「年越しの瞬間も男性客とホテルに」「客と色恋初詣に5回」…歌舞伎町ならではの「年末年始」とは? | FRIDAYデジタル

「年越しの瞬間も男性客とホテルに」「客と色恋初詣に5回」…歌舞伎町ならではの「年末年始」とは?

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和6年、歌舞伎町はいま……第80回

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連日客と初詣に向かう。売れっ子ホストには正月休みなど存在しないようだ
連日客と初詣に向かう。売れっ子ホストには正月休みなど存在しないようだ

4月に始まる売り掛けの廃止に向け、歌舞伎町の多くのホストクラブは1月より売り掛け可能額を会計の3割までに変更した。また、客は売り掛けの入金を行うまで店に入れなくなった。

「今までは月初に売り掛けで豪遊して、月末までに風俗で働いて払ってたんです。よく考えたら狂ってますね」

そう話すミカ(仮名・22)によれば、年末年始は、風俗の稼ぎどきだという。

「クリスマスも意外と埋まるんですよ。ホテルが取りづらいのが難点なんですけど……。過ごす相手がいなくて寂しい思いをしている人や仕事納めの人たちが来ます。地元に帰省している時に友達とノリで呼んでみたり、酔っ払った勢いで呼ぶって人も年末年始は多い。お年玉を握りしめてくる童貞もたまーにいますね」

こうしてミカが稼いだカネは、ホストの年明け営業日にすべて消える。

「担当のことが好きで自分で選んだ道ですけど……それでも、年末年始だけで何人もの相手とセックスまがいのことをしていると病みますね(笑)。年越しの瞬間も初対面の客とホテルで迎えました。インスタを見ると、担当ホストは実家に帰って、お母さんの温(あった)かいご飯食べて、親孝行だって言って大金を親に渡してるんですよ。『それ、私が年末年始に帰省もせずにあなたのために働いたお金ですけど?』って思っちゃいます」

ホスト側はどのように年末年始を過ごしているのだろうか。29歳の中堅ホスト、ユウト(仮名)はこう話す。

「僕は地元が九州なんですけど、だいたいの友達はもう結婚して子供もいる。だから年末年始くらいしか飲んだりできないんですよね。もちろんホストであることをバカにされることもゼロではないんですけど。お前の年収をひと月で稼いでるぞ? って思ってます(笑)。だからあえてホストっぽい格好で帰省しますね。親戚はそれをかっこいいって言ってくれてるし、最初は反対していた親も、毎年家電とか買ってあげたらすり寄るようになってきました」

なかには家族のいない従業員や帰省しない従業員を、自分の地元に招待するホストもいる。みんなで手作りの料理を囲む姿は、幼少期のパーティーのようであり擬似家族的でもある。

年末年始をこうした休養に充てるホストもいれば、仕事漬けのホストもいる。

「もう初詣5回行きましたね」

そう苦笑するホストのハルト(仮名・28)の地元は杉並区。一日だけ帰省した後は、毎日客と過ごしている。

「とりあえず初詣に誘ってます。できる限り神社は変えてるんですけど。前の年に一番お金使ってくれた子とは浅草に行くって決めてますね。毎回おみくじを引いてるんですけど結果はバラバラなんで、信じることは無くなりました。年末年始って長期休暇だし、女の子も帰省して冷静になっちゃう期間。

ここで一緒に過ごして新年を迎えることで、『去年はありがとう。今年も一緒にいてね』って伝えられるから、こういう行事って大事なんですよ。回数をこなすので後半は目が死んでますが……去年は花見も10回以上行ったので今年はもう少し減らせるといいんですけど」

こうして始まったホストクラブの年始営業。鏡割りイベントと称して日本酒を開け、袴を着る。二十歳になりたてのホストは新成人イベントを打ち、ベロベロになるまで飲まされる。商業的とはいえ、歌舞伎町は日本の昔ながらの行事をすべて楽しんでいる街なのかもしれない。

佐々木チワワ
’00年。東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』(扶桑社新書)が好評発売中。

『FRIDAY』2024年1月26日号より

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