女が穏やかに過ごせる日は来るのだろうか。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="“暗殺”の噂が出始めた頃、パリ在住のテレサ・テン"></div>
<figure id="attachment_349132" aria-describedby="caption-attachment-349132" style="width: 2878px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5c6e79ba"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/c2f584782065b2b275beb3af5d1ead19.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-349132" class="wp-caption-text">これが「暗殺説」を否定する決定的写真となった（’91年７月９日増刊号）</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_349134" aria-describedby="caption-attachment-349134" style="width: 4494px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7772c991"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/3955b0cbeeb7b17e165186d46f3b3cce.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-349134" class="wp-caption-text">これが「暗殺説」を否定する決定的写真となった（’91年７月９日増刊号）</figcaption></figure>
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現在、カナダに亡命中の香港の民主活動家・周庭（アグネス・チョウ）さんに香港警察が出頭命令が出された。かつて、台湾にも民主活動家でもあった歌手テレサ・テンがいたが彼女には常に”暗殺説”が付き纏っていた。

「テレサ・テン“暗殺説”を思い出してしまう」カナダ亡命表明の周庭さんに香港警察が出頭命令の不安

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